家計調査を読み解く~その1

2020年2月に、総務省統計局から家計調査の2019年の家計収支にかかるデータが公表された。ファイナンシャルプランナー(FP)にしても、保険の募集人にしてもその動向は気にかかるところであろう。全国の世帯当たりの1か月の消費支出の平均は、約32万円である。ところが、家計で必要になる費用を32万円として見積もりを立てると、少し見積もりが不正確かもしれない。なぜなら、この住居費の平均値は1.9万円と見積もられているからである。その理由は、ここに含まれる住居費は家賃などであり、住宅ローンで支払われる金額は、消費支出に含まれないためである。住居費の平均値は、家賃などで支払われた費用の合計を、すべての世帯の数で割って算出される。だから、住居費の平均が2万円以下と少し現実離れした数値になるのである。

少しこの数値を補正してみよう。家計調査では、「家賃・地代を払っている人の割合」も同時に公開してくれている。そこで、住居費の平均を求める分母を、「すべての世帯×家賃・地代を払っている人の割合」として修正してみよう。つまり、家賃・地代を支払っている世帯の平均と補正するわけである。この補正で、金額は約10万円と修正される。こうなると、なんとなく実感する数値に近くなるのではないだろうか。補正した値を使うと家計の消費支出は約40万円になる。

(後半に続く)

この記事は、「週刊インシュアランス」に掲載したものを、出版社の許可を得て転載したものです。