(この前)
ポートフォリオについては、いろいろな箇所で触れている。ポートフォリオの概念を抜きにして、ファイナンス理論は成り立たない。ただし、ポートフォリオの意味するところは、年を経て変化してきた。
1990年以前は、個別の株式や債券、あるいは、特別な債券の集まりがポートフォリオであった。1990年代になると、投資信託が脚光を浴び始め、どのファンドに投資するかが焦点になった。さわかみ投信などが脚光を浴びたのもこの時期である。2000年ごろになるとアセットアロケーションへの妄信が顕著になる。ポートフォリオの意味するところは、資産クラスへの配分になる。「アセットアロケーションで投資の9割は決まる」といわれたが、何の9割がアセットアロケーションで決まると説明されていたであろうか?
現在、ポートフォリオは、定期積立、税制優遇、リスク回避などの仕組みの束ととらえたほうがよいと思う。リスク・リターンの特性は、アセットアロケーションで決まる。これは正しい。しかし、投資家は、リスクもリターンも直接コントロールできない。だから、投資家から見て、直接コントロールできる手続きの束がポートフォリオと考えたほうがよい。ここで、ポートフォリオ自体は何ら変わっていない。
(続く)