6月第2週の市況

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2017/6/5    月

米国の労働統計は雇用・賃金の伸び共に予想以下で市場に負の影響をあたえた。イールドは低下、そのため銀行株も軟調。エネルギー関連も弱かったが、通信、ヘルスケアが上昇して主要株価指数はいずれも史上最高値を更新。欧州株式は、ドイツの自動車メーカーが米国での販売が堅調でドイツ株が上昇したが、米国の労働統計の影響で上昇は限定的となった

2017/6/6    火

銅・亜鉛・スズといった金属価格が下落し、原油価格も下落した。その影響で欧米市場でエネルギー関連が弱くなった。英国のテロはポンドを弱くし、米ドルも安い。米国では銀行株が値を上げたが、公益株、素材関連が弱く史上最高値を更新することはなかった。欧州ではスペインの銀行の経営不安から銀行株が安くなった

2017/6/7    水

米国市場では前FBI長官のコミー氏の証言を前にして市場は消費関連株、産業株を中心に値を下げる。米ドルは8か月来の安値を付け、日本円は1か月来の高値。欧米市場で国債の価格が上昇。欧州市場では、中東カタールと各国の断交の問題が市場に影響し値を下げた。その他、試験結果が思わしくなかったロッシュ、大株主が株式を売却したConvatecを中心にヘルスケア関連が値を下げた

2017/6/8    木

米国市場では国債価格が下落し銀行株が上昇。原油の在庫が大きく上昇したため原油価格が大幅にダウン。欧州では、スペインのBanco Popularがサンタンデールの支援を受けることになり銀行株が上昇。ドイツでは原子力課税が不法との判断が下され、E.ONやRWEが5%以上値を上げる

2017/6/9    金

前FBI長官のコミー氏が証言をした影響もありダウ、SP500は横ばい。ただし、NividiaやYahooといった個別銘柄が堅調であったテクノロジー株中心のNASDAQは史上最多家値を更新。欧州ではECBが経済成長の見通しを上方修正し、ドイツのイールド上昇。メイ首相が率いる保守党が過半数を取れなかった英国ではポンドが大幅な下落

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市場の取引価格は絶対的なものではない

インデックスは市場全体を表していない

パッシブ(インデックス)運用は概念としてはとても魅力的な方法です。しかし、パッシブ運用を実現するには、市場インデックスが必要になります。ところで、この市場インデックスは市場全体を代表するわけではありません。そのため、どうしてもアクティブ運用の要素が残ってしまうのです。

パッシブ運用は魅力的だが…

アクティブ運用は、パッシブ(インデックス)運用に勝てません。なぜなら、アクティブ運用はインデックス運用に比べて信託報酬などのコストが高いから。長期運用を考えるとこのコストの差がボディブローのように効いてきて、結局、コストを差し引いた運用成績を比較すると、ほとんどの場合、インデックス運用が優っているという主張です。

この話は正解です。ただし、市場全体をカバーしているインデックスであるという前提条件が必要です。

市場を細分化するとアクティブ運用

昨今、市場の一部を取り出したようなインデックスがたくさん作られています。例えば、TOPIX(東証株価指数)でいうなら、TOPIXの規模別指数、TOPIX業種別指数などのサブインデックスがこれに該当します。ETFやETNといった上場投資信託(証券)が発達する中で、市場を細分化した指数が整備されてきたのです。

サブインデックスに連動したETFに投資したいときはどういうときでしょう?例えば、世界的な不況から回復過程にあるので、耐久財分野の株式が伸びそうだという判断で、自動車・輸送機のサブインデックスに連動するETFを購入する。一方、市場が冷え込みそうになったときは、自動車関連のETFを売却して、内需関連の堅調な業種、電力・ガスや医薬品などの分野に連動したETFを購入する。サブインデックスに連動するETFやETNを使うと、どうしてもこういった感じの運用になってしまいます。

ところで、こういった運用はインデックス運用でしょうか?いいえ、違います。景気の変動に応じて機動的に業種配分を変動させるアクティブ運用です。

すべての市場をカバーする市場インデックスはない

本当のインデックス運用は、日本株式ならTOPIXや日経平均株価などにトラック(連動)させている運用でしょう。さらに、世界的に考えれば、世界の株式や債券、それに、代替投資などすべてにトラックさせていること。そのような運用を、長期間続けていることが本当のインデックス運用なのです。

そんなカバー範囲の広いインデックスはあり得ない?そのとおり、パッシブ運用とインデックス運用は厳密には違うのです。パッシブ運用という概念は、あくまでも概念で、インデックス運用というのはその実現可能解のようなものです。

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