プリンシプル・ベースの考え~その1

金融庁が、2020年9月に「顧客本位の業務運営に関する原則(改訂案)」を公表した。この改訂案は、2020年8月に公表された、金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「顧客本位の業務運営の進展に向けて」(以下「報告書」)を踏まえての改訂ということになる。そして、報告書で、謳われているのは“プリンシプル・ベース・アプローチ”である。プリンシプル・ベースについては、平成19年当時の、金融庁長官がウェブサイト上で解説してくれている。引用させてもらうと、『プリンシプル・ベースのアプローチは規制対象の金融機関が尊重すべき重要ないくつかの原則や規範を示したうえで、それに沿った行政対応を行っていくということです。金融機関の自主的な取り組みを促進する、あるいは金融機関の経営の自由度を確保するといった点でメリットの大きいものです。』とある。プリンシプル・ベースについて、簡単に説明するのであれば、「規制当局から事細かな規制は列挙しませんが、原則を提示します。原則をどのように実践するかは金融機関で考えてください」ということであろう。

プリンシプル・ベースの対局となる概念が、ルール・ベースである。金融商品取引法は、有価証券の定義を行ったり、法律違反となる行為を列挙したり、法律にすべてが記載されているというルール・ベースに基づいている。法令順守という観点からすると、ルール・ベースの金融商品取引法はとても対応しやすい。なぜなら、「法律を守っていれば違反はない」と考えられるからである。一方で、金融庁は、「顧客本位の業務運営は、ルール・ベースでは達成できないので、プリンシプル・ベースを採用する」と、原則を通じて伝えている。そして、報告書では、原則が十分に現場に浸透していないとも言及している。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

インシュアランス掲載記事

 

10月第4週の市況

2020/10/19    月

米国では、ファイザーがBioNTechと共同開発しているコロナウィルスワクチンの承認を申請する。同株は3.8%の上昇。9月の小売りが予想を上回り、また、ミシガン大学消費者信頼感指数も予想を超えたことからSP500とダウは値を上げた。NASDAQは値下がり。個別銘柄では、石油開発のSchlumbergerが3期連続の赤字を計上し、8.8%の値下がり。エネルギー関連が最も値を下げた。欧州市場でも、コロナウィルスワクチンの年内解禁への期待感から市場は上昇。LVMHはルイヴィトンのハンドバックが堅調で7.3%の値上がり。そのほか、高級品のMonclerやバーバーリーが3%以上の値上がり。ティッセンクルップは、製鉄部門の買収提案を受けて10.8%の上昇。英国のジョンソン首相は合意なきBrexitの準備にコメントしたが、市場では合意されるとみられておりFTSEは1.5%の上昇

2020/10/20    火

米国市場では11月3日の大統領選の前にコロナ支援策をまとめるためには火曜日がデッドラインになっており、それまでにホワイトハウスの提案する1.8兆ドルの支援策とペロシ下院議長が求める2.2兆ドルの支援策の乖離は埋まりそうもなくしじゅおは軟化。すべてのセクターで値を下げエネルギー関連は2%以上値下がり。また、アップル、マイクロソフト、Amazonなども2%以上値を下げた。ConocoPhillipsはシェルオイル生産のConchoを97億ドルで買収することを公表し3.2%株価下落。欧州市場でも、EUがBrexitの対話を促進させる用意があることを表明したが、コロナウィルスの感染者増でウェールズが2週間のロックダウンとなり、英国全体も3週間のロックダウンが必要といわれ、株式市場は下落。クレディ・スイス、UBSはそれぞれ4.4%と3%値を上げた。スウェーデンのSAABは減益により株価が14.3%下落

2020/10/21    水

米国市場では、ペロシ下院議長がコロナウィルス支援策を週末までに合意させたいとコメントし市場は上昇。金融、産業、一般消費財などのセクターが値上がり。司法省はGoogleの親会社alphabetを反トラスト法で訴訟。alphabet株は1.4%の値上がり。Travelaers Conは予想を上回る決算で5.6%の株価上昇。Netfliexは増収になったが予想を下回ったので株価は6%の下落。欧州市場では、英伊西のロックダウンに加えてアイルランドのGDPが3.5%の下落となり市場は軟化。UBSは四半期利益が99%増となり株価も2.7%上昇。コンピューター関連機器製造のLogitech internationalは通期の利益予想を上方修正し16%の値上がり。英国ではイングランド銀行の幹部がさらなる景気刺激の必要性を訴え、FTSEは0.6%の上昇

2020/10/22    木

米国ではコロナウィルス対策の交渉が長期化しており市場は下落。特に、エネルギー関連が大きく値下がり。アプリSnapchatを提供しているSnapはユーザー、収益ともに予想を超える増加となり株価は28%上昇。ほかのソーシャルメディア、FBやTwitterもそれぞれ4%、8%株価を上げた。より小型なソーシャルメディアを提供するPinterest Incも9%株価上昇。Teslaは市場終了後決算を公表し予想以上の収益となり株価が4%上昇。欧州市場ではヘルスケア、建築関連を中心に市場は下落。英国市場は、ポンド高となったために主要株価指数のFTSEは1か月で最大の下落となった。Nesleは2020年の予想を引き上げたが株価は幾分下落。中国での5Gの展開の効果でスウェーデンのEricssonは四半期収益が上昇し9.6%株価上昇

2020/10/23    金

米国ではペロシ議長がコロナウィルス対策の合意に楽観的な見通しを示すが、ホワイトハウスのクロドー経済アドバイザーは依然として大きな隔たりがあるとコメント。失業保険新規申請者数は高水準ではあるが予想を下回る。市場ではエネルギーと金融がけん引して、方向性のない市場であったが、市場全体も値上がり。レムデシビルの人体実験の許可が下りたGliead Scienceは3.6%株価上昇。欧州市場では、英国がコロナウィルス対策を公表したことがプラスの材料だったが、市場全体では4日連続で値下がり。英国市場では、Trainline,GVC、IAGなど旅行・レジャー関連が値を上げ、旅行・レジャーセクターは1.6%の上昇となった。FTSEも0.2%上昇。ドイツでは消費者信頼感指数Gfkが先月より下落して、株価指数のDAXも値下がり

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