6月第5週の市況

2017/6/26    月

原油価格が引き続き値を下げたままで米ドルも下落。米国株式市場では、エネルギー関連株の下落をテクノロジー、ヘルスケア関連株が支える状態。ラッセル2000は銘柄を一部入れ替えて上昇。欧州では、米ドルの下落とエネルギー関連株の軟化が英国の大型株を直撃。Breixtの交渉開始とともに、EU圏の競合銘柄より大きく値を下げる傾向がある

2017/6/27    火

米国では耐久財受注が予想以下となり金利が下がり債権が上昇。テクノロジー株が値下がりしNASDAQは下落。欧州市場では問題になっていたイタリアの地方銀行に公的資金が投入されイタリアの銀行株が上昇。ドイツでは景況指数が予想外に上昇

2017/6/28    水

米国ではヘルスケア関連の法案の投票が延期されテクノロジー関連株が下落。IMFは米国の政治的な不透明さから成長率予想を引き下げた。イエレン議長は利上げの見通しを変えずイールドが上昇し、国債は下落、金融株は上昇。NASDAQは1.7%の下落と大きく値を下げる。SP500も値下がり。欧州ではECBのドラギ総裁のコメントが9月にも緩和策から引き締めに移行すると取られ、イールド上昇、株式市場では公益株を中心に値下がり

2017/6/29    木

ECB幹部が昨日のドラギ総裁のメッセージは市場に間違って伝わっているとコメント。ユーロは対ドルで上昇。イングランド銀行のカーニー総裁は英国経済が堅調であると説明。米国ではテクノロジー株がリバウンドしてNASDAQは大きく上昇。銀行株もイールドともに上昇。欧州でもBankia,Unicreditなどの銀行株が大きく上昇

2017/6/30    金

ECBとBOEがともに金融引き締め策に転ずるとみられ、イールド上昇。ユーロと英ポンドも値を上げる。欧州では金利感応株である公益株が値を下げ、米国ではグロース株からばるー株へのシフトでテクノロジー株が軟調。GS、JPモルガン、HSBCなどの大手銀行株は堅調

リスクは一定ではない

リスクは時とともに上下動している

合理的な投資家であればできるだけ避けたいリスクですが、時の推移とともに変動していることは、あまり知られていません。リスクの高いと思われている株式であってもリスクをあまり感じなくて済む時があるのです。

変動するリスク

株式はリスクが高いといわれていますが、株式のリスクは時系列で変動しているのをご存知でしょうか。TOPIX(日本株式)やSP500(米国株式)のリスク(標準偏差:ボラティリティ)は平均すると20~25%程度なのですが、市場環境によってリスクは変動しているのです。

図は日時データから算出したTOPIXの年換算リスクの移動平均を表しています。グラフ中に記載したように、リーマン・ショックのときと、欧州債務問題がポルトガル・スペインなどに拡散し、日本では東日本大震災が発生したときに、リスクは大きく跳ね上がっているのです。

私たちの感覚とすり合わせてみる

シャープレシオを思い出してみましょう。

シャープレシオ=(リターン-無リスク資産利子率)÷ 標準偏差(リスク)

ここで使われているリスクが、時と場合によって変動するのです。当然、シャープレシオの値も変動することになります。シャープレシオとは、リスクのあるものに投資したときの魅力度を測るための尺度です。

リスクのあるものの魅力度は、リスクの低い(市場が安定している)ときには高く、リスクの高い(市場の変動が大きい)ときには低くなっているのです。

リスクのあるものに投資をして怖いと感じるのは、市場が大きく変動している時なのです。リスクが一定ではないと知っておくだけで、私たちは随分と心に余裕が生まれるのではないでしょうか。

TOPIXの年換算リスクの時系列推移

ライフプランニングに役立つ資産運用の考え方(リメイク中)の全文はこちらでご覧いただけます