保険のランキング②

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個人的には、悪い保険に投票することはしないようにしている。悪い保険を駆逐するのは消費者(広い意味での市場)の役割だと思うからである。よいと思う商品だけを紹介しておけば、ランキングの本来の目的は達成できるからである。

注 図は本文とは関係ありません

ところで、私は、完璧な保険商品はないということを伝えようとしている。どの保険商品も、何かの狙いをもって作成されている。こういう消費者に関心を持ってほしいという狙い。うちの会社にはこの分野でのノウハウがあるのでそのノウハウを商品に詰め込みたいといった狙いである。したがって、商品のターゲットになっている人たちにはそのことを知らせてあげればよいし、ターゲット外の人には、「あなたはこの商品のターゲットではありませんよ」というメッセージが伝わればよいと思っている。どのようなタイプの消費者にも、同じように魅力的な完璧な保険商品はあり得ないということである。

完璧な商品はないという意味からすると、ランキングの作成は意味がありそうである。なぜなら、総花的な保険商品はランキングが低くなるからである。ランキング上位に並ぶのは、商品として特徴(狙い)がしっかりしている商品である。

最後に残るのは、FPが保険商品をどのような基準で取捨選択するかという問題であるが、これはFPの資質の問題であり保険商品の問題ではない

※ この記事は、2013年6月、週刊インシュアランスに掲載したものです

保険のランキング①

雑誌の編集の方と話をしていると、「この時期になると、毎年保険の特集を組むのですが、安定して興味を持ってもらえるので大切なネタです」といわれることが少なくない。節約によって減ったとはいえ、世帯が支払う保険料は平均すれば2~3万円。保険料の支出は大きな支出項目になっていることに変わりはない。加えて、少子高齢化、公的年金への不安などが相まって保険に対するニーズは減っているようには思えない。だから、雑誌の特集で組むと、消費者は買ってしまうというのが本当のところであろう。

図は本文とは関係ありません

私のところにも、先日、雑誌社の方から連絡があった。『昨年もお願いしたのですが、今年もランキングにご協力いただけませんか』という依頼であった。FP数十名にアンケートを実施して、保険のランキングを作成する。分野ごと、よい保険と悪い保険をそれぞれいくつかあげて、理由を書いてほしい。そういった依頼内容である。ところで、この依頼、実は、無報酬である。FPにお金を支払う必要がないと考えているのか、お金を支払わなくても回答するだろうと考えているのかわからないが、私は、割く時間がなかったので回答しなかった。ちなみに昨年は回答したので、無報酬だから回答しないということではない。

さて、このようにして出来上がった雑誌でも、『公正中立なFPが数十人集まって厳選したよい保険と悪い保険』と銘打ってしまえば、消費者から見ればいかにも納得できるキャッチコピーになってしまう。舞台裏を知っている身としてはなんともやるせない気もする。私が感じるのは、報酬をもらえないのであれば責任を持った回答が減るだろうということである。有償であれば調査するようなことでも、無償であれば調査しないかもしれない。また、FP自身が特定の保険会社の専属代理店をしていたり、保険会社のOB・OGである場合には、その保険会社にバイアスがかかってしまうことが考えられる。さらに、保険商品のランキングが「美人投票化」する可能性も否定できない。「あの有名なFPが推している商品だから・・・」、「そういえばほかの雑誌のランキングでこの商品が上位ランクしていた」というような状況である。美人投票化してしまうと、ランキングは固定化する。あまり固定化してしまうと、本当に良い新商品がランキングされないという逆効果を生む。

 

※この記事は2013年6月に、週刊インシュアランスに掲載したものです。

介護保険に必要な給付②

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一方、30代・40代は子育て世代でもある。親の介護に拠出できる資金は限られている。前もって準備しておくことができなければ、保険で準備しようというのがリスク管理の基本であるが、子の世代は保険料を拠出することも大変かもしれない。片方の親だけ介護保険に加入させるということになると不公平感もある。やはり、介護保険は介護を受ける側が負担すべきだと思うが、一部の受取人を子の世代にすることはできないだろうか?

