3月第4週の市況

2020/3/23    月

米国では昨日のカリフォルニアに続いてNY州でも州知事が不要の外出を控えるように要請。上院では1兆ドルの国民支援を検討しているが、株式市場は5%程度の下落。AT&Tは財政状態の悪化を勘案して40億ドルの自社株買いを中止。同株は8.7%値を下げた。欧州市場では2日連続の株価上昇となった。下げ続けていた航空関連が10%程度値を戻し、エネルギー関連も6%ほど値を上げた

2020/3/24    火

米国ではFedが学生ローンやクレジットカードローンに対してバックアップすることを言明したが市場は下落。米国では50州のうち、ミシガンやマサチューセッツなど13州が人の移動を制限している。民主党と共和党は2兆円の支援パッケージで合意に至らず、ゴールドマンサックスは米国GDPが2020年に24%減少すると予想。原油価格の下落からエネルギーセクターは6.7%下落。耐久消費財のみがセクターとして黒字になった。欧州市場でも市場は大きく下落。フランス、スペインに次いでギリシャでも全国的なロックダウンが実施される。エアバスは株価が14%下落し、時価総額最大手のネスレはCEOが従業員に向けて警告メッセージを伝える。同株は6%下落

2020/3/25    水

各国の財政・金融上のパッケージの表明が相次いで欧米市場ではリバウンド。米国市場では3年来の安値から値上がり。ボーイングは737MAXが今年半ばには運航できる見通しになったと公表し株価は17%上昇。共和党が航空会社に対して400憶ドルの補助金を出す提案をしたことから、アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空は15~17%の値上がり。石油大手のシェブロンは今年の40億ドルの資本支出を取りやめることを公表し株価は20.7%上昇。欧州市場でも大きくリバウンド。ドイツ、イタリア、英国の市場は5%以上値上がり。ドイツでは7500憶ユーロのパッケージ案が示される。旅行・レジャーセクターも3.4%の値上がりとなり、鉱業、保険、石油・ガスは7~10%の上昇となった

2020/3/26    木

米国では上院が2兆ドルのパッケージを承認し市場は上昇。このパッケージには5000憶ドルの企業向け支援と世帯当たり3000ドルの現金支給が含まれている。ボーイングは、投資家が航空産業も支援の対象になると判断したことから24%と大幅に上昇。アメリカン、デルタ、ユナイテッドの各航空会社も10%以上値上がり。日経がアップルは5Gを使ったiPhoneの発売を延期すると報じ、同株は少し下落。欧州市場では、ドイツ市場が大きく値を下げたが、全体としては方向性のない取引となった。エアフランス、IAG、ライアンエアー、EasyJetなどの各航空会社は各国政府に補助金を求めており、株価も1~8%上昇

2020/3/27    金

米国市場では新規失業保険申請者が予想以上に少なかったこと、上院で2兆ドルの支援プランが承認され、下院でも承認される見込みなので市場は大きく回復。ダウはここ3日間で21%値を戻した。SP500、NASDAQも5~6%程度の上昇。最新の支援案で航空産業に580憶ドルの支援が見込まれることからボーイングは14%値を上げた。欧州市場も、米国市場に引きずられる形で、また、EUが緊急ファンドを承認する構えであることもあり市場は上昇。エアバスは20.5%と大きく値を上げる。コロナウィルスの死者が多いイタリア、スペインを含め株式市場は値上がり。

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家計調査を読み解く~その2

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さらに注目しておきたいのが、税金や社会保険料の非消費支出である。FPの人がキャッシュフロー表を作成するとき、通常は、可処分所得を収入として計上する。だから、改めて支出に含めることはしないのが通常である。しかし、この方法は少し時代遅れになっているのではないだろうか。サラリーマンであれば、税金や社会保険料は隠れたコストなので可処分所得で計算しても問題ないが、独立したり、シニア世代になると、税金や社会保険料は隠れたコストではなくなる。サラリーマンから独立すると、国民健康保険の保険料の割高感を実感することになり、シニア世代には、将来、税金や社会保険料の負担増が求められることになるだろうことが容易に想像できる。

実際に、すべての世帯平均でみれば、税金と社会保険料の負担は、月額で11万円弱である。これらを合計すると合計金額は51.5万円ほどになる。税金と社会保険料の負担は、全支出の2割強になっている。年金や保険は還元される部分があることは承知の上であるが、かなりの金額を負担していることになる。

家計調査の数値を分析すると興味深いことがたくさん浮かび上がってくる。保険料と税・社会保険料の関係もその一つである。2000年以降のデータを見ると、経常収入に占める保険料の割合はほぼ単調に下がってきている。2000年では世帯の収入の7.6%は保険料になっていたわけであるが、2019年後には4.2%にまで下落している。金額でみると、4.2万ほどあった保険料は、2.4万円にまで下がっている。一方、税・社会保険料の比率は、おおむね右肩上がりに上昇している。2000年時点では16%であった負担率が、2019年の時点では19%にまで上昇している。金額では、8.8万円だったものが10.9万円まで上昇している。“保険の節約”によって支払保険料を減らしても、ソーシャルコストが上昇するのであればトータルでは節約になっていないことがわかる。

情報を付け加えると、家計調査で保険料といっているのは貯蓄性の保険の保険料である。第三分野や定期保険の保険料は、費用として「その他の費用」に分類されるしくみである。したがって、家計調査の保険料が下がっているのは、保険自体を減らして保険料自体が下がってきたという可能性と、保険の内容が貯蓄性から保障性の商品にシフトしたという可能性が考えられる。おそらく、そのいずれもが進行したのではないだろうか。

キャッシュフロー表を作成するときに、物事の平均から始めようとするとうまくいかないことが少なくない。そういったときは、基礎となるデータを根本から洗い直してみることも考えるべきだろう。

この記事は、「週刊インシュアランス」に掲載したものを、出版社の許可を得て転載したものです。