情報を整理してみよう

不安・不満の原因を分類して理解する

わたしたちが資産運用に関する不安や不満を解消する最初のステップは、不安や不満の原因の交通整理・分類をすることです。不安や不満の内容をより具体的に明らかにすることにより、金融商品への理解が深まります。

不安と不満を細分化しよう

わたしたちは実体のない金融商品で資産運用をしようとするとき、不安を感じるものです。特に、投資経験のない場合にはこの傾向が顕著に表れます。そういったときは、わたしたち自身が持っている不安や不満を一つずつ交通整理をしてあげることによって、不安や不満を解消してみるとよいでしょう。
わたしたちが持っている不安や不満は大別すると、(1)ファンドの運用に対する不安や不満と、(2)ファンドのしくみに対する不安や不満に大別することができます。(1)の要因はファンドにより変化しますが、(2)の要因は金融商品や投資信託といった仕組みそのものに起因するものです。

ファンドの運用に対する不安や不満をさらに細分化

ファンドの運用に対する不安や不満は、さらに、(A)ファンドの運用そのものに対する不安や不満と、(B)運用を比較することができないことに対する不満に分類することができるでしょう。たとえば、「もっと儲かると思っていたのに資産が全然殖えない」という不満は(A)に分類され、「比較するための情報を収集できない」という不満は(B)に分類されます。

ファンドのしくみに対する不安や不満も細分化

ファンドのしくみに対する不安や不満も二つに細分化することができるでしょう。一つは、(C)説明や解説に対する不安や不満、そしてもう一つは、(D)投資しているものが見えないことに対する不安です。たとえば、「運用報告書などに書いてあることが難しすぎて理解できない」というのは(C)に分類される不満ということができます。また、「自分のお金がどこに行っているのかわからない」というのは、実態が見えない金融商品特有の、見えないことに対する(D)の不安ということができます。
漠然とした不安や不満を、より具体的な不安や不満にまで突き詰めていくと、問題点が浮かび上がってきます。

ファンドにかかる手数料は、2種類に大別できる

販売会社で異なる申込(購入)手数料と差異がない信託報酬

ファンドにかかる手数料は、申込時に必要となる申込(購入)手数料と、ファンドを保有している間ずっと必要となる信託報酬に大別できます。申込(購入)手数料は販売会社により異なる手数料になっていることがありますが、信託報酬はどの投資家に対しても同じレートが適用されます。

申込(購入)手数料と信託報酬が手数料の2本の柱

ファンドにかかる手数料は、ファンドを購入するときに一度だけ支払う手数料とファンドを保有している間ずっと支払う手数料に大別できます。後者の手数料は、信託報酬等の手数料です。信託報酬はファンドのすべての受益者(投資家)で同じ比率になっています。たとえば、信託報酬が年率で1%(税込)だとすると、毎日、純資産価額に1%÷365(366)をかけた金額を信託報酬として(投資家が)負担する仕組みです。

一方、前者の手数料は申込手数料(購入)手数料と呼ばれる手数料で、販売会社が独自に決めることができます。申込手数料については目論見書に記載することになっていますが、実は、多くの投資信託では申込手数料についてはその上限を定めているだけになっています。つまり、目論見書に定めた(投資信託の委託会社と受託会社が定めた)手数料の水準以下であれば、銀行や証券会社などの販売会社が独自に手数料の水準を決められるのです。一般的に、販売会社は顧客層に応じた手数料体系を採用しているようです。ネット系の販売会社は申込手数料を抑える傾向にあります。地方銀行などでは、ある程度まとまった金額で購入してくれる投資家を優遇するような体系をとっているケースが少なくありません。こういった背景を理解しておくとファンドを選択するとき参考になるかもしれませんね。参考までに、ある海外債券ファンドの申込手数料の設定例を例示しておきます。

販売形態の多様化に応じて申込(購入)手数料も多様化

ところで、信託報酬と申込手数料には考え方に差があることにお気づきでしょうか?信託報酬は大口の投資家でも小口の投資家でも同じ比率で手数料がかかります。つまり、大口の投資家だからといって優遇されることはないのです。すべての受益者が平等に取り扱われているのです。一方、申込手数料では大口投資家は優遇されています。
実は、申込(購入)手数料もかつてはどの販売会社でも同一の料率になっていた場合が少なくありませんでした。しかし、販売会社が多様化し、販売形態が多様化していく中で、現在のように販売会社の意向を反映させられる手数料体系に変わっていったのです。