2月第1週の市況

2023/1/30    月 

米国では、PCEがほぼ予想とおりとなり、需要が低減しインフレが軟化したことが確認された。主要3指数はいずれも値を上げ、NASDAQが最も値を上げた。セクター別ではエネルギーが2%値を下げたが、耐久消費財が上昇。芳しくない収益予想を公表したインテルは6.4%値を下げる。シェブロンは2022年の通年の利益は史上最高となったが、第4四半期の利益が予想以下となり株価は4.4%下落。アメリカンエキスプレスとVISAは予想を超える利益を計上し、株価はそれぞれ、10.5%と3.0%上昇。欧州市場でも株価は続伸。9-11月期の損失が予想を上回ったH&Mは4%株価下落。スピリッツのフランスのRemy Cointreauは売り上げが予想を下回り、株価は3.7%下落。LVMHが欧米での需要により予想を超える売り上げとなったことから、同業のMonclerやRichemontも株価上昇

2023/1/31    火

米国市場ではAmazon、アップル、Alphabetなどのメガキャップが値を下げたことから市場全体も下落。イールドが上昇したこともテクノロジー株には逆風となった。投資家は各企業の決算発表と中央銀行の政策会合を前に様子見。欧州市場では、スペインの1月のインフレが対前年同月比5.8%となり予想以上の水準になり、今週後半のECBの政策会合の利上げに注目が集まる。イールドは上昇。テクノロジー株を中心に株価が下落。ロンドン市場ではユニリバーに新しいCEOが就任し株価が上がったおかげで、市場全体の下落幅は限定的。Philipsは6000人の雇用削減を公表し、株価は7%上昇

2023/2/1    水

米国では四半期の労働コストの上昇が1年間で最も鈍化したことから、Fedの金利政策が緩和されるのではとの期待がふくらみ市場は上昇。UPSが予想を超える四半期利益を計上し、GMは予想を超える見通しを公表し、両株ともに値上がり。キャタピラーは四半期の利益が29%減となり、株価下落。欧州市場では市場は下落。2022年の第4四半期ユーロ圏では何とか成長を維持できたが、全体的な見通しは弱い。ドイツでは12月の小売販売が予想外に下落し、フランスでは、エネルギー価格の上昇により、1月のインフレが上昇。セクター別ではNovo Nordiskやロッシュが株価下落したおかげでヘルスケアが軟化。イタリアの銀行ウニクレディは史上最高の四半期利益を計上し、株価が12.3%上昇。スイスの銀行UBSは先行きの不透明感から株価が2.1%下落

2023/2/2    木

米国ではFedが市場の予想とおり0.25%の利上げを行い、パウエルFRB議長は、今年に数回利上げを行うが、インフレが緩和される方向に向かうと発言。エネルギー株は1.9%値を下げたが、金利感応度の高いテクロノジー株は2.3%値を上げた。欧州市場では株価は横ばい。ユーロ圏内の製造業活動が1月に下落したと同時にインフレが緩和したことが公表された。ドイツのDAXはドイッチェポストとエアバスが値を上げたことから0.4%の値上がり。スペインの銀行BBVAは四半期の純利益が増加し株価は4.7%上昇。ヘルスケア関連では、主要薬の落ち込みがあるNovartisは2.7%株価が下落し、行政や見通しが好調なNovo NordiskやGSKは値上がり

2023/2/3    金

米国市場では、パウエルFRB議長の利上げに対する控えめなコメントが好感され、NASDAQやSP500が約5か月ぶりの高値水準に達した。メタ・プラットフォームズは400億ドルの自社株買いを含む改革を公表し株価が23.3%上昇。アップル、Amazon、Alphabetも明日の決算を前に株価上昇。政府からの先進医療に関する返還率が予想以下の提案になったことから、ユナイテッド・ヘルスケアは5.3%株価下落。そのほかMerckやEli Lillyも値下がり。欧州ではECBが予想とおり0.5%の利上げに踏み切り、さらに少なくともあと1回利上げを行うとコメントしたが、市場では利上げの終焉は近いとみている。イングランド銀行も予想とおり0.5%の利上げ。英国のFTSEは0.8%上昇し、ドイツのDAXは2.2%値上がり。金利感応度の高い不動産株を中心に値を上げた

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金利と保険~後半

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今後、金利はどのようになるだろうと質問を受けることがあるが、本当のところはわからない。ただし、市場のコンセンサスは確認することができる。それが、イールドカーブである。縦軸にイールド(利回り)、横軸に残存年数をとって、その国の最もリスクの低い債券である国債について、イールドをプロットし、プロットした点をつないだものをイールドカーブという。

 

 

あなたが人にお金を貸すことを考えてみよう。1年後に返済されるケースと、10年後に返済されるケースを比較して、どちらのケースの金利を高くするだろう。10年後に返済されるケースの金利が高くなることが、合理的な考え方である。同じことが、国の借金(国債)にも当てはまる。だから、イールドカーブは、通常、右肩上がりになる。しかし、現在の、米国のイールドカーブは、そのようになっていない。右肩下がり、あるいは、フラット化している。

このことが意味しているのは、将来、金利が低下するということである。なぜ金利が低下するかといえば、企業がお金を借りなくなる、消費が停滞して価格が上がらなくなるからである。それは、つまり、景気の停滞を意味している。米国のイールドカーブの背景にあるコンセンサスは、近い将来、米国の景気は停滞・後退することである。そうなると、株式市場は低迷する。「株式市場=投資信託」と考えるのであれば、『景気が低迷してきたときは、投資信託より、保険が有利』という結論にたどり着く。

実は、この結論を上手に使っているのは、マネー雑誌である。景気が低迷すると、特集が組まれるのは保険、景気が良いと、投資信託を中心とした特集が組まれることが多いことにお気づきだろうか。

注意していただきたいのは、保険が相対的に有利になっているのは、外貨建て保険であって、円建て保険については、あまり魅力を感じないことである。

なぜなら、日本の金利は低いままであるからである。財務省によれば、令和4年末には、普通国債の残高は1,026兆円になると見込まれている。ただし、残高は年々増加しているのであるが、利払費は横ばい状態にあることは注目すべきである。そして、その理由は、国債の金利が下がっているからである。日本には金利が上がると国債の利払いの負担が増えるというマイナス要因が存在することがわかる。これかを考えると、日本の金利が上昇するイメージはあまり持てない。金利が上がる前に、景気が悪くなって金利を上げられないのではないだろうか。

最近の景気や市場の動向を考えると、今は、新たに投資を始めるより、新たに保険に加入するのに適したタイミングなのかもしれない。ただし、ここでいう保険とは外貨建て保険のことであり、円建て保険の魅力度はそれほど上がっているとも思えない。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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