モデルポートフォリオ

運用会社の統一した投資行動に不可欠な組み合わせ

モデルポートフォリオとは、運用会社が全世界の統一した基準となる ポートフォリオのことです。モデルポートフォリオの細部のカスタ マイズは現地のマネージャーが担当します。運用会社としての評価 を安定させるためにも、モデルポートフォリオは必要です。

モデルポートフォリオが存在する理由

モデルポートフォリオという言葉が目論見書などに出てくる場合があ ります。モデルポートフォリオとは、名前のとおり、モデルとなるポート フォリオという意味です。 グローバルな規模で資産運用ビジネスを展開している運用会社は、世界各 地で運用をバラバラに行っているわけではありません。運用をバラバラに 行うと、運用会社としての運用スタンスに統一性がなくなりますし、人員 も重複配置となりコストがかさみます。

そこで、運用の拠点は数ヵ所に絞 り込まれていることが一般的です。 そして、個別のファンドはモデルポートフォリオを複製して作成するの です。

チューンナップは現地のマネージャーが行う

モデルポートフォリオは、現地のマネージャーが現地の実情を考慮して 修正する場合があります。例えば、日本の投資家が投資する海外債券の ファンドは、円建ての債券を除くことが少なくありません。しかし、そう いった場合でもモデルポートフォリオは、円建て債券を含むすべての債券 を対象にして構築されます。モデルポートフォリオから、円建ての債券を除外するという作業が残りますが、これは現地のファンドマネージャーの 仕事になります。

運用会社の評価も関係する

運用会社の資産運用能力を測るとき、この会社が運用しているファンド AとファンドBの運用成績を個別に測定することはありません。むしろ、 この運用会社の運用している日本株式ファンドを全体で評価するというこ とが一般的です。したがって、個別のファンドがバラバラの動きをしてい るようでは運用会社としての評価が下がります。そういった意味からも、 モデルポートフォリオは大切といえるでしょう。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。

パッシブ運用の盲点

手数料の低さだけでファンドを選ぶのは早計

「アクティブ運用のファンドはコストが高くて、パッシブ運用のファンドに負けてしまう」といわれることが少なくありません。
しかし、本当は、運用成績が優れているアクティブ運用のファンドを見つけるのが難しいだけなのです。

アクティブ運用とパッシブ運用

ファンドに設定されたベンチマーク(ファンドの運用の基準となる指標)よりよい運用成績を求める運用スタイルがアクティブ運用。ベンチマークと同じような運用成績を残すことを目指す運用スタイルがパッシブ運用です。
日本の株式に投資するファンドであれば、代表的なベンチマークは、TOPIX(東証株価指数)が挙げられます。

アクティブ運用のファンドは見つけるのが大変

ここで、具体的なファンドを見てみましょう。パッシブ運用の代表は、三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXISTOPIXインデックス」です。アクティブ運用の代表は、フィデリティ投信が運用する「フィデリティ・日本成長株・ファンド」です。

ともにたくさんの金融機関で取り扱われているファンドです。この2つのファンドに、20010年1月から2018年6月まで、毎月、月初に3万円ずつ投資した結果を比較したものが、こちらになります。

申込手数料は、アクティブ運用のファンドである「フィデリティ・日本成長株・ファンド」が高くなっています。また、この表には掲載されていませんが、信託報酬も「フィデリティ・日本成長株・ファンド」が高くなります。
それでも、累積騰落率に示すように、ファンドの運用に大きな差異はありません。

アクティブ運用がパッシブ運用に負けるというのが正しいのではなく、パッシブ運用に勝るようなアクティブ運用を探してくるのが一苦労というのが本当の話です。ちなみに、ここでは、「フィデリティ・日本成長株・ファンド」の申込手数料を3.24%として計算していますが、販売会社によっては、ノーロード(0%)にしている会社もあります。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。