リバランスの実践

リバランスとは投資効率を向上させる逆張り戦略

ポートフォリオの投資比率を当初決めておいた比率に戻ることをリ バランスといいます。リバランスは逆張り戦略です。そして、よく知 られたドルコスト平均法も逆張り戦略です。逆張り戦略を上手に使 うと、買付単価を引き下げ、投資効率を向上させることができます。

ポートフォリオのリバランスは逆張り戦略

ポートフォリオのリスク水準等の確認が終了したら、ポートフォリオを リバランスしましょう。リバランスとは、バランスを元に戻すことです。

実際のポートフォリオの資産クラスへの投資比率を、あらかじめ決めてお いた比率に戻す作業です。実に簡単な作業ですが、リバランスには「逆張 り戦略」という意味も含められています。図で示すように、株式と債券の 割合を等分にする配分を考えてみましょう。株式の割合が低下するとき は、株価が下がっているときです。安くなった株式を買い増すということ ですから、人気の低いものに投資する逆張り戦略というわけです。

ドルコスト平均法も逆張り戦略

株式と債券の値動きが図のように一方が下がり、一方が上がるという図 の例のような状態が繰り返されるとしたら、逆張り戦略は有効です。 安いところで追加投資を繰り返すわけですから、トータルで考えると、安 い価格で資産を購入できているという仕組みです。

実は、逆張り戦略になっているという点で、リバランスはドルコスト平均 法と同じ効果があります。ドルコスト平均法も、リスクのある資産の値動 きにかかわらず、同じ金額を投資することによって、平均買付単価を引き 下げるという効果を持っています。したがって、保有しているリスク資産 にはリバランスを適用し、購入する資金についてはドルコスト平均法を適 用すれば、逆張り戦略を強化することができます。

バランス型ファンドも逆張り戦略

自分でリバランスすることが面倒であると感じるのであれば、バラン ス型ファンドに投資するとよいでしょう。バランス型ファンドであれば、 ファンドマネージャーが投資家に代わってリバランスを行ってくれます。 ファンド全体でリバランスを行うことになりますから、規模も大きくコス ト面から考えても合理的といえます。バランス型ファンドをドルコスト平 均法で買い続けることは、逆張り戦略を追求していることにもなってい ます。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。

ポートフォリオの点検

変動の許容範囲をもとにリバランス

ポートフォリオの管理に必要なことは許容範囲の設定です。最初に 変動の許容範囲を決めてしまいましょう。ポートフォリオの点検で、 許容範囲を超えた変動が発生しているときは、分散投資とリスク水準 を確認しましょう。

ポートフォリオの管理の手順

ポートフォリオの管理には、ぜひ、変動の許容範囲を設定しておきましょう。変動の許容範囲とは、 こちらで紹介した損切り水準のこと です。何もこの水準を超えたからすぐにポートフォリオを売却してしま うのではありません。「この水準を超えて変動を起こしたときには次のス テップのことを考えましょう」という水準だと思ってください。

最初にポートフォリオの分散投資の効果をチェックしてみましょう。株 式に極端に偏っているなど資産クラスとしての確認が一つ、そして、レア ルやユーロなど特定の為替のリスクをとりすぎていないかという確認で す。リスク資産の資産配分が極端になっているときは修正しましょう。次 に、リスクコントロールです。リスクコントロールは、無リスク資産を調 整して行います。思っている以上にリスクをとっていると感じたら、無リ スク資産の割合を引き上げるようにアドバイスするとよいでしょう。

リスクの説明と調整

「よく分散されたリスク資産のポートフォリオであれば、リスクは10% 程度である」と考えてよいでしょう。そして、無リスク資産のリスクはゼ ロなので、ポートフォリオ全体のリスクは、リスク資産の割合にのみ比例 することになります。リスク資産部分の比率× 10% がポートフォリオ全 体のリスクとなるのです。

ポートフォリオのリスクが5 %、期待リターンが2 % であれば、95% の確率で実際のリターンが、12%(= 2 % + 5 % ×2)と-8 %(= 2 % -5 % × 2)の間に入ると解釈できます。「運が悪いときは8 % く らいマイナスになることを覚悟しましょう」と説明できます。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。