5月第1週の市況

2017/5/1    月

米国の2017年第1四半期のGDP成長率が年率0.7%と過去3年で最も緩やかなものとなった。SP500、ダウは下落したが、アルファベット、アマゾンにけん引されてNASDAQは史上最高値を更新。原油価格は50ドルを回復し、米国債は値を上げた

2017/5/2    火

米国では3月の消費者支出がそれほど伸びず、工場受注は上昇。マヌーチン財務相が30年超の超長期債券の発行に前向きな発言をしイールド低下。原油価格は1か月来の安値となる。トランプ大統領が商業銀行と投資銀行の再分離について言及。NASDAQは史上最高値を更新

2017/5/3    水

米国では原油の在庫が増加し原油価格が下落。アップルはiPhone販売の不振から2.3%値を下げた。市場では3日に公開されるFOMCのコメント待ち。日本円は6週間来の安値を付ける。欧州では、工場活動指数が6年ぶりの高水準となり、金融、産業株の上昇に支えられて市場は上昇

2017/5/4    木

FOMCはインフレは目標値の2%近傍にあるとして利上げを行わず、ドル高、イールド高の様相。イールド高により金融株が上昇。ADPレポート、ISM非製造業指数が上昇するなど好材料があるが、銅価格は2015年以来の大幅な下落。欧州市場ではアップルのサプライヤーを中心に値を下げ、BHPビリトン、アングロアメリカンなどの資源関連も下落

2017/5/5    金

原油価格が6か月来の安値を付け、米国市場ではエネルギー関連が軟調。欧州市場ではこれまで決算を公表した企業のうち8割が予想を超える収益を計上しており、HSBCも好決算のため2.9%値を上げた。石油関連のStatoil、ロイヤルダッチシェルも原油価格の値下がりがあったが決算が好調であったために株価上昇。市場全体でもDAXが史上最高値、CAC40は9年来の高値となった

 

ドルコスト平均法だけで大丈夫!?

ドルコスト平均法は非効率になる場合がある

ドルコスト平均法は、市場が変動を繰り返しているときに資産を積立てる手段として効果があります。しかし、保有している資産を定期的に取り崩すときにはドルコスト平均法を使うと非効率になります。

ドルコスト平均法は積立するときに有効

ドルコスト平均法とは、「毎月一定の金額を購入していけば、価格の安いときに多くの口(株)数を購入することができ、価格が高いときには少ししか購入することができず、全体で見れば平均購入単価を低く抑えることができる」という方法です。市場が値動きを上下に繰り返し、その変動するタイミングを事前に予測することができないのであればドルコスト平均法は機能します。これは分散投資の場合と同じ考え方です。市場を完全に予測できないのであれば、分散投資やドルコスト平均法は有効な方法なのです。

解約するときにはドルコスト平均法を使わないほうが賢明

ところで、ドルコスト平均法は使わないほうが好ましい局面があります。それは、保有している資産を定期的に取り崩している局面です。シニアライフなどで、保有しているファンドを毎月解約していくイメージです。例を挙げて考えてみましょう。

これは毎月3万円ずつ保有しているファンドを解約したときの金額を表したものです。定額方式ですからドルコスト平均法です。最終的には、累計解約金額を累計解約口数で除して効果を求めています。この場合は1.03。投資金額1円が1.03円になったことを表しています。
一方、毎月、3万口ずつ解約したケースを見てみましょう。

このケースでは、6月までの3か月間で1.10になっています。投資金額1円が1.1円になって戻ってくるわけですから、ドルコスト平均法を採用したより効率がよいことがわかります。
これは、ドルコスト平均法では、基準価額が低いときでも同じ金額を解約するため、多くの口数を解約しなければならないからです。積立を行うときにはとても役に立つドルコスト平均法ですが、定期的に資産を取り崩す場面では、ドルコスト平均法を使わないほうが賢明なのです。

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