就業不能保障保険へのニーズの変化~その1

コロナウィルスから回復した後も、「倦怠感」や「呼吸困難」といった後遺症が残ってしまうということが報告されるようになった。そのような後遺症が原因で仕事に行けなくなることも考えられる。いわゆる、『就業不能状態』である。『就業不能状態』になったときに、保障を提供するものが、就業不能保障保険である。かつては、団体保険のマイナーな商品といった位置づけであった、就業不能保障保険が、注目されるようになったのは、ライフネット生命が「就業不能保険」を積極的に販売し始めたころだろうと記憶している。

現在では、多くの会社が就業不能保障保険を発売しているが、当然ながら、その商品内容は少しずつ異なっている。ライフネット生命の「働く人への保険2」では、入院している場合や、病気やけがの治療で医師の指示により在宅療養をしているときに給付金を受け取ることができる仕組みである。アメリカンファミリー生命の「給与サポート保険」でも、入院または在宅療養の場合に給付金を支払う仕組みになっている。「給与サポート保険」では、在宅療養は2つに分類されており、医師による治療が継続している状態で自宅から外出するのが困難な状態と障害基礎年金の受給要件を満たしていると認められる状態である。

就業不能保障保険のカバーする領域は、公的保障のカバー領域とも重複している。健康保険の給付である傷病手当金と、国民年金・厚生年金の給付になる障害年金の給付である。サラリーマンが就業不能状態になったという場合には、就業不能保障保険より先に、傷病手当金を考えるのが一般的であろう。就業不能保障保険は、公的保障を補完する位置づけと考えられる。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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