障がいのある子の親亡きあと~後半

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就学前の障がい児で、発達障がいのお子さんの場合、まだ特性がはっきり出ていないかもしれない。多動性があったとしても、“落ち着きのない”子どもは普通である。その多動性が、障がいの特性から生じるものなのかどうか、判断するのはもう少し先になる。

就学後の障がい児を持つ親にとって、最大の関心事は、就職のことであろう。仕事に就くということは、社会に参加にするという意味において重要であるが、仕事が生活を決めるという意味でも重要である。障がい者にとっても、ワークライフバランスは大切であるが、満足のできるワークは、満足のできるライフを生み出すのである。

お金のことは、障がい者になる時点で考えればよい。「障がいのある子を持つ親だから、〇〇万円必要」というわけではない。逆に、「どのような状態であっても、生活保護という最後のセーフティネットは国が用意してくれている」と考えると少し安心できる。

親として準備しておきたいのは、「ひと・もの・かね」である。最も大切なのは「ひと」である。親以外に関わってくれる人をたくさん作っておくことが何より大切である。福祉関連事業所、医療機関、地域、行政などのネットワークが大切である。

「もの」としては、利用できる施設や制度ということになるだろう。「もの」は社会的資源と言い換えることができるが、社会的資源は、お住まいの市区町村によって、かなり差異があるので注意が必要である。

「かね」で最も大切なのは、障害年金である。特に、20歳から年金を受け取れるケースでは、障害年金がその子の収入の中心になる。障害年金を受けることができるのであれば、生活保護を受給することなく生活することが可能な場合もある。

さらに、親がしておきたいことは、障がいのある子の意思を、親以外に伝える手段の確保である。これは、障がいの程度によって異なる。最後の手段は、成年後見制度ということになるが、それ以外でも、ご本人の意思を伝えることができれば、よりよい生活を送ることができる。

親が亡くなるときに相続の問題が発生するが、それは子に障がいがあるから引き起こされるわけではない。障がいを軸に相続を考えるより、相続という大きな問題の中に障害という要因が含まれていると考えたほうが、合理的な判断にたどり着くことができる

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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