資産運用の分類(その1)

運用手法と成果測定を対(つい)にして覚える

ファンドの運用手法は、アクティブ運用とパッシブ運用、そして、そ の中間に位置するエンハンストインデックス運用の3つに大別され ます。アクティブ運用はシャープレシオや情報レシオで、パッシブ運 用はトラッキングエラーでその運用の成果(パフォーマンス)を測り ます。

アクティブ運用、パッシブ運用、エンハンストインデックス運用

資産運用の手法を分類すると、最初に、アクティブ運用とパッシブ(イ ンデックス)運用に分類されます。アクティブ運用とは、その運用がベン チマーク(基準とする市場インデックスなど)を上回ることを目指す運用 です。もう一つが、パッシブ運用です。こちらは、ベンチマークと連動した運用 を追求する手法です。

細かくいうと、アクティブ運用とパッシブ運用の間にエンハンストイン デックス運用があります。原則として、パッシブ運用だけれど少しだけア クティブ運用が許された運用ということができるでしょう。

ファンドのパフォーマンス評価

アクティブ運用のファンドのパフォーマンスを評価するときには、 シャープレシオ(2.7)や情報レシオ(2.8)が役に立ちます。 パッシブ運用の場合の運用の尺度は、トラッキングエラー(2.8)になりま す。トラッキングエラーは、ファンドの値動きとベンチマークの値動きの ギャップを示す指標です。トラッキングエラーが低いほどパッシブ運用の 評価は高まります。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。

リバランスの実践

リバランスとは投資効率を向上させる逆張り戦略

ポートフォリオの投資比率を当初決めておいた比率に戻ることをリ バランスといいます。リバランスは逆張り戦略です。そして、よく知 られたドルコスト平均法も逆張り戦略です。逆張り戦略を上手に使 うと、買付単価を引き下げ、投資効率を向上させることができます。

ポートフォリオのリバランスは逆張り戦略

ポートフォリオのリスク水準等の確認が終了したら、ポートフォリオを リバランスしましょう。リバランスとは、バランスを元に戻すことです。

実際のポートフォリオの資産クラスへの投資比率を、あらかじめ決めてお いた比率に戻す作業です。実に簡単な作業ですが、リバランスには「逆張 り戦略」という意味も含められています。図で示すように、株式と債券の 割合を等分にする配分を考えてみましょう。株式の割合が低下するとき は、株価が下がっているときです。安くなった株式を買い増すということ ですから、人気の低いものに投資する逆張り戦略というわけです。

ドルコスト平均法も逆張り戦略

株式と債券の値動きが図のように一方が下がり、一方が上がるという図 の例のような状態が繰り返されるとしたら、逆張り戦略は有効です。 安いところで追加投資を繰り返すわけですから、トータルで考えると、安 い価格で資産を購入できているという仕組みです。

実は、逆張り戦略になっているという点で、リバランスはドルコスト平均 法と同じ効果があります。ドルコスト平均法も、リスクのある資産の値動 きにかかわらず、同じ金額を投資することによって、平均買付単価を引き 下げるという効果を持っています。したがって、保有しているリスク資産 にはリバランスを適用し、購入する資金についてはドルコスト平均法を適 用すれば、逆張り戦略を強化することができます。

バランス型ファンドも逆張り戦略

自分でリバランスすることが面倒であると感じるのであれば、バラン ス型ファンドに投資するとよいでしょう。バランス型ファンドであれば、 ファンドマネージャーが投資家に代わってリバランスを行ってくれます。 ファンド全体でリバランスを行うことになりますから、規模も大きくコス ト面から考えても合理的といえます。バランス型ファンドをドルコスト平 均法で買い続けることは、逆張り戦略を追求していることにもなってい ます。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。