生命保険と意思決定支援~前半

人生100年時代健康余命などのことばが流行している理由は、思っている以上に長いと思われるシニアの期間に、私たちが不安を感じているからである。生命保険は、長いシニアの期間に直接かかわりを持っている金融商品である。“生涯保障します”と謳える金融商品は、生命保険が唯一無二の存在である。そして、“生涯保障”のために生命保険では、他の金融商品に先駆けて考えなければならない問題もある。意思決定支援もその一つであろう。

1990年代に、リビングニーズ特約という商品が外国からもたらされた。『余命6か月以内と診断されたら、保険金を先にお支払いします』という特約は、保険料が不要なこともあり、発売当初は、生命保険募集人の“キラーコンテンツ”になった。意思決定支援という観点から考えると、リビングニーズ特約は、『意思決定の代理』に該当する。「ご本人(被保険者)は、自分で意思決定ができないと推定されるので、代わりに身内が意思決定を行います」というのがリビングニーズ特約である。

さて、ここ30年ほどで、平均寿命は男女ともに6年ほど伸びている。シニアの期間が昔より長くなったわけである。生涯保障している保険契約に対しても消費者の要望は大きくなっている。生命保険業界も、生命保険協会が「高齢者向けの生命保険サービスに関するガイドライン」を公表するなどして、シニア世代の意思決定について対応をしていることは事実であるが、まだ、十分ではないと感じる。

それは、シニアの意思決定を誰が、どのように代理するかのみが検討され、意思決定そのものを支援するという観点が足りないように思えるからである。

続く

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

イ ンシュアランス掲載記事

10月第4週の市況

2022/10/24    月

米国ではウォールストリートジャーナルがFedの金利の引き上げ姿勢が緩和されそうと報じた影響で、株式市場は上昇した。Snap Incは広告収入が減少し、四半期の成長率が過去5年で最低になったと公表し、株価は3割弱下落。同業のMeta PlatformsやPinterestも、それぞれ、1.2%、6.4%株価下落。欧州市場では中央銀行の金利引き上げへのタカ派的な姿勢とアディダスなどの業績が芳しくなかったことを受け、株式市場は低下。アディダスは需要減から通年での見通しを下方修正し株価は9.5%下落。ライバルのプーマも7.3%株価下落。化粧品のロレアルは、アナリストから売上について議論の余地があると断じられ株価は5.8%下落。英国で9月に消費者が急激に買い控えをしたことが公表されたこともあり小売り関連が3.2%値下がり

2022/10/25    火

米国市場では、SPグローバルはビジネス活動の縮小を公表しFedの利上げに対する逆風とみなされ、11のセクターのうち9のセクターが値上がり。素材と不動産のみがマイナスになった。米国に上昇している、Pinduoduo、JD.com、Baiduなどの中国株は習政権が新たな政治局常務委員会を構成したことから、株価は12%ないし25%下落した。欧州市場では、Fedの利上げのペースが鈍化するかもしれないという期待感に、英国でスナク氏が首相に選出されることになったことを受けて、株式市場は上昇。公益、メディア、旅行・レジャーなどのセクターが市場をけん引。英国市場では株式指数のFTSEが0.6%上昇し、英国債も値を上げた。EU域内のビジネス指数はここ2年で最も縮小した。中国の習指導部が経済成長を犠牲にして、政治主導の政策をとるとの見方から香港株を保有するデンマークのProsusは17.3%株価下落。アジアに地盤を持つ英国プルデンシャルも9.3%値を下げる

2022/10/26    水

米国市場では住宅価格の伸びが鈍化し、消費者信頼感が芳しくなく、Fedの利上げスタンスを弱まらせるとの見方から、イールドの上昇圧力が低下。エネルギーを除くすべてのセクターで株価は上昇。コカ・コーラは業績見通しを上方修正し株価は2.4%上昇。GMは堅調な業績を公表し見通しを維持したことから株価は3.6%上昇。Alphabetは四半期の売り上げ見通しを達成できなかったことから、市場外取引で6%株価下落。マイクロソフトは売り上げが予想を上回ったが株価は2%以上下落。欧州市場では、企業収益が好調なことから2日連続して値を上げた。金融、不動産、テクノロジーなどが市場をけん引。UBSは四半期の利益が予想を上回り株価は7.7%上昇。また、SAPやLogitechも値を上げた

2022/10/27    木

米国市場では、ダウは値を上げたが、マイクロソフトが6%、Alphabetが8%値を下げたことが影響してSP500とNASDAQは下落。コミュニケーションサービスとテクノロジー株が最も下落。住宅ローン金利がここ20年以上で最高の水準になったことから新規住宅着工数が下落。ボーイングは予想以上に損失が広がり株価は7.9%下落。欧州市場では、カナダ中銀が予想より低い利上げを行ったことから、金利引き上げの鈍化への期待感が広がり、株式市場は5週間来の高値を付けた。ドイツの株価指数DAXは1.1%上昇。米国のマイクロソフトとAlphabetが予想以下の業績を公表したことからテクノロジー株は軟化。好業績を公表したが英国のバークレイズ、スペインンサンタンデールなどの銀行が下落。ドイッチェバンクは1.2%の株価上昇。利益の見通しを引き上げたイタリアのウニクレディは4.3%上昇

2022/10/28    金

米国市場ではGDP統計が公表され、ダウは値を上げたがSP500とNASDAQは下落。前日にマイクロソフトとAlphabetが値を下げたのに同調し、Meta Platofomesも暗い見通しを公表し株価は24.6%の下落。キャタピラーは予想以上の業績を公表し株価は7.7%上昇。マクドナルドも業績好調で3.3%の値上がり。セクター別では産業株が大きく値を上げたが、Metaに引きずられてコミュニケーションサービスが最も下落。欧州市場ではECBが予想通り0.75%の利上げを行ったが、株式市場はわずかに下落した。また、ECBが銀行向けの格安ローンTLTROをカットしたが、銀行株は値上がり。そのため銀行株のウェイトが大きいイタリアやスペインでは市場は上昇。業績が悪化しているクレディスイスは資本を増強し、雇用を削減し、富裕者層やインベストメントバンキングに集中することを企画しているが、株価は18.6%下落。STMicroelectronicsは下半期の業績が鈍化すると予想し、株価は7%下落  

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