4月第1週の市況

2020/3/30    月

欧米市場で再び市場は下落。英国のジョンソン首相がコロナウィルスに感染していることが判明しFTSEは5.3%下落。米国市場ではムニューシン財務長官が航空産業に対する支援は補助ではなく返済が必要は貸付になるとコメントし、デルタ、アメリカン、ユナイテッドなどの航空会社は4~8%程度軟化。ボーイングも10%値下がり。イールドが低下しているため銀行株が下落し、エクソンモービルやシェブロンなどの石油大手も6%程度値下がり。欧州市場でも、銀行と石油・ガスのセクターが値下がり。フォルクスワーゲンは、CEOがパンデミックが収束しなければ雇用調整を行うと発言し7.3%株価下落

2020/3/31    火

米国では先週にトランプ大統領が自宅待機要請を出したが、同時に、2.2兆ドルの支援策を打ち出し、Fedは金融緩和に踏み切ったことが好感されて市場は上昇。ただし、JPモルガンは、米国のGDPについて第1四半期は10%、第2四半期は25%の下落になると試算を公表。原油価格が18年ぶりに20ドルを下回ったエネルギーセクターは唯一マイナスとなった。コロナウィルスのワクチン開発関連でジョンソン&ジョンソンとアボット・ラボラトリーは、それぞれ、4%、10%の値上がり。欧州市場では株式市場は低迷した。ECBが銀行に対して配当の支払いの停止を要請し、銀行株は2.7%の低下となった

2020/4/1    水

四半期が終了して米国市場では、ダウは四半期で23%下落し、1987年以来最悪の四半期になった。SP500は幾分下落幅が小さく、NASDAQはもう少し小さくなった。資金豊富なマイクロソフトなどのIT企業が安値狙いの投資家に買われたためである。ボーイングは50%以上値を下げ、シェブロンやエクソンモービルといった石油大手も40%ほど値を下げた。原油の指標となるWTIは70%弱値を下げている。欧州市場では、イタリアのコロナウィルス発症者数が低下して、独伊の市場でプラスになったが、四半期ベースでは18年来の悪い数字になった。ノキアタイヤはフィンランド政府が出資比率を引き上げたために18%の値上がり

2020/4/2    木

米国では、ISMが49.1%と下落幅は予想以下であったが、生産、新規受注、雇用で後退があった。さらにADPが公表した民間部門新規就労者数は27,000人の減少と2017年9月以来の減少となった。セクター別では不動産や公益といった高配当が売りの株式が高配当が維持できなくなるとの見方から6%以上の値下がりとなり、市場全体でも4%以上の下落となった。ユナイテッド航空やカーニバルは、それぞれ、18.7%、33%と大きく下落。欧州市場でも株式市場は3%程度の下落となり、HSBC、サンタンデール、ロイズなどの銀行株が大きく値下がり

2020/4/3    金

原油価格についてトランプ大統領がロシアとサウジに1日当たり1000~1500万バレルの減産を求めたことから原油価格はリバウンド。欧米で先物価格が20~25%程度上昇。エネルギー関連の株式も大きくリバウンド。米国ではOccidential Petroleumが19%値を上げ、Aparche Corpやハリバートンも10%以上の値上がり。欧州ではロイヤル・ダッチ・シェル、BP、Totalが3ないし6%の上昇。米国市場は、新規失業保険給付申請者が増加したが株式市場は上昇。ボーイングはペンシルバニアでの製造を一時中止し、従業員に対して早期退職の募集を始め、5.7%の値下がり。  

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トレンド・アロケーション・オープンの投資戦術と資産運用の推移⇒一歩先の視点

コロナウィルスの影響でリスク低減型のファンドがどのような投資戦術をとって、どのような成果を出したのか、また、将来どうなると見込まれるのかについてブログに描きました。

トレンド・アロケーション・オープンの投資戦術と資産運用の推移⇒一歩先の視点

ファンドの意思決定と運用推移

このファンドは、高リスク資産(先進国株式/新興国株式/先進国リート/コモディティ)と低リスク資産(先進国国債/先進国社債/新興国国債/短期債券・キャッシュ等)に分類して、上昇トレンドの高い時は高リスク資産に多く投資し下方リスクの高い時には低リスク資産に多く投資するバランス型ファンドです。ファンドの運用は三菱UFJ国際投信ですが、実質的にはアリアンツ・グローバル・インベスターズが担当します。

コロナウィルスの影響で各国の市場が大きく値を下げていく中、このファンドがどのような対応をしたのか分析します。このファンドは2月末の時点で約57%の資産を株式などの高リスク資産に配分していました。株式市場全体を表すTOPIX(東証株価指数)は、すでに、2月に10%以上値を下げていました。

ファンドが独自に投資判断をしたのは、3月6日です。この日にファンドは定期的な月次のリバランスで、高リスク資産の比率を13.5%引き下げ、43.4%にしました

次に、3月13日には臨時のリバランスを行いました。これは、このファンドが、「直近1年の最高値から15%以上基準価額が下落したときにはリスクを引き下げる」という方針を採っているためです。3月17日には、高リスク資産の比率は0%になりました。3月末時点のレポートを見ると、このファンドの資産は、78%が日本国債、13%が米国債、8%が現金に配分されています。

このファンドの投資判断をもとに、上図を見ていただくとよいと思います。投資の意思決定があった3月9日は3月第2週に含まれ、3月17日は3月第3週に含まれます。

3月第3週以降は、ほかのバランス型ファンド(eMAXIS8資産均等)や市場(TOPIX)と比較して値動きの幅が小さくなっていることがわかります
リスクを管理するというこのファンドの当初の目論見は、果たせていることがわかります。

一歩先への視点

このファンドで覚えておいてほしいことは、リスクを絞るときは満足を得られるのですが、市場が上昇局面になったときに再び高リスク資産への配分を高めるタイミングが難しいということです。このタイミングが遅れてしまうと、左図で「Aの部分」で示した部分の損失が確定することになるからです。ファンドなので、損失の確定は基準価額に反映されます。

ほかのファンドほど、基準価額が上がらない(運用が悪い)という状況になります。
市場から逃げるという判断は簡単なのですが、市場に戻るという判断は簡単ではありません。ファンドのリスクを抑えようとするのであれば、どうしても高リスク資産の比率を引き上げるタイミングは遅れがちになると思われます。

リスク低減型と呼ばれるファンドは、市場の下降局面には強いのですが、上昇局面に入ったときに、リスク資産への投資を維持しているファンドに比べて運用パフォーマンスが落ちることが想定されます。