10月第2週の市況

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2018/10/8    月

米国では労働統計が公表され失業率は3.7%と49年来の低水準にまで低下。市場では12月の利上げを含めより金利引き上げがより鮮明になったとして10年ものイールドは3.248%にまで上昇。いわゆるFAANG株も下落、Amazonも1.6%ほど値を下げ、インテルやマイクロソフトも値を下げた。TeslaはCEOがSECをTwitterで批判して7%値下がり。欧州市場でも米国の金利上昇の影響が色濃く、ドイツのDAXは1.1%、イギリスのFTSEは1.6%値を下げた。個別銘柄ではデンマークのDanske Bankがエストニア支店で米当局からマネーロンダリングの査察を受け、同株は6.2%値下がり

2018/10/9    火

中国が銀行の預金準備率を引き下げたことから、中国株式と中国元はともに軟化。米国市場でも中国に対する不安感からマイクロソフトやアドビなどテクノロジー株を中心に値を下げる。一方で、ディフェンシブな公益株、消費財、不動産などが値を上げたことから、NASDAQは値を下げ、SP500はほぼ横ばいとなった。欧州市場では、中国に対する懸念に加えて、イタリアの財政に対する不安感から、イタリア株が下落し、特に、イタリアの銀行株は3.7%も値を下げた

2018/10/10    水

IMFが米中の関税を理由として2018年と2019年の経済成長を下方修正した。素材関連は大きく値を下げ、化学会社のPPG industriesはコスト増と中国での需要減のため利益が減少すると公表し10%値を下げた。アメリカンエアラインは、燃料コスト増を理由に収益が圧迫されるたと公表し6.5%値を下げた。ただし、債券イールドが低下したためSP500 はわずかな下落で済んだ。欧州ではウェイトの大きいエネルギー関連株が堅調で、イタリアの不安が緩和されたこともあり市場は値上がり

2018/10/11    木

米国では、Fedが1年以内に複数回利上げをするとみられていることや米中の関税問題への懸念から市場は大きく値下がり。SP500とダウは3%以上、テクノロジー株中心のNASDAQは4%以上値を下げた。ハリケーンがフロリダに近づいているが、原油の需要が減ると考えられ、また、在庫が積み上がっていることから原油価格が下落し、エネルギー関連株も軟化。欧州でも米国の余波からDAXは2%以上値を下げ、中国の消費に対する懸念から、LVMHやバーバリーといった高級品メーカーの株価が大きく下落

2018/10/12    金

欧米市場では前日に引き続き、米国の金利引き上げと米中の貿易戦争に対する懸念から値下がり。米国ではNASDAQの値下がりがSP500、ダウより抑えられたのは、既にかなり下落していたため。ボラティリティ指数も2018年2月来の高水準に上昇。ハリケーンの関係で金融関係の中でも保険株が下落。原油価格の下落からエネルギー関連は最大の値下がり。欧州市場でも全セクターで値下がりとなったが、IngenicoとNatixisの合併の話などM&A関連の話題が市場のプラス材料

 

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有名なFP・経済評論家の主張は半分だけ聞く

注意すべきポイントは2つ

有名なFP・経済評論家の主張を参考にするとき、注意が2つ必要です。一つは、書いた記事を参考にするのであれば、内容が時期的に陳腐化している可能性があること。もう一つは、スポンサーの存在により話が歪められている可能性があることです。

記事の内容が陳腐化していないか

雑誌は、記事を書いて、原稿をチェックして、印刷して出来上がります。有名なFP(ファイナンシャル・プランナー)や経済評論家であってもこれは同じです。記事を書いてからその記事が一般の人の目に留まるまで、だいたい1ヵ月から1ヵ月半くらいのタイムラグ(時間のずれ)があります。このタイムラグが、結構、曲者(くせもの)です。

もちろん、FPや経済評論家は書いている時点の最新の情報に基づいて記事を執筆しているのですが、経済や市場の環境は数日で大きく変わるときがあります。前提が変わると結論も変わるということはよくあることですが、雑誌は修正が効きません。その結果、電車などの吊革広告で強調されていることと、実際の市場がずれていると感じるときもあります。どの時点の情報に基づいて書かれた記事なのかをチェックするようにしましょう。書かれた記事を鵜呑みにしないことが必要なのです。

スポンサーの存在によってバイアスがかかっていないか

スポンサーの存在にも注意しておきましょう。無料の講演会というと、間違いなくスポンサーが存在しています。そのスポンサーの意向によって話の内容が変わるときがあります。有名なFP・経済評論家であっても同じです。さすがに、スポンサーを極端に持ち上げるようなことはしないでしょうが、スポンサー企業の弱点には触れないようにしているかもしれません。

例えば、保険会社がスポンサーについている講演では、保険の活用について説明することが多くなるでしょう。これは、悪いことではありませんが、ケースによっては、投資信託や預貯金のほうが問題解決に適しているときもあります。知識を仕入れるということで、有名なFP・経済評論家の話を聞くことはよいことだと思いますが、だれに向かってどのような目的で話しているのかを同時にチェックするようにしておきましょう。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。