7月第2週の市況

2023/7/10    月

米国では労働統計が賃金上昇は大きかったが新規雇用者数は2年半ぶりの低調な水準となり、株式市場では主要3指数はいずれも下落。個別銘柄ではデニム製造のLevi Straussが年間の利益予想を引き下げ7.7%の株安になった。予想を超える四半期の出荷を計上した電気自動車のRivian Automotiveは14.2%の上昇。中国当局がフィンテック企業のAntグループに対する1年に及ぶ検査を終了し9.84億ドルの罰金を科することを決定し、Antを配下に収めるアリババの米国上場株は8%の上昇。欧州市場では化学セクターがけん引して市場全体もわずかに値上がり。ドイツの5月の工業生産が0.2%下落。Coca Cola HBCは2023年の収益予想を引き上げ、株価が5.1%上昇

2023/7/11    火

米国株式市場は上昇したが、水曜日に公表される消費者物価指数を前に警戒感が残った状態。週末のイエレン財務長官の訪中で、直接・建設的に話ができたとコメントしたことから、インテルやクアルコムなどの半導体関連が上昇。アクティビストのIcahn Enterprisesは銀行とローン契約を締結したことを公表し株価上昇。欧州市場では中国の消費者物価指数がここ7年で最も下落史マイナスの影響があったが、旅行・レジャー部門が堅調で、市場全体としてはわずかに上昇。Novo Nordiskは欧州医薬品庁が調査に入ったことで株価下落。ドイツの医薬品BayerはCropScience部門を子会社化し上場させることを公表し、株価は1.6%上昇

2023/7/12    水

米国市場では、ブローカーがJPモルガンの評価を上げたことから同株は1.6%上昇。銀行株全体も高利益が予想されるために1.5%の上昇。水曜日の消費者物価指数の公表と、週末から公表が始まる業績の前に、主要3指数はいずれも上昇。原油価格も上昇したためにエネルギー株も上昇。司法当局がマイクロソフトの買収手続きの続行を決めた、ゲームメーカーのActivision Blizzardは10%上昇。Saleforceはいくつかのサービスの価格上昇を公表し、株価は3.9%上昇。欧州市場では株価上昇。中国が不動産部門に対する政策を継続すること、Fedの利上げが終焉に近いと見られること、アイルランドのKingspanが史上最高の利益予想を公表し大きく株価を上げたことなどが要因。LVMH、Richemont、Hermesなどの高級品株は2%以上上昇

2023/7/13    木

米国では消費者物価指数の上昇が対前年同月比で3.0%と2021年3月以来の低水準になったことから、Fedが7月の利上げを最後に利上げを停止するとの観測があり、NASDAQを中心に株式市場は上昇。テクノロジー株も値を上げたが、週末にかけて決算がある銀行株も値上がり。 Marvell Technologyの救済のためにBroadcomがVmwareを買収する案がEU当局から承認されたことで各社の株式が上昇。ソフトバンクがArmのニューヨーク上場のためにNvidiaを機関投資家に考えていることが伝えられNvidia株は3.5%上昇

2023/7/14    金

米国では生産者物価指数の上昇もここ3年で最低にとどまり、コアPPIは低下し、NASDAQが1%以上値を上げるなど主要3指数はいずれも上昇。テクノロジー株が市場を主導。半導体関連も上昇しフィラデルフィア半導体指数は2%の値上がり。決算公表を前にJPモルガンは0.5%株価上昇。通年の収益見通しを上方修正したデルタ航空は株価横ばい、同じく上方修正したPepsiCoは株価2.4%の上昇。欧州市場でも、米国のインフレが沈静化し、Fedの利上げサイクルの終焉が近いとみなされ株価は上昇。テクノロジー株が中心で市場を引き上げた。ドル安になって商品価格が上昇したため鉱業株が上昇。英国では5月のGDPの縮小が予想以下であったことから、市場は上昇。Swatchは上半期の成長が史上最高になったと報告し株価は6.9%上昇

 

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家計が困っている~後半

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現在の、日本の現状を考えると、家計レベルでやりくりできなくなっている世帯にこそ、そこから脱出できる道を示すことが必要なのだと思う。国や地方公共団体の給付金は、逆効果であろう。生活困窮者自立支援法の「家計改善支援」などがイメージとしては近い。ただし、同法は第2のセーフティネットを形成するための法律で、抵抗感もあるだろうから、同じような内容のサービスを提供するのがよいだろう。多くの世帯で陥っているのは、何にいくら使って、今月はどの程度余裕がある、または、不足するという見積もりの欠如である。

『これだけ余るので投資しましょう』とか、『この保険に加入しましょう』といった解決策ではない。自分たちで1か月の収支が計算できるように、そして、その先には収支が見積れるように、その方法を伝えていくことが必要である。それでは、誰がそのサービスを提供するのかという問題になるが、その前に、誰もが使える社会インフラが整備される必要がある。収入と費用を入力したら、あるいは、どこかから数値をダウンロードしたら、誰もが見てわかるようなものに加工してくれるアプリのようなものである。

もし、国がこのアプリを開発し、セキュリティに責任を持ち、その普及に努めてくれるのであれば、保険会社はそのアプリの結果を利用すればよい。企業が担当すると、このゲートウェイの機能を持つアプリを自社で開発しようとし、その結果、相互に互換性のないものが出来上がってしまう。だから、コアとなる部分は国が開発・運営し、無償で国民に提供すればよい

家計部門が復活しなければ、日本の経済は復活しない。そして、家計部門は、投資ができないので困っているのではなく、負債の管理がうまくできないので困っている。やりくりすることができなくなっているのである。企業に対する減税と同じような水準で、家計のやりくり支援ができれば、給付金を連発するより効果的な経済対策になる

 

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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