9月第3週の市況

2019/9/16    月

アップルがGSから目標株価を引き下げられたことから1.9%株価下落。その影響もあり、米国市場は幾分値を下げたが、公表された小売販売は予想の2倍の伸びになっており、イールドが上昇したことから金融株が上昇。個別銘柄ではBoradcommの四半期収益が予想を下回ったために株価が3.4%下落。欧州市場では、銀行、自動車、鉱業が市場をけん引して値上がり。特に、銀行はECBの利下げと債券の購入プログラムの再開の恩恵を受け大きく上昇。ドイッチェバンクはFannie MaeとFreddie Macの債券の取り扱いを行う16行の一つに指定されたことで株価が3%上昇。香港からの買収提案を拒絶したロンドン証券取引所は3.9%の値上がり

2019/9/18    水

欧米市場ともに似たような動きになった。前日、サウジへの攻撃で値を上げたエネルギー関連は反動で値下がり、Fedが今週水曜日に予定している会合で0.25%の利下げを実施するとみられておりそのため銀行株が軟化。ただし、消費財、不動産、公益などのいわゆるディフェンシブな銘柄は上昇。欧州市場では全体では値を下げたが、ドイツでは9月のZEWが予想以上に良かったため市場は横ばい。米国では、市場は上昇

2019/9/19    木

米国ではFedが0.25%の利下げを行った。予想とおりであり、当初は市場は値下がり。その後、パウエル議長が必要であれば積極的に動くとコメントして市場はリバウンド。SP500はわずかに値上がりした。公益株や金融株が上昇し、銀行株は0.7%上昇。個別銘柄では米中の貿易紛争の余波を受けているFedExが、Amazonとの業務提携を解消し12.9%の値下がり。1日の下げ幅としては最大。ドイツの物流大手のDHLも値下がり。欧州市場では公益株や不動産株といったディフェンシブなセクターが値上がりしたが、UBSがセクター自体を格下げした高級品が大きく値を下げる。市場全体としては横ばい

2019/9/20    金

米国ではマイクロソフトが400億ドルの自社株買いを公表し値を上げたが、アップルが値を下げて市場は横ばい。米国と中国の貿易対話については市場は楽観的な見通しを持っている。下院が薬価決定の方針に対してメーカー側に厳しい提案をしたが市場ではすでに織り込み済みでヘルスケア関連の株価は0.5%上昇。小売りのターゲットも50憶ドルの自社株買いを公表し0.8%株価上昇。欧州市場では、Fedの利下げの方針があいまいなことを受けて、銀行株が値上がり。米中協議への期待感から鉱業や自動車株も値上がり。鉄鋼メーカーは米国の同業が厳しい収益見通しを公表したことを受けて値下がり


 

かんぽ生命の問題とSDGs(持続可能な開発目標)~その2

前半はこちら

一つ目のポイントは保険の製造と販売を兼ねるのがよいのかということである。製造と販売を兼ねるから、いずれか一方の弱い部分に引きずられるというのは、郵便局・かんぽ生命だけの問題ではないのかもしれない。郵便局としては、かんぽ生命の保険商品以外の保険会社の保険商品をさらに販売できるようにして、保険代理店としての立場を鮮明にしたほうがよいのではないだろうか。そう考えると、日本郵政グループで問題の解決策を検討すること自体が矛盾をはらんでいる

二つ目のポイントは、郵便局の価値をどこに置くのかで決まると思う。私が講演で接した、まじめで人の好い人たちがいるところということに価値を置くのであれば、収入保険料で評価するというしくみ自体を改める必要がある。日本郵政株式会社の株主構成をみると、政府および地方公共団体が6割弱の株式を保有しているわけなので、政府および地方公共団体に丁寧に説明すれば、利益のみを追求する私企業とは一線を画した企業経営が許されるのではないだろうか

実は、二つ目のポイントも郵便局・かんぽ生命だけの問題というよりは金融機関全体の問題である。投資家(株主)の立場から企業を考えると、高い配当を払い続けてくれる企業がよい。さらに配当が増えていくのであればなおありがたい。そのために、企業は配当の原資となる利益を維持する必要がある。増配のためには、増益が必要である。そして、そのためには、より利益率の高いものを販売するか、よりたくさんのものを販売する必要がある。企業は毎年の目標を立てて、それを傘下の各部門に割り当てる。そして、このビジネスモデルはいつか破たんする。破たんするとコンプライアンスの問題だと言われる。果たしてそうであろうか

昨今ではSDGs(持続可能な開発目標)で主張されることが多い。日本郵政株式会社傘下の企業の中でも、特に、郵便局株式会社においては、SDGsの観点が重要視されるべきなのではないかと考える。日本郵政株式会社から、郵便局株式会社を分社・独立させて、より社会的な使命を担う役割を与えてもよいのではないだろうかと思料する。

【この記事は、週刊インシュアランスに掲載したものです】