為替を予想することができればリスクをヘッジすることができる。ただし、為替レートを決めるのは、トレーダーの思惑であったり、政治的な要因であったり、その国の治安であったり様々な要因であり、これらを予想することは不可能である。そのような為替レートについて、保険募集人が、「為替を予想します」と言ってしまえば、それは、別の意味でリスクを生じさせてしまう。
しかし、保険にはそもそも平準払という保険料の支払方法がある。そして、外貨建て保険でありながら、保険料を円建てで設定している保険も少なくない。そうすると、ドルコスト平均法の理屈が当てはまり、円高の時にはたくさんの保険料を支払い、円安の時には少しの保険料を支払うということになり、結果として、割安な為替レートを適用させることができるしくみになっている。
保険金を受け取るときはどうかといえば、保険金の受け取りを先に延ばす手段がある。為替リスクの低減のためにはこれで充分である。保険自体に、為替のリスクに対応するしくみはすでに組み込まれているのである。
一方、保険のしくみ上、金利については無防備になっている場合が少なくない。正確に言うと、保険会社は守られているが、保険契約者が無防備になっているということである。外貨建て保険では積立利率が月単位で変更されるものが少なくない。この場合、外国での金利が下がると、積立利率が下がり保険契約者は直接的な不利益を被る。契約時の利率が2.5%だったものが、現在では0.5%になっていたとしよう。外貨建て保険に加入し続けるメリットは何だろう?
一時払タイプの外貨建て保険には、MVA(市場価格調整)というしくみが導入されている。理屈の上では、MVAの機能は積立金を引き上げる方向にも、引き下げる方向にも動くことになるが、『契約時の利率が2.5%だったものが、現在では0.5%になっている』ような、保険契約者が解約を考えたくなるようなとき、MVAはペナルティとして作用し、解約返戻金を引き下げることになる。さらに、大幅な解約控除が設定されている契約の初期の段階であれば、解約控除というペナルティも加わる。
私が、お話させていただいた「外貨建て保険の一番のリスクは為替ではなく、金利です」という内容はこのようなものであった。
この記事は、週刊インシュアランスに掲載された記事です。
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