5月第4週の市況

2020/5/18    月

米国市場では市場は上下動を繰り返しながら最終的には値を上げる。トランプ大統領は、Huaweiに対して半導体を供給しないように求め、フィラデルフィア半導体指数は2%以上値を下げる。ドイツでは半導体関連のDialog SemiconductorとSiltronicが、それぞれ、3.3%と1%値を下げる。中国は、米国企業の数社を“信頼できない企業リスト”に加えるとコメント。米中対立が先鋭化。米国内ではコミュニケーションと公益部門がけん引。欧州市場では株式指数は上昇。ドイツの第1四半期のGDPは2.2%の下落になったが、中国の4月の工業生産は3.9%増と予想以上の上昇

2020/5/19    火

 米国市場では、政府のロックダウン解除の動きとコロナウィルスワクチンの報道で市場は値を上げた。製薬会社のModernaはコロナウィルスワクチンの実験段階での良好な効果をっ確認で来たと公表し株価が20%上昇。カーニバル、ロイヤルカリビアンクルーズなどのクルーズ大手も15%以上の値上がり。GMとフォードは北米の工場を再開させると宣言し8~9%程度値上がり。欧州市場でも景気循環株を中心に値上がり。経済⋀度の再開に向けて鉱業株が8%値を上げる。TotalはEnergias de Portugalから資産を購入することになり株価は7.4%上昇。BPやロイヤルダッチシェルもブレント原油が1か月来の高値になったことから8%ほど上昇。フランスでは金融相が自動車会社への支援を明言し、ルノーやプジョーが値を上げる。ドイツではティッセンクルップが不採算部門の鉄鋼部門を合併させる話が出ており、同株は12.5%の上昇

2020/5/20    水

欧米市場で株式市場は軟化。米国では昨日コロナウィルスのワクチンの実験の初期段階に成功したと報じられたModernaの報告書に疑義が投げかけられ同株は10.4%の下落。ホームデポは四半期の収益が予想を下回り3%下落、Kohl’sも損失が予想以上になり7.7%の下落。ウォルマートはオンラインでの販売は好調であったが株価は2.1%下落。欧州市場では、銀行とテレコム株が軟化。銀行については空売り規制の影響で、スペインのBanco de Sababell、Bankiaが11%前後値を下げ、イタリアのBanco BPMも7.3%値を下げる。テレコムイタリアは第1四半期の損失から2020年通期の利益予想を公表できず8.6%株価下落

2020/5/21    木

米国ではFedが公表した議事録で中央銀行が景気が回復するまで支援を続けるとコメントしていたことから市場に期待感があふれてSP500は2か月来の、NASDAQは3か月来の高値となった。デルタのCEOが航空業界について楽観的な見通しを公表し、航空株指数は5.4%上昇。Targetは四半期利益が3分の1程度になり株価は2.9%下落。欧州市場でも、米国市場にけん引され、また、テクノロジー株にけん引されて上昇。英国のMark & Spencerは10.8%値を上げた

2020/5/22    金

米中関係の悪化が欧米市場に悪影響を及ぼす。トランプ大統領は香港で中国の法律を押し付けるような事態になれば強く反応すると警告。米国市場ではAmazonやマイクロソフトなど最近堅調であった銘柄が値を下げた。Best Buyは販売が予想以下に落ち込み4.4%の軟化。L Brandsは決算は悪かったものの不調なVectoria’s secretを縮小すると公表し株価は18%上昇。米国市場も、欧州市場の市場全体では値下がり。欧州ではオランダのAltice Europeが予想以下の利益となり株価は13.8%下落。英国のホテルグループWhitbreadは新規に10.1億ポンドの現金を調達すると公表し株価は13.4%下落。ドイツのルフトハンザは独政府が90億ユーロの支援を行うということで株価は2.7%上昇
 

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ライフプラン分析~30歳・世帯【その3】

ライフプラン分析~30歳・世帯【その3】

世帯の情報

ご主人が30歳の家族のライフプラン分析です。

世帯主 川口 拓也さん(30歳)
配偶者 美咲さん(28歳)
お子さま 夕夏さん(0歳)

キャッシュフロー表の期間を延ばす

現在計算しているのはほんの10年間のキャッシュフロー表です。お子さまが小学校低学年のころまでの期間になります。もっと先のことまで考えて見たいと思うのは、当然ですよね。そこで、キャッシュフロー表の期間を20年まで伸ばしてみましょう。

