テーマ型運用は投資信託を活用する

投信の特性が生かされるテーマ型運用

自然エネルギーへの投資や社会的責任を果たす企業への投資などのテーマ型運用は、個人投資家が個別に行うには限界があります。そういったときに、投資信託(ファンド)を通した投資を考えてみてはいかがでしょう。テーマ型運用など、難しい投資になってくるほど、ファンドを通じた投資は魅力度を増します。

自然エネルギーに投資しようとしても

あるテーマを設定して、そのテーマに沿った株式に投資する手法をテーマ型運用といいます。例えば、代替エネルギーや自然エネルギーは注目されるテーマです。原油価格は高騰していますし、日本では原子力発電の信用性の低下から自然エネルギーの重要性が再認識されています。

しかし、このテーマ型運用は思っている以上に難しいものです。最大の理由は、誰もがよいと思う銘柄は誰もが買っているということです。つまり、クリーンなエネルギーを生み出し、収益性も高い企業の株式は誰もが欲しいと思うため割高になることが一般的です。割高なものを買うと、値下がりする可能性が高くなる、つまり、運用で損失を出してしまう可能性が高くなるのです。

投資信託を使ってみよう

こういったときに考えていただきたいのが投資信託です。投資信託であれば、個別銘柄の選定はファンドマネージャーが行ってくれます。投資家は特別な知識がなくても大丈夫です。いや、少しだけ知識が要ります。それはマネージャー(運用会社)を選ぶ能力です。これは投資家の判断能力といったほうがよいかもしれません。

『この運用担当者の話には納得させられる』。これが大切です。目論見書などの難しい書面を全部読む必要はありません。むしろ、表現がやさしい月次レポートなどのほうがよいでしょう。『運用担当が、投資家にどのように説明してくれているのか』がポイントです。月次レポートで運用会社が伝えてくれるストーリーに納得したなら、そのファンドは投資家にとってよいファンドということになるでしょう。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。

ファンドのMIRAI【2019年2月号】~その3

ファンドの特徴

このファンドは、高リスク資産(先進国株式/新興国株式/先進国リート/コモディティ)と低リスク資産(先進国国債/先進国社債/新興国国債/短期債券・キャッシュ等)に分類して、上昇トレンドの高い時は高リスク資産に多く投資し、下方リスクの高い時には低リスク資産に多く投資するバランス型ファンドです。ファンドの運用は三菱UFJ国際投信ですが、実質的にはアリアンツ・グローバル・インベスターズが担当します。

シャープレシオで比較した、ファンドの運用成果は8ファンド中8番目であり、バランス型ファンドの中で、もっとも運用成績が悪いファンドであるといえるでしょう。

収益分配金は、設定来、支払われていません。リスクを低廉に抑えて、資産の効果的な積立を目指したファンドといえるでしょう。

収益分配金がないために、解約しない限り、NISA、iDeCoのキャピタルゲイン課税に関する減税効果はほとんどないでしょう(iDeCoの所得税の総合課税の減税効果ではありません)。

このファンドは、保守的な運用を期待する投資家が、リスクを抑えて、銀行の預貯金の金利以上の利回りを求める場合に適したファンドです。バランス型ファンドの中では、最もリスクが低いファンドに分類されるでしょう。

このファンドに対するコメント

このファンドは、リスクを低減させるために市場が悪化すると思われるときは、比較的早めにディフェンシブなポートフォリオに移行することを明言している。そして、そのとおりこのファンドは、2018年末に、リスク性資産(株式やコモディティ)を15%未満まで減らして低リスク資産(先進国債券、短期債券、キャッシュなど)の比率を85%超に増やすポートフォリオの修正を行った。(「トレンド・アロケーション・オープン足下の運用状況について」2019年1月7日)

もし、市場が悪化して株式市場が大きく下落したならば、このファンドの判断は吉となるはずであった。しかし、1月以降の市場の動きをみると、中国株式は20%以上の値上がり、米国株式も10%以上値を上げているしたがって、リスク資産のウェイトを下げた分だけ市場に追いつけない結果となり、比較しているバランス型ファンド8ファンドの中で最もパフォーマンスが悪いファンドになってしまった。「リスク限定型」と聞くと、よいことばかりイメージしがちであるが、市場が好転したときに取り残されるリスクがあることを認識すべきであろう。