介護保険に必要な給付②

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一方、30代・40代は子育て世代でもある。親の介護に拠出できる資金は限られている。前もって準備しておくことができなければ、保険で準備しようというのがリスク管理の基本であるが、子の世代は保険料を拠出することも大変かもしれない。片方の親だけ介護保険に加入させるということになると不公平感もある。やはり、介護保険は介護を受ける側が負担すべきだと思うが、一部の受取人を子の世代にすることはできないだろうか?

つまりこういうことである。要介護状態になったときは介護保険金や年金を親の世代自身が受け取る。現金で受け取る保険であれば、そのお金を周りの人の交通費に充てることも可能だろう。一方、要介護状態に陥らずに亡くなった場合には、一定の金額を死亡保険金として受け取れるようにしておくのである。要介護状態になったときの保険金は被保険者が受取り、死亡保険金は相続人が受け取るように設計されているのであれば、税制上の問題もないであろう。結果的に介護保険のお世話にならなければ、一定の金額が相続財産に加えられることになる。

保険をキーに考えると、保険料が高くなるという苦情になりそうであるが、相続をキーにして考えるとそうでもないように思う。だれでも、できるだけ次の世代に多くの資産を遺しておきたいものである。その反面、要介護状態になったときにはたくさんのコストがかかると認識している。前述の平成24年度生命保険に関する全国実態調査によれば、要介護状態になったときに必要と考える初期費用の金額は平均で262万円になっている。自分たちが要介護状態になったら民間の介護保険で一定のお金を確保して、そうならずに済んだときは一定のお金を遺しておく。こうしておけば、介護保険に加入して、それとは別に、死亡保険に加入するよりはコストを抑えられる

最近では、保険料が絶対的に安いことだけが強調される傾向があるが、金額や給付を受ける確率がどの程度なのかといった保障内容と保険料を比較することが強調されるようになるべきであろう。そして、もう一つ大切なことは、同じ給付金額であっても、消費者によってその価値は変わるということである。消費者の多様性を前提にするのであれば、特徴のある介護保険がたくさん登場するとよいと思う。

※この記事は、2012年、週刊インシュアランスに記載したものです

外貨建て保険の考え方②

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4.国際金融・経済の知識が必要

内外の金利差が為替を動かすこと。インフレが為替を動かすこと。景気がインフレに影響を及ぼすことなどをわかりやすく説明することができると、為替の話につながる。その上で、保険契約者自身が為替について判断できるように意思決定のための環境を整備することが必要である。

5.日本国債の知識も必要

日本の国債はその信用度(格付け)と利回り(イールド)が一致していない。最上位からかなり格付けが落ちるにもかかわらず日本の国債の利回りはとても低い。これは、GPIFや保険会社などの国内の機関投資家が日本国債を買い支えているからである。ただし、このような状態はいつまでも続かない。外国の投資家が日本の国債を購入するようになると、それなりの利回りを求める。つまり、日本国債の価格は下がる。その結果、為替は円安になることが予想され、外貨建て資産の価値が上昇する。

6.ポートフォリオの考え方も重要

外貨建てと邦貨建てをどの程度の割合で保有するのか。預貯金や投資信託と保険の割合はどうなっているのか。不動産などの占める割合などを勘案して、全体で評価できるポートフォリオの考え方が必要になってくる。ポートフォリオの考え方がわかれば、全体の中でのリスク(エクスポージャー)を考えることができる。

7.外貨建て保険はインフレ対策

終身保険など期間が長期にわたる保険ほどインフレ対策が必要である。日本ではここ数十年インフレについて話題になることが少なかったが、今後、インフレになることが想定される。そうなったときの対策の一つが外貨建て保険である。特に、円安によってインフレが引き起こされたときには、外貨で資産を持っているとインフレをヘッジすることができる。有配当保険などと同じように、外貨建て保険にはインフレヘッジ機能がある。

8.保障の話がメインになるべき、けれども、資産運用の話ができないとメリットを伝えられない

外貨建て保険は、保険であり、保険契約者にとっての魅力はその保障内容である。円建て保険に比べて、保障内容が同じであれば、割安な保険料が魅力になる。そして、その割安な保険料を説明するために資産運用の知識が必要である。