11月第1週の市況

2020/11/2    月

米国では、9月の個人消費が予想を超えて上昇したが、テクノロジー関連の大型株が値を下げ市場全体も値下がり。VIX指数は20週来の高値になる。アップルは5G対応のiPhoneの販売が遅れたことにより売上高が減少。Amazonはコロナウィルス関連のコストが高くなると見込まれ株価下落。Facebookは2021年の見通しが芳しくなく株価下落。唯一、Googleの親会社アルファベットはAmazonに比較して株価の割安感が評価され株価上昇。Twitterは米国の大統領選の影響を受けるとみられ株価下落。欧州市場では、EUのGDPが予想を超えて上昇し株価上昇。Totalは業績悪化にもかかわらず配当を維持し2.8%の株高。スペインの銀行は収益が予想より良かったために株価が上昇し、アップルのサプライヤーのASM International、Dialog Semecondotor、STMicroelectoronicsは5G対応のiPhoneの発売により株価が1.2~1.7%の上昇

2020/11/3    火

米国市場では大統領選をにらんだ市場になった。市場はダウ、SP500を中心に値上がり、NASDAQは値上がりしたが上値が重かった。バイデン氏勝利の場合、大幅な景気刺激策が採られ、ソーラーエネルギーの推進を行うと予想されその場合は、ソーラー関連、産業株、小型株などが上昇すると予想される。トランプ大統領勝利の場合は、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカ、シティなどの銀行株が値を上げるとみられる。市場ではエネルギー、素材、産業株が値を上げ、VIX指数は幾分値下がり。航空やクルーズ関連は値下がり。欧州市場では、ドイツ工場活動がリバウンドし株価指数のDAXは2.0%の上昇。石油&ガス、銀行、保険、化学といった景気循環株を中心に値を上げた。英国ではジョンソン首相が新たな制限を公表し、中小型株中心の株式指数FTMCは0.2%下落

2020/11/4    水

米国市場はバイデン氏勝利を予想し、より大きな景気刺激策が採られることを期待し市場は上昇。金融、産業の両セクターは2%以上の値上がり。キャタピラーは2.7%値を上げ、Hanewell Internationalも3.2%の上昇。欧州市場も、バイデン氏の勝利を予想し株価上昇。トランプ政権が火をつけた米中の関税戦争が緩和されると見込まれ自動車株は3.5%の上昇。フェラーリは2020年の業績について公表していた範囲の上限になると予想し株価は7.1%上昇。BNPパリバは四半期決算が堅調で6.1%上昇。自動車、銀行のほかに保険や建築&素材なども株価上昇。英国の住宅建築Grest Nicholsonは配当を再開し、収益予想が堅調であったことから株価は16.5%の上昇

2020/11/5    木

米国では大統領選が混迷を深める中、メイン州では共和党が上院議員選に勝利し共和党の上院での多数は維持される見通し。そのために、いずれの候補が勝利しても、政策には大きな変更をすることは難しいとの見方が広がる。反トラスト法やキャピタルゲインタックスに関する法制を変更するのもむつかしいとして、大手IT企業には追い風。GAFA+TM指数は4.34%上昇。グロース株が値を上げ、バリュー株は横ばいであった。また、ヘルスケア指数も4.45%と大きく値上がり。防衛産業は値下がり。欧州市場では、防衛的な銘柄ということでヘルスケア関連4.9%上昇。テクノロジー関連も3.0%上昇。国別では、ドイツのDAXが2.0%、英国のFTSEが1.7%値上がり。一方で、景気に変動を受けやすい銀行、ガス・石油、鉱業などは値下がり。バイデン候補が勝利すると恩恵を被るとみられる代替エネルギーのVestaとSiemens Gamesaはそれぞれ、3.5%と1.6%の値下がり

2020/11/6    金

米国市場では、共和党が上院の多数を占める見通しとなり、バイデン氏が大統領になっても大きな政策変更はできないとの見通し。Fedは金融緩和政策を維持し、ただし、財政に直接資金供給することはしないとパウエル議長がコメント。米国の主要指数はいずれも上昇し、特に、テクノロジー株のウェイトが大きいNASDAQは2.5%以上の値上がり。また、フィラデルフィア半導体指数は4.4%の上昇。Qualcommは第1四半期の業績予想が予想を上回り12.75%の上昇。欧州市場でも2週間来の高値となった。テクノロジー株は米国の競合銘柄が値を上げたことによる。ドイツのメディアのProsiebensat 1 Media SEは四半期決算が黒字に戻り8.9%の値上がり。フランスのソシエテ・ジェネラルは株式トレードで利益を上げ3.7%の値上がりとなり、英国の保険会社RSAは英国のロックダウンがそれほどビジネスに影響しないことが分かり45.7%値を上げた。

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トレンド・アロケーション・オープン~スマートマネー効果とダウンサイドリスク

ファンドの概要

このファンドは、高リスク資産(先進国株式/新興国株式/先進国リート/コモディティ)と低リスク資産(先進国国債/先進国社債/新興国国債/短期債券・キャッシュ等)に分類して、上昇トレンドの高い時は高リスク資産に多く投資し、下方リスクの高い時には低リスク資産に多く投資するバランス型ファンドです。ファンドの運用は三菱UFJ国際投信ですが、実質的にはアリアンツ・グローバル・インベスターズが担当します。

ファンドの意思決定と運用推移

2020年8月、このファンドを運用している三菱UFJ国際投信は、「足下の運用状況および今後の運用方針等について」というレポートを公表しています。そのレポートでは、5つのポイントを解説していますが、一番大切なのは、「2021年2月下旬頃まで保守的な運用が続く見通し」であるということです。
『いつになったら元の運用に戻るのだろう?』と思っている投資家がいると思いますが、運用会社はその回答をすでに公表しているのです。

このグラフは、ファンドから流出した資金(推定値)をグラフにしたものです。2020年、ファンドから資金が流出する速度が速くなっているように思われます。コロナウィルスの騒ぎが大きくなった2020年の第1四半期に100億円近くの資金が流出し、ファンドがポートフォリオからリスク資産を一掃ししばらく小康状態を保っていたけど、2020年8月に、「少なくとも来年(2021年)2月にならないとリスク資産には投資しない」と明言されて、それ以降、解約が増えていると考えることができます。
アメリカでは、運用成績の良いファンドには資金が集まり、運用成績の悪いファンドからは資金が流出するといわれています。(スマートマネー効果)スマートマネー効果が正しいのかについての判定は別の機会に譲るとして、運用会社が一定の見通しを投資家に提供してくれていることは良いことだと思います。ファンドの運用方針になっている「リスクを抑える」ことに賛成の投資家は解約しないでしょうし、もっと積極的に投資したいと思っている投資家はファンドを解約して、別のファンドに乗り換えることになるでしょう。
ファンドの運用が優れているかどうかは別として、正しい情報提供・開示はされるていると思います。

一歩先への視点

このファンドでは、ダウンサイド・リスクをコントロールすることを運用方針に定めています。一般的に、リスクというのは、基準価額の平均騰落率(リターン)に対して、実際の騰落率がどの程度、“ばらつく”のかを示す指標です。平均より実際の騰落率が上回ったときも、リスクの量が増えることになります。

一方、“ダウンサイドリスク”では、平均を下回ったときだけリスクとして認識する指標です。このファンドでは、「過去1年の高値からの下落率が15%以内に収まることを目指す」と目論見書に記載があります。15%以上下落する可能性があるときは、低リスク資産の割合を増やして防御的なポートフォリオを構成することになります。