3月第3週の市況

2019/3/11    月

米国市場では2月の非農業就労者数の伸びが2万人と予想を大幅に下回った。イールドと米ドルは低下したが、株式市場では長期的な労働市場の動向は変わらないとして株価はわずかに下落したのみ。カナダ中銀は金利の引き上げタイミングを遅らせた。欧州では、米国の労働統計の影響が大きく、また、中国の輸出が3年来の大幅な下落となったこと、ドイツの工業受注が予想外に下落したことなどを受けて、株式市場は大きく値下がり

2019/3/12    火

米国市場ではテクノロジー株にけん引されて市場は上昇。アップルがTVサービスに乗り出すと報じられ同株は3.5%値を上げた。M&A関連で半導体メーカーのNividiaが上昇。その他、トランプ大統領が議会で軍事予算の増加に言及し防衛関連株が上昇。エチオチア航空の飛行機が墜落したボーイングは5.3%の値下がり。欧州では、ドイツのコメルツバンクとドイッチェバンクの合併が可能と報じられ両行ともに大きく値上がり。市場も上昇したが、英国市場では議会でのBrexitの投票前でポンドが値を上げ、英国の株価指数FTSEは値下がり

2019/3/13    水

米国市場では、2月の消費者物価指数の上昇率が0.2%と低い水準になったことから、Fedが金利を引き下げることはないという見方が強まりイールドが下落。債券価格は上昇。ドルが軟化して、原油価格も上昇。737Maxが墜落したボーイング社は前日に引き続き下落。欧州では、英国議会がBrexitの再提案を否決し合意泣き離脱へ。英ポンドが下落したが、輸出企業中心の株価指数FTSEは上昇。大陸の株価指数は方向性のない市場となり横ばい

2019/3/14    木

米国では、政府がボーイング737MAXの飛行を停止させたが、市場ではFAAが今回の事故と前回の事故の関連性が低いことが表明されボーイングの株式は0.5%リバウンド。2月の生産者物価指数が1.5年ぶりの低水準となった。原油価格が2%ほど上昇し、エネルギー関連が上昇。その他ヘルスケア関連も値を上げて、市場は上昇。欧州市場では、原油価格の値上がりから石油・ガス関連が値を上げ、ZARAの親会社のInditexやアディダスなどが業績不振で値を下げたが、市場全体は値上がり

2019/3/15    金

米国では米中のトップ会談の日程が決まらないことから株式市場に悪影響を及ぼし市場は下落。中国に依存度の高い半導体関連が値を下げ、飛行機事故に見舞われたボーイングも再び下落。世界中で大規模なトラブルに見舞われたFBは1.8%値を下げ、さらに、市場終了後にも続落。アドビは四半期の売り上げが予想以下となり2.1%値下がり。欧州市場では、英国議会がBrexitの延期を決めたことから市場は5か月来の高値。イタリアの防衛関連のレオナルドは業績好調で13%値上がり。

過去の市況を確認しよう!!

1か月前の市況 1年前の市況

資産クラスを2つにグループ分けして考える

景気の良し悪しでグループを大別できる

様々な金融商品が発達した恩恵を受け、日本の投資家が投資できる資 産クラスは多様化しました。多様化した資産クラスは、景気が良いと きに魅力があるグループと、景気が悪いときに魅力があるグループに 大別できます。全体を大まかに捉えてから、より細かい部分を考える ようにするとうまく整理できます。

多様化する資産クラス

世界の市場は、株式、債券のほかに為替や商品などで構成されていま す。日本でも選択肢が増え、たくさんの金融商品に投資できるようになり ました。投資信託は、株式や債券に投資するときに、少額でも投資を可能 にするという選択肢を提供してくれました。そして、近年では、IT技術 の進化によりFX取引が容易になり、さらには、ETF市場が整備される ことを通じて商品先物も購入できるようになりました。気がつけば、日本 の投資家は、たくさんの資産クラスに投資できるようになっています。

資産クラスを2分化する

さて、この資産クラスですが、経済の動きと比較すると2つに大別でき ることがわかります。一つは、“リスクを回避したいと思っている”とき に魅力的な資産クラスです。どんなときでも価値が安定していると考えら れる金・銀といった貴金属、世界の超大国米国の国債、さらに、基軸通貨である米ドルなどはリスクを回避したいときに魅力的に映る資産クラスと いえるでしょう。

もう一つのグループは、“高いリターンを実現させたい”と思っている ときに魅力を感じる資産クラスです。例えば、世界経済が好調であると工 業生産が堅調になります。一般的に、産業用金属の需要見通しも上向きに なり、商品先物の価格が上がることにつながるでしょう。豪ドル、カナダ ドルあるいはブラジルレアルは、そういった産業用金属を産出する国の通 貨です。そして、工業生産が堅調であるのなら、株式市場にも好影響を与 えていることを予想するのは自然なつながりです。

2つの大きな資産クラスとして考える

世界では、リスクを回避したいときに魅力を感じる資産クラスの集合 と、高いリターンを目指したいときに魅力を感じる資産クラスの集合が、 日々、綱引きをしていると考えるとよいでしょう。そして、この綱引きは、 一方が勝って終了という綱引きではありません。永遠に引っ張ったり緩め たりを繰り返しています。たくさんの資産クラスを一度に考えることは難 しいかもしれませんが、2つのグループのどちらが綱を引っ張り、どちら が緩めているのかを考えることは、少しだけ考えやすいかもしれません。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。