保険金受取人の変更ができない理由

保険金受取人は変更できます。だから、時が経つのに応じて保険金受取人を変更しておきましょうというのは簡単です。でも、本当に保険金受取人の変更が必要なとき、だれがそのことを教えてくれるのでしょう

保険代理店は教えてくれません。正確にいうと、あなたが聞くまで教えてくれません。なぜなら、保険の手数料は新規契約を締結した(保険に加入した)時に支払われて、それ以降のサポートには支払われないからです。

銀行であっても、いわゆる、保険のおばちゃんであっても、〇〇〇プランナーであっても同じです。すべて報酬体系は同じ。新しく保険を売って手数料を受け取るしくみです。保険金受取人の変更を取り扱ったからといってお金が入ってくるわけではないのです。

図4 保険金受取人の変更をサポートする人がいない

きっと、近い将来、新しく保険に加入する時と同じくらい、保険のメインテナンス(保険業界では「保全」という言葉を使います)も注目されることになると思います。そして、残念ながら行政からの規制という形でそれが実現しそうに思います。

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遺言で保険金受取人を指定

保険は、保険会社と保険契約者の契約。契約ごとに関する法律は商法。ということで、保険契約(保険の本名は保険契約なのです)の決め事は商法に載っていました。

ところが、新しい概念が多くなり過ぎたので保険だけ取り出して、保険法という法律が、数年前に、できました。この新しい法律の中で、『遺言で保険金受取人を指定できる』ようになったのです。

たとえば、認知していない子がいて、その子を認知するとともに、保険金の受取人に指定するということもできるようになったわけです。

このしくみを使えば、同性のパートナーに保険金を渡すことができます。一部の保険会社では可能になりましたが、契約の時点で同性のパートナーを保険金受取人に指定できる会社はまだ少数派です。だから、とりあえずほかの親族を受取人に指定しておき、別に、遺言を作成して、保険金受取人の指定をしておけばよいということになります。

図3 保険金受取人を遺言で指定する

問題は、だれが遺言を作成して保険金受取人の変更をアドバイスするのかという点にあります。

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