6月第3週の市況

2023/6/12    月

米国市場では、GMがTeslaのスーパーチャージャーネットワークを利用することで合意し、Tesla株は4%、GM株は1%値を上げ、株式市場は値を上げた。アップル、Nvidia、AMDなどのメガキャップは収益が好調であり、Fedの利上げが終局に入っているとの認識から株価上昇。Targetはブローカーが格下げ株価が3.2%値を下げ、Adobeは格上げにより株価は3.4%上昇。欧州市場では、欧米の中央銀行の政策会合を前に、警戒感から市場は下落。保険や銀行といった金利感応度の高いセクターで値下がり。英国の化学会社Croda Internationalは通年の利益が予想を下回りそうであるとの見通しを示し、株価は12.5%下落。フランスのVivendiはフランスの株式指数CAC40から除外される予定であることが公表され、株価は2.4%値を下げた

2023/6/13    火

米国市場では主要3指数はいずれも上昇し、NASDAQ、SP500、ダウの順に値上がりした。Teslaは2.2%株価が値上がりし史上最高値となった。アップルやマイクロソフトも1.5%値上がり。背景は、インフレの鈍化が予想され、Fedが利上げを見送るとの予想がある。OracleはJPモルガンが予想株価を引き上げ、株価が3.5%上昇した。英国市場では化学会社のCroda Internationalが金曜日の下落からリバウンドしてFTSEもわずかに上昇した。オンライン生鮮食品のOcadoはBNPパリバが格付けを引き上げたことから株価は3.6%上昇

2023/6/14    水

米国では、5月の消費者物価の上昇率が鈍化しSP500とNASDAQは14か月ぶりの高値となった。ドルが安くなったことにより素材やエネルギーといったセクターがけん引した。小型株も値上がり。中国の中央銀行が短期の貸し出しレートを引き下げたことによりアリババやJD.comなどの米国上場中国株が値上がり。インテルはソフトバンクの子会社のIPOの主要投資家になることが判明し株価が1.7%上昇。欧米市場では、米国のインフレ統計が穏やかで、Fedが利上げを見送る公算が高いと判断され、市場は上昇した。金利感応度の高いテクノロジー株が値を上げ、鉱業株も7週間ぶりの高値となった。LVMH、Richemontなどの中国関連株が上昇。デンマークの海運Maerskは韓国とデンマークの間でカーボンニュートラルのメタノールを使った船舶を就航させることを公表し株価は4.6%上昇

2023/6/15    木

米国ではFedが金利を据え置いたが、年末に向けてさらに利上げをする意向を示し、株式市場はまちまち。エネルギーと食料の価格が下落したことにより生産者物価指数は予想以上に下落した。NvidiaやBraodcomは4%株価を上げ、NASDAQとSP500は値を上げた。第2四半期に、パンデミックの時期に遅れていた高齢者の普段の医療行為が再開されコスト増により、医療保険のUnitedhealthは6.4%株価下落。そのためダウは値を下げた。AmazonがAI向け半導体を利用すると報じられたAMDは2%以上株高に。欧州市場ではFedが利上げを見送るとの観測の下、銀行や鉱業株が値を上げ、市場全体も値上がり。銀行株のウェイトの高いイタリアやスペインの市場も1%前後上昇。鉱業株は米ドル安と将来の景気刺激策への期待から上昇。LogitechはCEOと社長が急遽離職したことから株価は12.5%下落した

2023/6/16    金

米国では、5月の小売り販売が予想外に上昇したが、新規失業保険申請者数は予想以上の数値となり、輸入価格はここ3年で最も下落したことがわかり、投資家はこれらの統計を歓迎。主要3指数はいずれも上昇した。セクター別ではヘルスケアやコミュニケーションサービスが1.5%以上値上がり。アップルは1.1%値を上げ、マイクロソフトも3.2%値を上げ、それぞれ史上最高値を更新。欧州市場では、ECBが予想とおり利上げを行い預金金利は3.5%と22年間で最高の水準になった。市場は全体として値下がりし、金利感応度の高い銀行株は0.8%、テクノロジー株は0.6%値下がり。H&Mは6月の業績が好調で株価が3.7%上昇し、英国のオンラインファッション販売のASOSは新戦略を公表し株価が14.8%上昇

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大丈夫じゃない資産運用~後半

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こういった負のスパイラルに陥らないためにはどうすればよいのか。筆者は、ファンドへの投資ではなく、株式への投資を意識づけるのがよいと考えている。なぜなら、株式のリターンが、預金の金利より高いことに納得できなければ、株式に投資しようと思わないからである。株式への投資を拒否して、株式型のファンドに投資することは自己矛盾がある。株式そのものに投資しなくても、ファンドが投資している株式を意識しながら投資することで、株式への投資を意識づけることになるだろう。

株式とは、株主の持ち分を平等に単位化したものである。株主の持ち分は、会社の資産から、会社のほかの債権者の持ち分を差し引いた純資産によって決まる。会社の発行する債券を保有している投資家は、会社から見ると債権者ということになる。債券は、多くの場合、金利が固定されているので、その価値(時価)が大きく変動することはない。ただし、約定された金利以上の報酬もない。株主の持ち分は、債券の保有者に比べて、変動幅が大きい。その持ち分はゼロになるかもしれない。しかし、大きな利益を生み出したとき、株主への還元(配当や自社株買いなど)は大きなものになる。株式のリターンが、債券のリターンより高い理由はここにある。

株主の持ち分を上昇させる要因はいくつか考えられる。最も大きな要因は、企業の業績である。利益は、現金の増加という経路を通って、資産を増加させる。資産の増加は、株主の持ち分の向上を意味する。だから、株式市場のニュースの中心は、企業の業績になる。

金利の動向も要因の一つである。IT関連企業であれば、将来の予想収益の割引率が大きくなると。資産の増加が予想以下になると考えられる。よって株主の持ち分にマイナスの影響を与えると考えることができる。一方、銀行であれば、貸出金利を引き上げることができるので、金利上昇は、資産を増やす方向に機能する。したがって、株主の持ち分にはプラスの影響を与える。

長期的に考えれば、株式市場に投資しておけば、そして、分散して投資できれば、“放っておいても”資産は増える。ただし、問題は投資家自身が、“放っておける”かどうかである。『インデックス投資のように市場全体に投資していれば、ファンドに投資していれば大丈夫』と考えるのは少し甘い見込みである。市場や企業を見ることなく投資することは控えたい。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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