私の感覚では、相談業務で一番多いのは、問題の明確化の段階である。そこに問題があるのですよということを気づくこと。その問題は、どのような特徴を持っているのかを考えること。そして、その問題を解決するのに具体的に実践できる選択肢を整理すること。ココが相談業務で最も必要になる部分である。
この問題に適切に対処するには、学びの場を設けることである。相談業務を適切に処理するために必要なものは、「教育」なのである。ここでいう教育とは、日本の学校で伝統的に行われてきた講義ではない。自分で問題を見つけて、その問題を解決できる場としての教育である。
「保険の見直しのためにどうすればよいのでしょうか?」と聞かれることがよくある。私は、「可能であればFP3級の勉強をしてください」と回答することが少なくない。保険代理店に行って保険を見直したいといっても、その回答にはどうしてもバイアス(歪み)が入ってしまう。かといって、お金を払ってまで独立系のFPに相談する気にもならない。それなら、自分で考えてみてくださいというのが、私の答えである。自分で考えれば、初めて、実行可能な選択肢を見つけ出すことができる。
自分で考えられないという人向けには、ワークショップ型の研修がよいと思う。そのお手伝いをするのが相談業務ということになるだろう。
相談業務という観点で、これからの金融機関に求められることは2つ。一つは、冒頭に説明した、ナレッジデータベースの構築と開放。もう一つは、消費者が自分たちのニーズを整理するための学びの場の提供。残念ながら、現在金融機関が行っている相談業務はどちらにも該当しないのではないだろうか。