図表16を見ていただければわかるように、お子さまの教育は細分化されます。

図表16 シナリオの比較

そこで、以下のような、教育に関するライフイベントを設定します。支出の欄に記載がある部分です。月額と書いてあるのは通年発生する金額です。一時金と書いてあるのは、その年に発生する年額を表しています。

収入にも金額が入っています。15歳までは児童手当。高校の期間は、高等学校等就学支援金の金額が入っています。

図表17 教育関連のライフイベント

    11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年
  夕夏様 10歳 11歳 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳 18歳 19歳
    小学校(高学年) 中学校 高校 大学
収入 金額(万円) 12 12 12 12 12 12 11.88 11.88 11.88  
支出 月額(万円) 3 3 3 4 4 4 4 4 4 5
  一時金(万円)           50     100  

2020年4月から高等学校等就学支援金や給付型奨学金が拡大されました

2020年4月から、高校や大学に必要な教育費に対する支援が拡大されました。世帯の年収や家族構成などによって、追加で受けられる助成金や奨学金などもあります。

【参考】

私立高等学校授業料の実質無償化【文部科学省】
高等教育の修学支援新制度【文部科学省】子供の学習費調査【文部科学省】

期間を延ばしたキャッシュフロー表を作成し、年間収支と金融資産残高をグラフにすると図表18のようになります。なお、ここでは、インフレ率は、「ぜロ」に戻して計算しています。

図表18 期間を延ばしたキャッシュフロー表

人生の3大資金

人生には3大資金と呼ばれるものがあります。教育資金、住宅資金、老後資金です。3大資金といわれると、「いくら必要なの?」というところにしか辿り着きません。よくわからないから、「平均するとどのくらい必要?」という質問にすり替わります。

ここまで組み立ててきたキャッシュフロー表の教育費の金額を合計すると1,000万円を超えています。

図表19 人生の3大資金

実は、この部分が一番問題なのです。『人によって金額は異なります』というのが正しい答えなのですが、どのように見積もればよいのかわからないというのが本当のところ。そして、この部分を支援するのが、ファイナンシャルプランナー(FP)なのです。実際に、自分で考えてみて、わからなくなったり、自分で見積もったことが正しいのか確認するときに、FPを呼んでいただくのがよいと思います。

しかし、実際にFPのみなさまがやっていることは、『(メディアなどで)世の中を平均するとこのくらいですよ』と人の不安をあおるようなことを発信したり、こういった給付がありますといった給付やサービスの紹介だったりします。

そこで、キャッシュフロー表が役に立ちます。実際にキャッシュフロー表を作成すると、平均的な話から自分たちの具体的な話にたどり着くことができます。可能であれば、キャッシュフロー表もステップ・バイ・ステップで作成することができれば、地に足の着いたストーリーを描くことができます。

もう少し期間を延ばしてみましょう

20年間のキャッシュフロー表を作成しましたが、なんだか少し中途半端です。夕夏様の大学があと3年残っています。そこで、もう10年延長したキャッシュフロー表を作成します。図表20のようになります。夕夏様が大学を卒業すると家計にゆとりが出てくることがわかります。

図表20 ライフイベントによって変動率は異なる

一方で、教育以外のことも考えないといけないかもしれません。図表20の比較は、いずれもインフレ率を考慮に入れていないものです。インフレ率を考えるとどのようになるのでしょう?72の法則を使うなら、もしインフレ率が2%であるのなら、物価が2倍になる期間は、「72÷2=36年」です。現在、キャッシュフロー表を作成している期間は30年なので、もう少しで36年になってしまうくらいの長さですね。図表20をインフレ率2%にして再計算してみましょう。

図表21 インフレによる影響

インフレを考えなければ、一時的にしか発生していなかった赤字が、13年目以降継続して発生することが確認できますね。でも、考えていないこともあります。それはご主人の給与を30年間ずっと一定にしているということ。インフレ率が2%の中で、ずっと変わらないというのはちょっと常識はずれな設定ですね。そこで、ご主人の給与収入を次のように見積もります。

図表22 給与収入の予想

拓也様 30歳~44歳 45歳~54歳 55歳~64歳
変動率 毎年3%ずつ上昇 毎年1%ずつ上昇 上昇しない
金額 425万円⇒643万円 663万円⇒864万円 890万円⇒890万円

収入の上昇を見積もると、図表23のように収支予想は変わってきます。インフレを見込まなかったとき、インフレを見込んだとき、さらに、給与収入の上昇も見込んだときで全く様相が変わることがわかります。

図表23 給与収入の上昇を見込んだ収支予想

つづく