8月第5週の市況

先週の市況はコチラ

2018/8/27    月

米国のジャクソンホールで開催されていた中央銀行のミーティングでパウエルFRB議長が、緩やかな利上げ政策を維持することをコメントしたことを市場は好感。SP500やRussell2000は史上最高値を更新。7月の資本財の受注も予想以上の増加となった。欧州市場では、米中の関税対話で成果が見られなかったことに警戒し市場は横ばい

2018/8/28    火

米国とメキシコの間の関税問題の議論がまとまったことが欧米市場にプラスに影響。米国ではフォードやGMといった自動車銘柄が大きく値を上げ、SP500とNASDAQはいずれも史上最高値を更新。ボーイングやキャタピラーなどの貿易関連銘柄も上昇。プライベート化を断念したTeslaは米国市場でもドイツ市場でも値下がり。欧州市場では米国とメキシコの関税合意のほか、先週末のパウエルFRB議長のスピーチが好感され市場は上昇。欧州でも自動車株が大きく値上がり

2018/8/29    水

米国ではテクノロジー株が上昇してエネルギー株の下落を補う。SP500もNASDAQも史上最高値を更新。個別企業ではティファニーが好決算となり1%上昇。Sears HoldingはAmazonとの提携が全米に拡大し大幅に上昇。小売りのBest Buyは売り上げの伸びが減少し株価も下落。欧州でも、米国とメキシコの関税対話が合意に達したことが好感され自動車株が上昇。ドル安に伴い金属価格が上昇し、資源関連株が上昇

2018/8/30    木

米国市場では、アップルが史上最高値を更新し、Amazonも史上2番目の時価総額1兆ドル超えが近くなり3.4%上昇。テクノロジー株主導でSP500とNASDAQはまたも史上最高値を更新。米国の第2四半期GDPは上昇修正され年率4.2%増となりここ4年で最高。カナダと米国の関税交渉は、カナダが懐柔的なスタンスで市場は好感。欧州市場も値を上げる。ただし、EUがBrexit後も密接な関係を維持すると表明した英国については、ポンド高となり株価は下落

2018/8/31    金

ユーロとカナダドルが軟化し、アルゼンチンでは通貨ペソの価値暴落を食い止めるため金利を60%引き上げる。トランプ大統領は中国に対して新たな関税を課すると発言し、WTOからの脱退も示唆。米国では産業株が最も値下がりし、新興国市場のリスクが増大。米国債と欧州の中核の国債は値を上げる。中国では関税問題のほか、工場稼働率も3ヵ月連続で低下したため関連の深いドイツのDAXは1%近く値下がり

ファンドと資産運用残高

資産運用残高がパフォーマンスを向上させる

アクティブ運用にしても、パッシブ運用にしても、ファンドの運用は規模の経済が成り立つ世界です。大きな資産残高があれば、運用担当者を増加やすことができるため(アクティブ運用)、ベンチマークと同じような比率で有価証券を購入することが可能になり(パッシブ運用)、ファンドのパフォーマンスを向上させることが可能です。

資産運用は規模の経済が成り立つ

資産運用の世界は規模の経済が成り立ちます。日本の株式に投資する投資信託(ファンド)を考えてみましょう。AファンドとBファンドです。Aファンドは(運用)資産残高が10億円、一方、Bファンドは1,000億円。いずれのファンドもファンドの維持・運営にかかる費用など(信託報酬)が、年間資産残高に対して1%であったとします。Aファンドは年間1,000万円でファンドを維持し、運営しなければなりません。一方、Bファンドは10億円。Bファンドでは余裕を持ってファンドの維持・運営をすることが可能で、また、利益も上げることができそうですね。

アクティブ運用の場合

仮に、Aファンドがアクティブ運用のファンドであったとしましょう。アクティブ運用にも種類がありますが、Aファンドは個別銘柄の割安感を測って投資するバリュー株投資を運用方針に掲げていたとします。そうすると、ファンドは、運用方針に適った割安な株式を見つけ出さなければなりません。企業のリサーチが必要になります。財務諸表上のデータだけではなく、場合によっては、会社を訪問して直接、経営陣などから話を聞く必要があるかもしれません。つまり、手間がかかります。ファンドとしてある程度のパフォーマンスを上げるためには、相応の資金が必要ということになります。

パッシブ運用の場合

パッシブ運用のファンドであったとしたら、どのように考えればよいでしょう?パッシブ運用の基礎となる考え方は、もしベンチマークがTOPIXであったとしたら、TOPIXと同じ比率でファンドも同じ銘柄を保有することがパッシブ運用の原則です。

TOPIXとの乖離を小さくするために、0.1%の単位まで同じ比率にしようと考えたとします。Aファンドの資産運用残高の0.1%といえば、100万円になります。もし、Aファンドが100万円分、ファーストリテイリングの株(51,880円2018年8月28日/単元株100株)を購入しようとすると、まったく購入できません。その結果、Aファンドでは、ファンドの規模が小さいことが原因となり、TOPIXと連動させることができないということになります。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。