2月第3週の市況

2023/2/13    月

米国市場ではSP500とダウは値を上げたがNASDAQは値下がり。30年物国債の需要が低くイールドが上昇し、メガキャップには向かい風となった。また、運輸ネットワークのLyftは収益見通しが芳しくなく株価が36%下落。セクター別では原油価格が上昇したためにエネルギーが3.9%の上昇。欧州市場では株価下落。中央銀行の利上げが長期化するとの懸念からイールドが上昇し、また、アディダスが今年赤字に陥る見通しを公表し株価が10%以上下落したことも投資家心理にマイナスに作用した。セクター別では旅行・レジャーが3.9%、小売りが3.5%と大きく下落。一方で、ロシアが減産する中、原油価格が上昇し、BPやシェルは株価が上昇

2023/2/14    火

米国市場ではFedの金利政策の動向に影響を及ぼすインフレ統計を待つ一方で、Facebookはフィナンシャルタイムスがさらなる人員削減に動くと報じ、親会社のMetaは約3%株価上昇。そのほか、マイクロソフトが3%以上、Nvidiaが2.5%値を上げ、市場は大きく値を上げた。11のセクターのうち10のセクターで値上がり。エネルギーのみ0.6%の下落となった。欧州市場では、インドが防衛産業の輸出を3倍にする計画を公表し、防衛関連株が上昇。スウェーデンのSAABは7.4%値を上げた。欧州委員会は今年のインフレは予想していたより低く、成長は予想以上になると予想を公表した。産業株が最も値を上げ、ユニリバーやネスレなどの日用消費財も上昇

2023/2/15    水

米国では、インフレ統計が公表されたが、ほぼ予想とおりで、市場はまちまちであった。11のセクターのうち7つのセクターが値を下げ、不動産や生活必需品を中心に値下がりした。欧州市場では、前場でほぼ1年来の高値水準にまで値を上げたが、米国のインフレ統計が公表されると値を下げ、わずかに値を上げて1日の取引を終えた。ユーロ圏では四半期の雇用が予想の2倍のスピードで増加し、インフレの圧力になっている。ECBのマクルーフ理事は、金利は3.5%を超える水準になり、今年中に引き下げられることはないという見通しを示す。Liberty Globalが大口投資家となったボーダフォンは3.4%株価上昇。ドイツのティッセンクルップはリストラの速度が遅く株価は10.4%下落

2023/2/16    木

米国市場では予想を超える小売り販売を背景に値を上げたが、利上げへの懸念が値上がりの制約になった。アップル、Alphabet、Amazon、Teslaなどが1.4%ないし2.4%値を上げた。米国上場の台湾のTSMはバクスシャー・ハザウェイが保有株を売却したことから、株価が5.3%下落。シェールオイル生産のDevon Energyは米国での天候が厳しくコスト増となり株価は10%下落。欧州市場では、フランスの高級品株を中心に値を上げた。また、予想を超える自社株買いプランを公表したカルフールも8.5%の値上がり。英国ではインフレが予想以下となり、ポンドが下落し、輸出主導の株式指数FTSEは値を下げる

2023/2/17    金

米国市場では、企業物価指数が予想外にここ7か月で最高の上昇となったこと、新規失業保険申請者数が低かったことが、Fedの金利政策を強気にさせるとの懸念から、市場は大きく下落。Teslaは米国内で36.2万台のリコールが発生し株価は5.7%下落。欧州市場では、フランスの株式指数CAC40史上最高値を更新し、欧州市場全体でも株価上昇。LVMHやKeringなどの中国関連株が強い。英国の銀行のStandard Charteredが年間利益が28%増となり、10億ドルの自社株買いを公表し株価が4.1%上昇。銀行セクターも値を上げたほか、エアバスは四半期利益が予想を超え、株価は4.9%上昇

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インフレの水準を考える~後半

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ところで、日本経済のインフレが極端に低く、賃金上昇率が小さくてもよかったのは、日本の経済が、国内志向型の経済にシフトしてきたからである。日本経済の弱点である、食料自給率やエネルギー自給率の低さは大きな問題になることがなかった。そのため、インフレは低く抑えられて、賃金が伸びなかったとしても、購買力も低くならなかった

さて、将来に目を向けると、日本だけが低インフレでい続けることは難しいだろう。たとえば、中古車を買おうとすると300万円程度必要になることが少なくない。昔の価格から考えると図分上がったと見られるかもしれないが、自動車の価格は日本だけで決められるものではなく、世界的に決められるものだろう。だから、世界基準で価格が決まっていく。そういった世界基準の品目が増えてインフレが上昇することが考えられる

また、最近、報道で取り上げられる保育士の報酬などは、日本国内の需給関係だけで報酬が決められてきた。保育士の報酬のみならず、国内で消費される商品やサービスの価格は据え置かれていることが多い。こういった分野では、価格の引き上げが行われることになるだろう。そするとインフレは進む。インフレに応じて賃金水準も上昇すれば、ライフプランに大きな影響を与えることはない

日本にとってのインフレに関する最悪のシナリオは、日本国債の価格が暴落することである。債券の価格が下がると、金利は上がる。日本国債は、約半分を日本銀行が保有していて、約4割を日本の機関投資家が保有している。10年物国債の利回りは、日本より格付けが高い、シンガポールや韓国と比べてとても低く抑えられている。これは日本国内の投資家が買い支えているからであって、海外の投資家が保有するようになると利回りは上昇し、国債の価格は下がる。利回りを大きく上げると、政府の利払いが大きくなるので、利回りは大きくは上がらないように、しかし、今よりは高くなると考えるのが妥当である。

そう考えると、年率で1%から2%程度のインフレになるのが相当であろう。ライフプラン分析を行うときも、今後、この程度のインフレを見込むのがよいのではないだろうか。

 

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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