菅政権になって、携帯電話各社への通話料引き下げの要求が強調されるようになっている。『携帯値下げ、菅政権とせめぎ合い 3社「圧力すごい」』(日経新聞2020年10月15日)『ドコモが口火、携帯「官製値下げ」競争 菅政権と足並み』(朝日新聞2020年12月8日)など、政府から料金引き下げの圧力がかかっているとメディアは報じている。
携帯の通話料はそれほど高いのか、家計の面から考えてみたいと思う。総務省が公表している家計調査(2019年)によれば、平均すると1世帯(勤労者世帯)当たり、携帯の通話料を含めた「情報通信関係費」に2万円弱を支払っている。消費支出が32万円強であるから、情報通信関係費は消費支出の約6%を占めていることになる。
10年前の2009年と、金額を比較してみると、1世帯当たりの「情報通信関係費」は、1.8万円弱から、2万円弱と約13%金額が増えている。消費支出自体は2%程度しか増加していないので、情報通信に使うお金はかなり増えたことがわかる。菅政権の通話料の引き下げ要求は、家計のことを考えると、理解できるわけである。ちなみに、情報通信関係費の増加を世代別で分析すると、高齢者ほどその増加の割合が大きいことがわかる。65歳以上の人に限定すると、情報通信関連費の伸びは42%にもなる。『10年前は、若者が主なユーザーであったが、この10年間で、シニア層が、ほかの世代と同じような水準でICT(情報通信技術)を使うようになった』と解釈することができるだろう。
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この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。