介護保険に必要な給付①

生命保険会社にとって、介護保険の分野は成長が見込める数少ない分野であるということは、ほぼ業界のコンセンサスになっているといっても過言ではないだろう。所得税の控除にも、介護医療保険控除が新設された。介護保険の世帯加入率は14.2%(生命保険文化センター「平成24年度生命保険に関する全国実態調査」)なのに対して、医療保険の世帯加入率は92.4%(同)になっている。明らかに、介護保険の分野は成長が期待できる分野である。

生命保険各社の介護保険も、たくさんの改良が加えられている。たとえば、支払い対象となる介護状態をより程度の低い状態から給付を開始するように改良されたり、あるいは、保障期間が一定の期間である定期型から保障が終身継続する終身型に延長されたりしている。しかし、消費者の立場から考えると、給付内容がさらにドラスティックに改良されることが求められているように思う。

働き盛りの40代の人たちを対象に介護保険について意見を聞いたことがある。彼(女)らの関心の中心は、自分たちが要介護状態になることよりも、親の世代が要介護状態になったらどうしようということであった。特に、故郷を離れて東京で暮らす人にとって、親が要介護状態になったとき、自宅と実家を行き来する交通費だけでも大変な金額になるというのである。介護に要する費用は、介護用品を購入したり、介護サービスを受けたりする場合の自己負担額だけではなく、周りの人の費用まで含めて考える必要があるのである。

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この記事は、2012年、週刊インシュアランスに掲載されたものです。

保険金の第三者受取り②

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私が話して、記者の方がそれを聞いて記事を作成するというオーソドックスなやり方であったのだが、以外と説明に時間がかかってしまった。記者の方が不勉強というわけではない。一般の消費者より保険のことはよく知っておられると思うのであるが、それでも、保険金受取人が変更できることを説明する必要があった。故殺という言葉も知らなければ、そういう状態になる可能性についても考えたことがない。遺言による保険金受取人の変更などもちろん知らない。このような状態の中で、第三者受取りを解禁することが本当に正しいのだろうかと感じてしまったのも事実である。そのような中で、第三者受取りのみが解禁されると、悪意を持った一部の人々に第三者受取りが悪用されるのではないかと懸念してしまう。

※図は本文と関係ありません

この問題の本質は、保険金受取人に関する問題をフォローする人がいないということであろう。保険金受け取りの問題だけではない。保全そのものに対して、保険契約者たちをフォローする人がいないというのが問題である。その保険が販売された銀行に聞きに行けば答えてくれるだろうか?その保険を勧めてくれた直販の募集人に聞けば答えてくれるだろうか?残念ながら、手数料が払われない、営業成績のプラスにならないのであれば、募集人は片手間でしか対応してくれない。詳しくは、本社のお客様対応部門に電話してほしいと連絡先を伝えるのが精いっぱいであろう。

保険会社には、ぜひ、保全業務にも相応の報酬が支払われるようなしくみを作っていただきたいと思う。保険代理店には、保全業務のフォローができないのであれば保険代理店をしないでほしいと伝えたい。保全業務を義務付けることで、取扱保険会社をズラッと並べて販売する方式から脱却できる。本来、保険代理店がまじめに取り扱える保険会社の数は5社程度が上限だろう。それ以上、取扱保険会社を用意する理由は、最良のものを選び出しているという姿勢を見せるためでしかない。1社専属制がよいとは思わないが、数十社を並べている保険代理店もよいとは思わない。

消費者は、業界の体質改善を待つことができないであろう。それならば、解決策は2つ。一つは、しっかりしたFPについてもらうことである。そして、もう一つは自分でFP相当の知識を身につけてしまうことである。私は後者をお勧めしたい。そのために必要なことは金融教育。かしこい社会の実現のためには、消費者がかしこくなることが一番である。消費者がかしこくなれば、企業はごまかしがきかなくなる。

この記事は週刊インシュアランスに掲載したものです