傾聴とバーンアウト~その1

“傾聴”という言葉がある。傾聴の意味は、「人の話を黙って聞くこと」。FPになってしばらくしたころ、傾聴が大切だと教えられたビジネスの世界では、傾聴がそれほど重視されることはない。むしろ、相手を説得するために、いろいろと資料を準備してプレゼンを行う、そんなことを繰り返してしてきた。相手に理解してもらうために、どれだけわかりやすい資料を準備できるか、そこがポイントだと考えてきた。

顧客が100人いたとしよう。はたして、私の説明に納得する人はどの程度いるだろうか。手前味噌になるが、私は自分が何かを説明するとき、説明は下手な部類ではないと思っている。それでも、私の説明に納得する人は多く見積もっても約半数。残りの半数は、私の説明に反対の考えを持たれるかもしれないし、説明がわからないと感じるかもしれない。説明して納得させるのは、とてもむつかしい。

しかし、その点、傾聴は分のよい勝負ができる。傾聴に対して反発する人はあまりいない。そして、自分のいうことに対して反対意見を感じる人もいない。だから、傾聴に対する満足度は高くなる。整理してみると、傾聴というのは、実に、理に適ったコンサルティングの手法なのである。傾聴のよいところは、専門的な知識がそれほど要求されないということである。人を説得するためには、たくさんの知識とノウハウがいるが、傾聴をするためにはそのようなものは必要とされない。相手に寄りそう姿勢さえあれば傾聴は可能である。

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この記事は、「週間インシュアランス(生保版)」に掲載した記事を転載したものです。