相談、その先は教育(1)

相談業務とは何だろう?『消費者からの質問に対して答えること、それが相談業務』というのが狭義的な相談業務の定義であろう。相談を受ける人はプロの人、相談をする人は消費者。そういう位置づけである。プロの人だから、聞かれることにできるだけ正確に回答しなければならない。どれだけ回答できるかが相談者としての力量である。もし、そう考えるのであれば、コンピューターに相談業務をさせた方がよい。現在であれば、AI機能を搭載したコンピューターを使うことができる。AI機能を搭載しておけば、過去の質問とその回答のノウハウを踏まえて、より最適な解を、より短時間で提供してくれるだろう。開発にコストはかかるだろうが、コンピューターには人件費はかからない。メインテナンス費を受け容れれば、労働時間も気にせず相談業務を行ってくれるだろう。

よく考えてみると、何か質問があって、それに対して答えが一つであれば、相談の必要はないのかもしれない。本当に相談が必要なのは質問があって、やることはわかっているのだけど、それをやり始めるきっかけがない(解決策の実践)それに対して選択肢がいくつかあってどの選択肢を選べばよいのかわからない(意思決定)どのような選択肢があるのかわからない、そもそも、どのような質問が必要なのかわからない(問題の明確化)などに細分化されるだろう。

解決の実践ということに対する相談業務は、コーチングの分野であろう。人は誰かに支援してもらっていると安心するし、がんばることができる。意思決定という意味での相談業務は、一般的にイメージされるFP相談ではないだろうか。しかし、実際は、意思決定で迷っている人はあまりいないように思う。自分で選択肢を準備できて、その選択肢を合理的に比較できるように並べることができる人であれば、意思決定に迷う余地はない。人は、不確定な情報が多いほど迷うものであるが、「合理的に比較できる」状態にあるのであれば、不確定な情報は少なくなっている。後は、自分の意思決定を肯定してほしいだけである。社長が、自分の意思決定を周りの人に支持してもらいたい。そういったイメージではないだろうか。

(続く)