シニアライフ・相続・終活❷

シニアライフ・相続・終活❶より

お金の情報よりこころの情報

将来の純資産の予想をして、その分配を考えておくのが相続問題であるが。お金の情報だけで相続問題が解決するわけではない。遺品整理や生前のうちに整理をしてしまう「おかたづけ」はお金の問題ではないが、優先順位の高い問題である。国境なき医師団のレポートでも、“おひとりさま”の終活で大事だと思うこと 1 位「身の回りの整理」2 位「後見人の指定」 と金銭以外の項目が上位2項目を占めている。

FPや税理士が協働しても、こころの問題はカバーできない。シニアの方に話を聞くと専門家に対して不満を持っていることが少なくないが、専門家の提供できる領域を組み合わせても、シニアのニーズの全体を満たすことができないことがその根本的な理由である。

図表4 相続問題から終活までカバーする

AIEBS(アイブス)の過程を考えよう

シニアの方に話を聞くと、専門家のサポートを求めていないわけではない。むしろ、適正な価格でよいサポートを受けられるのであればお願いしたいという人が多いように思う。それでも、シニアがそうしないのは誰に聞けば専門家にたどりつけるかわからないからである。

ある税理士の方に聞いた話であるが、長年お付き合いしてきた人や会社であれば引き受けることができるが、いきなり来られて相続案件を取り扱うことには抵抗を感じるらしい。通常、税理士の報酬体系は確定申告を行うことに対していくら、小規模宅地の評価減を含めることにいくらといったようになっている。スムーズに処理が進めば利益が大きくなり、確認事項などが増えてくると時間ばかりかかって(報酬体系は時間制でないので)利益が減っていくしくみである。専門家にとっても、見知らぬお客はリスクなのである。

そこで、専門家がシニアに本格的なサービスを提供する前に、その専門家をシニアが評価できる機会を作ればよいのではないかと思う。AIEBSはその過程を示した造語である。シニアライフ・相続・終活という区切りは専門家側から考えた区切りであり、シニアの求めるものの区切りではない。

図表5 AIEBS(アイブス)の過程

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