メンタルヘルス(心の健康確保)については、国を中心に対策が進められており、平成27(2015)年以降、従業員50名以上の事業所では、メンタルチェック制度を導入することが義務付けられている。また、厚生労働省が一般社団法人日本産業カウンセラー協会に委託して、「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」(ウェブサイト)を開設して、一般の人がメンタルヘルスについて理解しやすいように情報を配信している。
メンタルヘルスが崩れてしまうと、日常生活に様々な影響を受けることになるが、もっとも直接的なものは、精神の病気になることである。多くの人が思いつくのは、「うつ病」という病気であろうと思う。『なんとなく気分が落ち込んだまま時間が過ぎていく』と、うつ病と診断されると思われるかもしれないが、うつ病と診断されるには、一定の基準がある。医療保険などの分類で用いられているのはICD10(国際疾病分類第10版)という分類である。これは、WHO(世界保健機構)が運用しているものであるが、うつ病などの精神の疾病の診断では、DSM-Ⅴが使われる。DSM-Vはアメリカの精神学会による分類である。
うつ病になると入院させられるのだろうかという疑問が沸いてくる。患者調査(平成29年)によれば、精神関連で入院している人は、入院患者の全体の19%程度を占めている。もちろん、傷病分類別では第1位の割合である。
ただし、うつ病で入院する人はそれほど多くない。多いのは、統合失調症による入院である。うつ病の人が、精神科に入院をするのであれば、希死念慮(死にたいという願望)が強く認められるときなど限定的であろう。
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この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。