ライフプランニングとシニアライフプランニングの違い~その1

ライフプランニングというと、思い出されるのは、『キャッシュフロー表』であろう。AFPの資格を持っている人であれば、受検の時に作らされた思い出があるはずである。キャッシュフロー表を作ることが、ライフプランニングと解釈されることも多いが、キャッシュフロー表にたどり着くまでに、たくさんの準備事項がある

最初に考えたいことが、ライフデザインである。どのような人生になるのかを予想することがライフデザインである。予想であるから、そのとおりになることもあれば、ならないときもある。予想とおりに行かなかったら、ライフデザインを修正することになる。ライフデザインを具体的に考えていくときに必要になるのが、ライフイベントである。文字とおり『人生の出来事』がライフイベントである。結婚するというのもライフイベント。子供ができるもライフイベント。退職するもライフイベント。人生はライフイベントで構成されている

ライフイベントを紡ぎ合わせたものがライフプランニングである。人生のシナリオというと良いのかもしれない。ライフイベントとライフデザインがどのように違うのか、キャリアプランナーの方に聞くと明確な違いがあるのかもしれないが、FPにとってあまり明確な違いはない。強いてあげるなら、ライフプランニングのほうがより具体的になっているという程度であろう。

ライフプランニングをお金で表したものがキャッシュフロー表ということになる。お金で換算できるという点から、生活費もライフイベントとして取り扱われる。逆に、お金に換算されないライフイベントは、忘れ去られてしまうことが多い。でも、ある状態になったら発生するというようなライフイベントもある。「人の死亡」はその代表的なものであろう。保険に加入していたら遺族は保険金を受け取る。お墓を作るとその費用が発生する。普段は想定されていないものが、お金を伴ったライフイベントとして計算に含められるようになる。

キャッシュフロー表を使って、人生のリスクを表現できるようになると、ファイナンシャルプランナーとして一人前なのかもしれない。必要保障額の計算もよいが、やはり、キャッシュフロー表を見せてしっかり説明できることが、これからの時代、必要になってくるだろう。

(つづく)

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものです。

ライフプランニング~その5-3

ライフプランを改善しよう

金融資産がマイナスになってしまうのは困りますので、ライフプランを改善してみたいと思います。

パートで働く

「現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと感じている」(平成29年度版高齢社会白書)という時代背景を加味して、正彦様がパートで働くという想定をしてみよう。フルタイムではなく、週20時間程度の就労であると仮定する。東京都の最低賃金を勘案すると、1013円 × 20時間 × 4週 = 81,040円。

正彦様が65歳から69歳まで働くということを想定します。図1.15のように収支見通しは変化します。少し働くという仮定を入れると、資産がマイナスになる期間が消えました。

図1.15 支出を含めた将来の収支見通し~その5

資産運用を行う

次に、現在手持ちの2,000万円は全く運用しないという仮定です。しかし、72の法則でもわかるように、資産運用をすると、毎年の収支が改善され、生活が楽になることが予想されます。

ここでは、ファンドAに資産の20%を投資すると考えてみます。

ファンドAの特徴

投資対象: 国内外の株式、債券、リート(不動産)

期待リターン: 年率5.0%

予想リスク: 年率5.0%

将来の収支見通しは、図1.16 のようになります。図1.15 に比べて資産残高が大きくなっていることがわかります。資産残高が大きなうちに運用することにより、資産寿命が延びていることがわかります。

図1.16 支出を含めた将来の収支見通し~その6