保険金の第三者受取り②

前半部分はコチラ

私が話して、記者の方がそれを聞いて記事を作成するというオーソドックスなやり方であったのだが、以外と説明に時間がかかってしまった。記者の方が不勉強というわけではない。一般の消費者より保険のことはよく知っておられると思うのであるが、それでも、保険金受取人が変更できることを説明する必要があった。故殺という言葉も知らなければ、そういう状態になる可能性についても考えたことがない。遺言による保険金受取人の変更などもちろん知らない。このような状態の中で、第三者受取りを解禁することが本当に正しいのだろうかと感じてしまったのも事実である。そのような中で、第三者受取りのみが解禁されると、悪意を持った一部の人々に第三者受取りが悪用されるのではないかと懸念してしまう。

※図は本文と関係ありません

この問題の本質は、保険金受取人に関する問題をフォローする人がいないということであろう。保険金受け取りの問題だけではない。保全そのものに対して、保険契約者たちをフォローする人がいないというのが問題である。その保険が販売された銀行に聞きに行けば答えてくれるだろうか?その保険を勧めてくれた直販の募集人に聞けば答えてくれるだろうか?残念ながら、手数料が払われない、営業成績のプラスにならないのであれば、募集人は片手間でしか対応してくれない。詳しくは、本社のお客様対応部門に電話してほしいと連絡先を伝えるのが精いっぱいであろう。

保険会社には、ぜひ、保全業務にも相応の報酬が支払われるようなしくみを作っていただきたいと思う。保険代理店には、保全業務のフォローができないのであれば保険代理店をしないでほしいと伝えたい。保全業務を義務付けることで、取扱保険会社をズラッと並べて販売する方式から脱却できる。本来、保険代理店がまじめに取り扱える保険会社の数は5社程度が上限だろう。それ以上、取扱保険会社を用意する理由は、最良のものを選び出しているという姿勢を見せるためでしかない。1社専属制がよいとは思わないが、数十社を並べている保険代理店もよいとは思わない。

消費者は、業界の体質改善を待つことができないであろう。それならば、解決策は2つ。一つは、しっかりしたFPについてもらうことである。そして、もう一つは自分でFP相当の知識を身につけてしまうことである。私は後者をお勧めしたい。そのために必要なことは金融教育。かしこい社会の実現のためには、消費者がかしこくなることが一番である。消費者がかしこくなれば、企業はごまかしがきかなくなる。

この記事は週刊インシュアランスに掲載したものです

保険金の第三者受取り①

先日、取材で保険金の第三者受取りについて取材を受けた。正確にいうと、介護施設などで読まれている高齢者向けの新聞から取材を受けて、何を話してもよいといわれていたので、読者(高齢者や介護・葬儀関係)を勘案して保険金の第三者受取りについて話をさせてもらった。

※図は本文とは関係ありません

私が伝えたとこは、

『現在は、保険金受取人の故殺などの問題もあるので、原則、保険金受取人に第三者を指定することは認められていない。認めるか認めないかは保険会社の判断。しかし、法律の整備により、遺言で保険金の受取人を変更できるようになっている。もっとも、遺言では生きているうちに保険金の受取人の変更を確認できるわけではないので、保険契約中から、第三者を保険金受取人に変更できる取扱いが拡大されるのではないか。LGBTの場合を含め事実婚への対応という側面もあるので、第三者受取りの流れを止めることはできない。しかしながら、例えば、保険金受取人を葬儀会社にして葬儀保険を作るとなると、葬儀会社は収入が定額なのに対して、費用は調整できることになる。利益(=収入-費用)と考えるのであれば、利益を最大化したいというバイアスがかかる。これは消費者の利益になるのかという問題がある』

という内容であった。

この記事は、週刊インシュアランス生保版に掲載したものです