東京の家計が受けたコロナの影響

2021年2月に、2020年(暦年)の家計調査の家計収支編が公表されました。

昨年、2019年のデータから確認しておきましょう。グラフは内側の円グラフが全国平均、外側のグラフが東京都区部です。

東京の特徴は、

  • 交通・通信費の割合が低い
  • 教育費の割合が高い
  • 直接税の割合が高い

というものです。

2020年の状況はどうであったかというと、ほぼ同じような傾向になっています。直接税の割合が大きくなったことがちょっと目につきます。

2020年は、コロナウィルスの影響があったことが考えられますので、2019年と2020年でいくつかの項目の増減をチェックしてみましょう。

最初に、全国平均です。

収入は世帯主の収入が減って、配偶者の収入が増えています大きく落ち込んでいるのは、交通費と交際費です。これらは、コロナウィルスの影響と考えられますね。

一方で、食料は2.7%増えています。自宅で食事をしたことの影響だと推定できます。直接税と社会保険料は増えていますね。

東京都区部になると少し様相が変わります

収入ですが、世帯主の収入は増加しています配偶者の収入は2割弱増えています

交通費と交際費は大きく下落していますが、全国平均ほど下落はしていません。通信費が増えているのは、オンライン会議などの影響かもしれませんね。

直接税と社会保険料は、全国平均を大きく上回る上昇になっています。保険料は、全国平均より大きく減っています

東京都区部の変動を全国平均の変動と比較すると、都市部の家計の動きが少しわかりますね。

家計調査からみるシニア世代とお金の関係~その2

前半部分はこちら

ところで、この10年間で、勤め先の収入は11%増加したが消費支出は2%しか増加していない。家計は、相応に“節約”をしていることがうかがえる。一方で、非消費支出に関しては所得税や住民税などの直接税が11%増加し、厚生年金保険や健康保険の保険料などの社会保険料に至っては30%も増加している。節約をしているにもかかわらず、暮らし向きがよくなったと感じる人が少ないのは、直接税や社会保険料などの非消費支出の増加があるからである。

さて、家計調査には保険料も集計されている。同じ10年間でみると、1世帯当たりの保険料は、2009年に2.8万円であったものが、2019年には2.4万円に下がっていることがわかる。率にすれば13%の下落である。世代別で下落率を計算してみると、保険料の低下が著しいのはシニア世代であることがわかる。特に下落率が大きいのは60歳代後半である。おそらく、かつて加入していた65歳払済の保険契約の保険料払込期間が満了した後、かつてほど保険に加入しなくなったためであろう。保険料の支払金額が減ったのは、1件当たりの金額が低下したこともあるであろうが、シニア世代がかつてほど保険に依存しなくなったことも要因であると推定できる。

直接税は、全体としてみれば、この10年間で11%増加しているものの65歳以上のシニア世代に限ってみれば12%減少している30代後半では30%も増加しているので、税負担の不平等感は拡大しているとみたほうがよい社会保険料は全体として30%増加しているが、65歳以上のシニア世代でも23%増加している。社会保険料は、全体的に負担感が増えているのである。

家計調査を分析すると、いまどきのシニア世代とお金の関係が推測できる。シニア世代は、ICTを不自由なく使うようになってきている。それゆえ、情報通信費用の世代間格差は縮小している。どの世代でも消費支出に占める割合が大きくなってきていることが、政治を介した保険料値下げの圧力につながっているのであろう。保険については、保険料の払い込みが完了すると、それ以降は、以前ほど保険に加入しなくなったこともうかがえる。保険料の負担は、若い世代で減ったのではなく、シニア世代で大きく減少している。“保険の見直し”が行われているのは、若い世代ではなく、シニア世代なのである。

直接税や社会保険料といった非消費支出は大きなウェイトを占めている。シニア世代の家計の分析をするのであれば、家計簿から出発するのではなく、額面収入から非消費支出を最初に差し引いて、その残額で家計をやりくりするというイメージを持ったほうがよいであろう。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

インシュアランス掲載記事