つまりこういうことである。要介護状態になったときは介護保険金や年金を親の世代自身が受け取る。現金で受け取る保険であれば、そのお金を周りの人の交通費に充てることも可能だろう。一方、要介護状態に陥らずに亡くなった場合には、一定の金額を死亡保険金として受け取れるようにしておくのである。要介護状態になったときの保険金は被保険者が受取り、死亡保険金は相続人が受け取るように設計されているのであれば、税制上の問題もないであろう。結果的に介護保険のお世話にならなければ、一定の金額が相続財産に加えられることになる。

保険をキーに考えると、保険料が高くなるという苦情になりそうであるが、相続をキーにして考えるとそうでもないように思う。だれでも、できるだけ次の世代に多くの資産を遺しておきたいものである。その反面、要介護状態になったときにはたくさんのコストがかかると認識している。前述の平成24年度生命保険に関する全国実態調査によれば、要介護状態になったときに必要と考える初期費用の金額は平均で262万円になっている。自分たちが要介護状態になったら民間の介護保険で一定のお金を確保して、そうならずに済んだときは一定のお金を遺しておく。こうしておけば、介護保険に加入して、それとは別に、死亡保険に加入するよりはコストを抑えられる

最近では、保険料が絶対的に安いことだけが強調される傾向があるが、金額や給付を受ける確率がどの程度なのかといった保障内容と保険料を比較することが強調されるようになるべきであろう。そして、もう一つ大切なことは、同じ給付金額であっても、消費者によってその価値は変わるということである。消費者の多様性を前提にするのであれば、特徴のある介護保険がたくさん登場するとよいと思う。

※この記事は、2012年、週刊インシュアランスに記載したものです

外貨建て保険の考え方②

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4.国際金融・経済の知識が必要

内外の金利差が為替を動かすこと。インフレが為替を動かすこと。景気がインフレに影響を及ぼすことなどをわかりやすく説明することができると、為替の話につながる。その上で、保険契約者自身が為替について判断できるように意思決定のための環境を整備することが必要である。

5.日本国債の知識も必要

日本の国債はその信用度(格付け)と利回り(イールド)が一致していない。最上位からかなり格付けが落ちるにもかかわらず日本の国債の利回りはとても低い。これは、GPIFや保険会社などの国内の機関投資家が日本国債を買い支えているからである。ただし、このような状態はいつまでも続かない。外国の投資家が日本の国債を購入するようになると、それなりの利回りを求める。つまり、日本国債の価格は下がる。その結果、為替は円安になることが予想され、外貨建て資産の価値が上昇する。

6.ポートフォリオの考え方も重要

外貨建てと邦貨建てをどの程度の割合で保有するのか。預貯金や投資信託と保険の割合はどうなっているのか。不動産などの占める割合などを勘案して、全体で評価できるポートフォリオの考え方が必要になってくる。ポートフォリオの考え方がわかれば、全体の中でのリスク(エクスポージャー)を考えることができる。

7.外貨建て保険はインフレ対策

終身保険など期間が長期にわたる保険ほどインフレ対策が必要である。日本ではここ数十年インフレについて話題になることが少なかったが、今後、インフレになることが想定される。そうなったときの対策の一つが外貨建て保険である。特に、円安によってインフレが引き起こされたときには、外貨で資産を持っているとインフレをヘッジすることができる。有配当保険などと同じように、外貨建て保険にはインフレヘッジ機能がある。

8.保障の話がメインになるべき、けれども、資産運用の話ができないとメリットを伝えられない

外貨建て保険は、保険であり、保険契約者にとっての魅力はその保障内容である。円建て保険に比べて、保障内容が同じであれば、割安な保険料が魅力になる。そして、その割安な保険料を説明するために資産運用の知識が必要である。

外貨建て保険の考え方①

ある保険会社から、外貨建て保険の勉強会の講師をしてほしいと依頼を受けた。残念ながら、全く日程が読めない時期だったので辞退させていただいた。保険会社のみなさまに、直接お話しすることができなかったので、その代わりに、私が外貨建て保険についてお伝えしたかったことを披露しておきたい。

1.外貨建て保険はリスクが小さい

「為替のリスクがあるじゃないか」という声が聞こえてきそうであるが、逆にいうと、「為替のリスクしかない」外貨建て保険が多くなってきている。何かリスクを取らなければ、利回りが期待できないという前提に立てば、為替・株式・新興国にも投資する投資信託などに比べて、外貨建て保険のリスクは大きくない

2.資産運用と考えない

外貨建て、変額というと、すぐに、運用とつながりそうであるが、実際はそうではない。資産運用だけを考えるのであれば、投資信託に軍配が上がる。あくまで、保険で、その保険料を少しでも安くするために限定的にリスクを採っているのが外貨建て保険である。外貨建ては資産運用、円建ては保障と考えるのではなく、外貨建ても、円建ても保障である。

3.為替の変動を予想しない

為替は変動するものである。しかし、為替の変動は予想できない。レートの予想をするのは、商品説明としては最悪の手である。過去のレートを持ち出すのは、その次に悪い手。賢明な手は、為替がどのように動くのか説明すること。実際、各国の中央銀行の政策が為替に大きな影響を及ぼす。

 

この記事は、週刊インシュアランスに掲載したものです。