ファンドマネージャーとファンドの運用実績とは無関係
現在の資産運用ビジネスで、カリスマファンドマネージャーが出現する可能性はとても低くなっています。むしろ、注目したいのは運用チームです。そして、運用チームが集まって運用会社を作っていると考えれば、投資家は運用会社に注目したほうが賢明といえるでしょう。
カリスマファンドマネージャーはなぜいない?
現在では、ヘッジファンドなどの一部の分野を除いて、カリスマファンドマネージャーはほとんどいないといっても過言ではありません。なぜなら、一般の投資信託の場合、ファンドマネージャーの仕事は、市場の抜け道を探し出して大儲けするというようなものではなく、リスクを適切に管理しながら預かった資産を着実に殖やしていくということだからです。金融派生商品(デリバティブズ)を使うことも限定的でしょうし、したがって、相場を張るといったイメージも適切ではありません。
そもそも、ファンドマネージャーも運用会社の組織の一員であり、独立して仕事をしているわけではありません。そのような環境の中、普通のファンドの運用において、カリスマファンドマネージャーが現れる可能性はとても低いものです。ファンドマネージャーの個性を追ってみたところで、あまりファンドの運用成績の説明にはならないというのが実際のところです。
運用チームに注目する
一方で、実際のファンドの運用は、ファンドマネージャーを含む運用チームで行われていることが少なくありません。株式ファンドであれば、個別企業を分析するアナリスト、経済や市場動向を調査するストラテジスト、投資判断を行うファンドマネージャーとCIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)、決済を行うバックオフィスなどがチームになっているのです。
この運用チームがどのような運用戦略を持っているのか、それをどのように実行しているのか、さらに、運用結果をどのように開示しているのかなど、実際にファンドを分析するときは運用チームの分析を中心に行います。ですから、現在では、ファンドの良し悪しは、カリスマファンドマネージャーがいるかということではなく、運用チームがどのような運用を行っているかにかかっているのです。
運用チームが集まって運用会社ができる
運用会社は、運用チームが集まってでき上がっていると思えば間違いありません。そして、運用チームの中で、特に優秀で規模も大きくなっている運用チームがその会社を代表していると思えばよいでしょう。
欧米の会社であれば、債券運用に強い会社、特定のスタイルの株式運用に強い会社、新興国投資に強い会社など特徴を持つ運用会社が少なくありません。つまり、ファンドがよい運用成果を上げられるかどうかを調べたいのであれば、そのファンドを運用している運用会社に十分な能力が備わっているかをチェックしたほうがよいといえるでしょう。
この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。