2月第2週の市況

2021/2/8    月

米国では、雇用統計が公表され建築や製造の分野では就労者数が減少し、予想を下回る結果となったが、SP500、ダウは5日連続で株価上昇。J&Jは米当局から1回接種のワクチンの緊急承認を得られたと公表し同株は1.5%株価上昇。アプリを使ったアマチュア投資家の投資対象になっているGameStopは16.2%上昇。同じように対象になっているClover Health InvestmentはSEC当局の調査に協力することを表明し5.7%株価上昇。欧州市場では全体としてみれば横ばい。ドイツでは12月の生産受注が下落。英国ではポンド高になりFTSEは下落。フランスではサノフィが好調な四半期決算を公表し1.5%株価上昇。欧州最大の建築会社であるVinciも通年の収益予想を上回る見通しとなり株価上昇。フランスの株価指数CAC40は0.6%上昇

2021/2/9    火

米国市場ではワクチンの接種拡大と景気対策への期待感から、SP500とダウは5日連続の上昇となった。景気に感応度の高い小型株が大型株より上昇。供給削減のため原油価格が高騰し、エネルギー関連も上昇。イエレン財務長官は景気対策により来年には完全雇用となると見通しを示す。公益関連のみ下落。ウォルト・ディズニー、シスコ、GMといった今週に決算を控える銘柄も1.8%ないし4.9%の上昇。Teslaはビットコインに19億ドルを投資することを公表し、同株は1.3%上昇。欧州市場でも景気循環株が主導になり値を上げた。また、Dialog Semiconductorを日本のルネサステクノロジーが49億ユーロで買収し、Dialogは16%の株価上昇。VeoliaはSuezに113億ユーロでの買収を提案

2021/2/10    水

米国市場ではSP500は下落となったが、NASDAQは上昇。投資家は大型IT関連から他の銘柄に注目が移っているが、FANG+TM指数は上昇。Ciscoは市場終了後に決算報告を公表する予定であったが株価下落。メイクアップ商品の需要が低下したため美容関連株のコティの株価下落。欧州市場では公益やガス・石油が下落し、ヘルスケアや高級品ブランドが値を上げた。フランスの石油会社Totalは収益は予想を上回ったが、資産の洗い替えで損失が出て株価は1.8%下落。ドイツでは米国や中国向けの輸出が堅調であった

2021/2/11    木

米国ではFedのパウエル議長が”社会全体でのコミットメント”としての雇用の回復を支持するとコメントしたが市場はほとんど反応しなかった。金融株が値を下げ、Teslaが5.3%値を下げたほか、マイクロソフト、アップルといったIT関連の大手銘柄も値を下げる。エネルギーが値上がりしたほか、景気循環株・バリュー株が堅調であった。個別銘柄では運送関連のLyftが4.7%の値上がり。欧州市場では、午前中は値上がりしたが、米国市場の影響を受けてIT関連が値を下げ、市場も全体の値下がり。フランスのソシエテ・ジェネラルは第4四半期の利益が予想を超え株価が2.9%上昇。ただし、フランス全体でみると12月の工業生産が予想以下となり株価指数のCAC40は値を下げた

2021/2/12    金

米国市場では、Amazonやアップルが値を下げ、さらに、OPECとIEAがコロナ関連で需要が減少すると予想した原油価格が下落し、エネルギー関連株も軟化。失業者統計は予想以上に弱かった。ただし、Nvidiaやインテルは株価上昇。ウェブサイトのReddit関連で個人投資家が買っていた大麻関連のTilrayとAphriaは、それぞれ、42%、20%と大きく下落。マイクロソフトが買収に乗り出したPinterestは6.1%の株価上昇。欧州市場では、米国の同業他社の影響を受けてテクノロジー関連が2%以上の値上がり。銀行株は値を下げたが市場全体としては値上がり。銀行でも、ドイツのコメルツバンクは6%値を下げたが、フランスのクレディ・アグリコルは5%上昇。ショッピングセンターを中心に投資する欧州最大のREITであるウニベイル・ロダムコ・ウェストフィールドは米国への投資をほぼゼロにして株価は13%の下落

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家計調査からみるシニア世代とお金の関係~その2

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ところで、この10年間で、勤め先の収入は11%増加したが消費支出は2%しか増加していない。家計は、相応に“節約”をしていることがうかがえる。一方で、非消費支出に関しては所得税や住民税などの直接税が11%増加し、厚生年金保険や健康保険の保険料などの社会保険料に至っては30%も増加している。節約をしているにもかかわらず、暮らし向きがよくなったと感じる人が少ないのは、直接税や社会保険料などの非消費支出の増加があるからである。

さて、家計調査には保険料も集計されている。同じ10年間でみると、1世帯当たりの保険料は、2009年に2.8万円であったものが、2019年には2.4万円に下がっていることがわかる。率にすれば13%の下落である。世代別で下落率を計算してみると、保険料の低下が著しいのはシニア世代であることがわかる。特に下落率が大きいのは60歳代後半である。おそらく、かつて加入していた65歳払済の保険契約の保険料払込期間が満了した後、かつてほど保険に加入しなくなったためであろう。保険料の支払金額が減ったのは、1件当たりの金額が低下したこともあるであろうが、シニア世代がかつてほど保険に依存しなくなったことも要因であると推定できる。

直接税は、全体としてみれば、この10年間で11%増加しているものの65歳以上のシニア世代に限ってみれば12%減少している30代後半では30%も増加しているので、税負担の不平等感は拡大しているとみたほうがよい社会保険料は全体として30%増加しているが、65歳以上のシニア世代でも23%増加している。社会保険料は、全体的に負担感が増えているのである。

家計調査を分析すると、いまどきのシニア世代とお金の関係が推測できる。シニア世代は、ICTを不自由なく使うようになってきている。それゆえ、情報通信費用の世代間格差は縮小している。どの世代でも消費支出に占める割合が大きくなってきていることが、政治を介した保険料値下げの圧力につながっているのであろう。保険については、保険料の払い込みが完了すると、それ以降は、以前ほど保険に加入しなくなったこともうかがえる。保険料の負担は、若い世代で減ったのではなく、シニア世代で大きく減少している。“保険の見直し”が行われているのは、若い世代ではなく、シニア世代なのである。

直接税や社会保険料といった非消費支出は大きなウェイトを占めている。シニア世代の家計の分析をするのであれば、家計簿から出発するのではなく、額面収入から非消費支出を最初に差し引いて、その残額で家計をやりくりするというイメージを持ったほうがよいであろう。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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