ライフプランニングとシニアライフプランニングの違い~その2

ところで、ライフプランニングの前に、“シニア”という言葉がつくと、少し様相が変わってくるシニアライフプランニングでは、キャッシュフロー表より、貸借対照表の重要性が高くなる貸借対照表の重要性は、年齢とともに上昇していき、死亡とともに、相続問題として顕在化する。だから、シニアライフプランニングを取り扱うためには、キャッシュフロー表だけではなく、貸借対照表も自由に操れるようになっておく必要がある。

先日、『シニア世代のライフプランを再検討する』というテーマでお話をさせていただいた。そこで、シニアライフプランニングのポイントとして挙げたことは、①将来の収支を予想する②節約を行う③資産を有効活用する④要介護状態を過度に恐れない⑤健康を保つ⑥相談できるところを見つけるという6つであった。①から③までは全くのFP分野④から⑥までは地域の分野ということができる。

④は、介護独自の問題で、(1)介護経験者と未経験者では必要と思う金額が大きく異なる、(2)どのような介護給付を使うかで必要な金額が大きく異なるという内容である。そのため、生活者として必要なことは、金融の知識というよりも、介護保険を含めた公的な給付にどのようなものがあり、地域にはどのような非公式な給付が存在しているのかといったことを知る機会を得ることである。

シニアの分野になると、金融の話は金融の話だけで完結することはなく、地域の話や、医療の話、行政の話との結びつきが強くなってくる。シニアライフプランニングを取り扱う金融機関の担当者には、金融の話だけでなく、より広範な知識を吸収し、地域におけるネットワークを培ってほしいと思うのである。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものです

ライフプランニングとシニアライフプランニングの違い~その1

ライフプランニングというと、思い出されるのは、『キャッシュフロー表』であろう。AFPの資格を持っている人であれば、受検の時に作らされた思い出があるはずである。キャッシュフロー表を作ることが、ライフプランニングと解釈されることも多いが、キャッシュフロー表にたどり着くまでに、たくさんの準備事項がある

最初に考えたいことが、ライフデザインである。どのような人生になるのかを予想することがライフデザインである。予想であるから、そのとおりになることもあれば、ならないときもある。予想とおりに行かなかったら、ライフデザインを修正することになる。ライフデザインを具体的に考えていくときに必要になるのが、ライフイベントである。文字とおり『人生の出来事』がライフイベントである。結婚するというのもライフイベント。子供ができるもライフイベント。退職するもライフイベント。人生はライフイベントで構成されている

ライフイベントを紡ぎ合わせたものがライフプランニングである。人生のシナリオというと良いのかもしれない。ライフイベントとライフデザインがどのように違うのか、キャリアプランナーの方に聞くと明確な違いがあるのかもしれないが、FPにとってあまり明確な違いはない。強いてあげるなら、ライフプランニングのほうがより具体的になっているという程度であろう。

ライフプランニングをお金で表したものがキャッシュフロー表ということになる。お金で換算できるという点から、生活費もライフイベントとして取り扱われる。逆に、お金に換算されないライフイベントは、忘れ去られてしまうことが多い。でも、ある状態になったら発生するというようなライフイベントもある。「人の死亡」はその代表的なものであろう。保険に加入していたら遺族は保険金を受け取る。お墓を作るとその費用が発生する。普段は想定されていないものが、お金を伴ったライフイベントとして計算に含められるようになる。

キャッシュフロー表を使って、人生のリスクを表現できるようになると、ファイナンシャルプランナーとして一人前なのかもしれない。必要保障額の計算もよいが、やはり、キャッシュフロー表を見せてしっかり説明できることが、これからの時代、必要になってくるだろう。

(つづく)

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものです。