それまで自分でできていたものが、だんだんとできなくなってくる。同居している家族が、サポートするのが理想であるが、できないことも多い。そういったとき頼りになるのが公的なサービスである。“公的な”とは、『国や都道府県、市区町村が公費を使って行うもの』と考えればよいだろう。
その原因が加齢によるものだとすれば、介護保険が公的なサービスの源泉になる。また、その原因がケガなどによるもので、障がいが残るようなものであれば、障害者総合支援法が源泉となる。前者が高齢者福祉、後者が障がい者福祉である。
高齢になって足腰が弱って自分で十分掃除できないというのが前者の例。交通事故にあって片麻痺が残り、自分で掃除ができなくなったというのが後者の例である。
この2つの例では、『掃除ができない』という結論は同じであるが、この2つの法律では、そのサービスの名称が異なっているので注意が必要である。
介護保険で、自宅にヘルパーさんに来てもらって掃除をしてもらうサービスは、「訪問介護」と呼ばれている。訪問介護のサービスに対しては、自己負担は1割から3割となり、残りは、原則、国が5割、都道府県、市区町村で5割の負担である。
「訪問介護」のサービスを受けるには、ケアプラン(介護サービス計画書)が必要になる。この計画書は、自分で作成しても構わないが、ケアマネージャー(介護支援専門員)に依頼することもできる。ケアマネージャーに対する報酬も介護保険で賄われることになり、「居宅介護支援」という名称のサービスになる。このサービスに対して自己負担はない。
交通事故にあったケースを考えてみよう。障がい者手帳の交付を受け、障害者総合支援法のサービスを受けるものとしよう。介護保険と同じように、自宅にヘルパーさんに来てもらって、掃除をしてもらうことができる。ただし、こちらのサービスは、「居宅介護」という名称になる。介護保険と名称が異なり、さらに、介護保険のケアマネージャーの「居宅介護支援」と名称が紛らわしい。
(後半に続く)
この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。