かんぽ生命の問題とSDGs(持続可能な開発目標)~その1

かんぽ生命の保険の不適切販売が問題になっている。「ノルマが厳しくて、不正とは知りながらやってしまいました」という現場の意見「現場の暴走を許してしまったガバナンスの不行き届き」と謝罪するトップの図式は、何度か見てきた構図である。筆者は、かんぽ生命や郵便局のみに存在する問題が状況を悪化させたのではないかと考えている。

最初に指摘したいのは、商品とニーズの不適合の問題である。周知のとおりかんぽ生命の保険には、同一被保険者あたりの保険金額の上限が設定されている。営業成績を年換算保険料で測るのであれば、保険金額あたり単価が高くなる養老保険が重視されることになる。学資保険も同様で、少なくとも、終身保険を売りたいというのが、会社側のニーズになる。ところが、保険契約者側は、低金利で元本割れする養老保険は求めていない(ニーズがない)のである。顧客に求められないものを販売することほどつらいビジネスはない

筆者は、かつて、郵便局の保険募集人のみなさまに向けて講演をしたことがある。ここでいう、郵便局は、昔の特定局に分類される小さな郵便局である。保険募集の担い手は、各局1名ないし数名という規模。保険募集人のみなさまはみなさんとてもまじめで、だけども、予定利率の相次ぐ引き下げで自分たちの商品の魅力度を見失っていたのである。一方で、講演を統括している郵便局の方に聞くと、前述の、養老保険や終身保険を売っていきたいのだが、現場がついてこないというようなことを言っておられた。私が指摘したい二つ目のポイントはココである。

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この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものです