8月第3週の市況

2021/8/16    月

米国ではダウとSP500が史上最高値を更新したが、消費者信頼感指数はここ10年で最低の水準に落ち込む。ウォルト・ディズニーは利益が予想を超えたために1%株価上昇。イールドが上昇したために超大型株には追い風になりマイクロソフトは1.1%株価上昇。Amazonは幾分値下がり。食品デリバリーのDoorDash Incは決算で赤字が予想以上に拡大したが株価は3.5%上昇。欧州市場でも市場は堅調で、DAXは初めて16000ポイントを超えた他、CAC40もほぼ21年ぶりの高値水準となった。市場が堅調なのは、企業収益への期待感と、景気の回復への期待感。アディダスは、リーボックブランドを21憶ユーロで売却したことから株価が2.3%上昇。ドイツのペット用品のZooplusは米国のプライベート・エクイティから30憶ユーロでの買収提案があり、株価は41.1%上昇

2021/8/18    水

中国の7月の工場出荷と小売販売が大きく減速し、欧米市場に影響を与えた。米国市場では、エネルギー、素材、金融といった景気に感応度の高いセクターが軟調。NASDAQは値下がりしたが、ヘルスケア、公益、一般消費財などのディフェンシブなセクターが値上がりし、ダウとSP500は史上最高値を更新。Teslaは当局から自動運転システムの不備を指摘され、株価が4.3%下落。欧州市場でも中国経済の影響で株価下落。中国依存度の高い高級品ブランド、LVMH,Kering、Richemontなどが2~4%前後下落。個別銘柄ではフランスの自動車部品FaureciaがドイツのHellaの大半を買収し、Faureciaは12.1%株価上昇。Hellaは3.4%株価下落

2021/8/19    木

SP500がここ1か月で最大の下落となったため米国市場は下落。米国の7月の小売販売は予想以上の低下となった。ただし、7月の工場生産は増加している。ホームデポは予想以上に売り上げ低下となり株価は4.3%の下落。同業のLowe’sも5.8%の下落。ウォルマートは年間の予想売上を上方修正したが株価はほぼ横ばい。欧州市場では、ユーロ圏のGDPが2%上昇したことが公表され、好感され、中国のインターネット企業への締め付けやデルタ株の蔓延などを押しのけて市場は上昇。英国の旅行会社TUIと航空会社IAGが値下がりしたこともあり、旅行・レジャーセクターは軟調。中国のIT大手Tencentに出資しているオランダのProsusは3.2%の株価下落。英国の鉱業銘柄であるBHPグループは最近10年間程度で最大の利益を計上し株価は3.4%の上昇

2021/8/20    金

米国市場では方向性のない市場となったがダウとSP500は幾分値下がりとなった。セクター別では、ヘルスケア、公益、生活必需品、不動産などのディフェンシブなセクターが値を下げた。Netflix、マイクロソフト、alphabet、Teslaなどが上昇し市場全体の下落はわずかなものになった。Lowe’sは年間の売り上げ予想が予想を超え株価が10.3%上昇。Targetは売り上げが予想を超えたが株価は1.6%の下落。欧州市場ではディフェンシブな銘柄と旅行関連株が堅調で市場は横ばい。英国では消費者物価の上昇がイングランド銀行の目標の2%を下回ったものの、FTSEは下落。フランスのCAC40も0.7%の下落

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メンタルヘルスと保険~後編

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Aさんは、たくさんの仕事を抱えて、ほかの人に任すことができなかった。頭がぼ~っとしてやる気がなくなってきた。集中力も低下して上司にミスを指摘されることも多くなった。職場のメンタルチェックで異常値が出て、心療内科に受診したら、うつ病と診断され、会社を休職することになった。入院はせずに、定期的に通院し、服薬治療を続けている。会社の産業医には、定期的に電話で報告をしている。

Aさんは、典型的な、うつ病による休職のケースに該当している。Aさんは民間の医療保険に入っていたとしよう。Aさんは保険金や給付金を受け取れるだろうか?Aさんは入院していないので、入院給付金は受け取ることはできない。それでは、通院給付金はどうだろう。もし、Aさんの加入していた保険が、通院に対して無条件で支払いを行うものであれば給付金を受け取るかことができるだろう。ただし、多くの医療保険では、通院は、入院をした後の通院に限定しているため、そのような場合、Aさんは通院給付金も受け取ることはできない。医療保険では、給付金を受け取ることができるケースはとても限定されると思われる。

就業不能保険ではどうだろう。アメリカンファミリー生命の保険では、精神障害は不担保(保険金を支払わない)ことが明記されている。ライフネット生命の保険でも、精神疾患は不担保であることが明記されている。アクサダイレクト生命の保険では、精神疾患で働けなくなったときでも保険金を支払うことが明記されているが、「精神疾患で働けなくなったとき」とは、治療を目的とした入院をし、かつ、障害等級2級以上に認定されたときを満たしている必要がある。障がい者手帳を取得するために医師に診断書を書いてもらおうとしても、通常は初診から6か月経過する必要がある。また、既述のとおり入院による治療は一般的ではない。就業不能保険も、保険金を受け取れる場合はかなり少ないと思っておいた方が無難である。

精神関連の病気の割合が増加してくる中で、民間の保険会社の疾病給付も、給付の内容の変化を求められる時代に入っているのかもしれない。私見では、地域別、疾病別に保険料を細分化するなどして対応するのがよいと思う。一方、公的医療では、「自立支援医療」を知っておくとよい。自立支援医療(精神科通院医療)では、多くの場合、1か月の負担額が1万円の上限になり、また、自己負担額が3割から1割に低減される。障がい者手帳の取得とは切り離して利用できるので、大変使いやすい。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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