JP4資産バランスファンド 成長コース

ファンドの特徴

このファンドは、JP投信株式会社が運用するファンドで、内外の株式、債券に投資するファンドです。リスク・リターンによって、「安定コース」「安定成長コース」「成長コース」の3つのファンドが設定されています。

直近5年のデータを基に計算すると、ファンドのリターンは7.9%、リスクは11.5%となっており、TOPIXより高いリターンでリスクが低くなっています。バランス型ファンドとして効率的な運用が行われていることがわかりますが、TOPIXとの連動性は高く、相関係数は0.94になっています。『日本株式だけに投資するのではなく、世界や株式外にも分散して投資して投資効率を上げているが、日本の株式市場との連動は高い』と見ておくと間違いないでしょう。

運用そのものは、JP投信ではなく、三井住友信託銀行の子会社に運用を委託しています。運用は、それぞれの資産クラスの運用でパッシブ運用になっています。アセットアロケーションについては基本配分比率が設けてあり、その比率を維持するというパッシブ運用になっています。

ファンドは2016年2月に設定・運用開始されていて、2019年初頭ごろまでは純資産残高も右肩上がりで積みあがってきていますが、その後、横ばいで推移しています。2021年5月末現在で純資産残高は、約475億円です。

※ 2021年5月末時点の情報で記入しています

ポートフォリオ

2021年4月末時点のポートフォリオは、日本株式44.2%、海外株式25.9%、日本債券19.8%、海外債券9.7%キャッシュ等0.3%となっています

運用体制

三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用

アクティブ/パッシブ

パッシブ運用

販売会社

ゆうちょ銀行、スルガ銀行

資産残高の推移

ファンドは2016年2月に設定。設定以来、2019年初頭までは純資産残高は右肩上がりで上昇していた。その後、純資産総額は横ばい。2021年5月現在の純資産残高は約475億円

購入時手数料

1.1%(ゆうちょ銀行店頭)無手数料(ゆうちょ銀行インターネット、スルガ銀行)

信託報酬

0.63965%

収益分配金

分配金は2か月に1回。おおむね1万口当たり10円の分配金
現在の基準価額15,098円(2021年5月末)を勘案すると、分配金利回りは、0.39%(=10×6÷15098)程度

このファンドに対するコメント

バランス型ファンドの資産配分を考えるとき、最近では、不動産や新興国市場も考えるのが多くなってきていますが、このファンドでは、日本の内外の株式と債券に資産クラスを限定しており、また、海外についても先進国だけの設定になっています。加えて、運用もパッシブ運用で資産配分比率も大きく変えない投資戦略となっています。資産運用に詳しくないひとが一定数存在するゆうちょ銀行の顧客層を勘案した運用戦略のように思えます。

収益分配金が2か月に1回、しかも、公的年金の受取り月でない奇数月に支払われること、分配金の利回りが貯金の金利と比較してお得感があるように設定されていることを考えると、このファンドのメイン顧客層は、『公的年金を受け取ることができるシニア層』といえるのではないでしょうか。『2000万口程度保有していれば、年金を受け取れない月に12万円程度の自分年金が受け取れますよ』と勧誘されそうですね。

イールドの上昇と資産運用~その2

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債券やテクノロジー株だけではなく、公益株や不動産投資信託(REIT)も影響を受ける。なぜなら、こういった投資先は、国債の代替投資先と考えられているからである。公益株には、電力会社やガス会社などが含まれる。これらの会社は大きな成長は見込めないが、その代わりに、高い配当を出して株主にアピールしている。REITは、法律で収益の大部分を配当として還元することが義務付けられている。その結果、高い利回りになる。いずれも、高配当が売り物なのであるが、安全資産である国債のイールドが上昇すると、相対的な魅力度が薄れてしまう。これが、株価が下がる理由である。

『イールド』が上がると困るのは株式投資家だけであろうか?そうではない。実は、最も影響を受けるのは年金生活者である。ここからは日本の話になる。日本の公的年金は、「マクロ経済スライド」が導入されている。そして、2021年からは、マクロ経済スライドに加えて、「賃金・物価スライドの見直し」が導入されている。公的年金は、インフレに応じて増加するのが原則である。インフレに応じて増加しなければ、実質的な受取額が削減されてしまうからある。そして、「インフレになるということ」と、「イールドが上がるということ」は、別の問題ではない。通常の経済のサイクルで考えると、「イールドが上がる⇒景気がよくなる」わけであり、「景気がよくなる⇒インフレになる」という結果になる。しかしながら、「インフレの増加分ほどは上昇しない」というのが公的年金である。

公的年金の話は日本に限ったことではない。世界各国とも財政赤字に苦しんでいる。財政赤字を解消するには、増税が一番手っ取り早いのであるが、増税は国民の賛同を得られない。そこで、その代替策として、インフレを誘導して、公的年金の支出を実質的に抑制し財政の健全化を図ろうというのが、各国政府が考えていることであるといわれている

コロナ禍で支給した費用はどこかで回収しなければならない。米国政府では、2021年3月にイエレン財務長官がすでに増税について言及している。金利と税は、資産運用を考えるときの視点の一つである。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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