3月第5週の市況

先週の市況はコチラ

2018/3/26    月

米国市場では、貿易戦争の懸念からダウが2日連続で1000ポイント以上値下がり。VIX指数も昨日に引き続き上昇。金融株は3%以上の下落となり、FB、アルファベット、アマゾン、マイクロソフトなどIT大手銘柄が軒並み下げてNASDAQも2.4%の値下がり。欧州市場でも、貿易戦争の懸念から、資源関連株を中心に株価は下落。公益株と通信株はディフェンシブな株式ということで値を上げた。輸出中心のDAXが1.8%と値下がりが大きい

2018/3/27    火

米中が貿易に関して交渉を始めたことから米国株式は上昇。テクノロジー株と金融株が堅調。マイクロソフトはブローカーからの評価引き上げがあり7.6%値を上げ、インテルも6.3%値を上げた。問題の渦中のFBは、当局が検査に入り、わずかな値上がりに留まる。欧州ではユーロ高とロシア問題の懸念から株価下落。ただし、ロシア関連銘柄はまちまち

2018/3/28    水

米国市場ではバフェット氏がGE株を購入するとのうわさからGE株が値を上げたが、FBは依然として大きく値下がりし、アルファベットも訴訟関連で大きく値下がり。市場全体としても値を下げた。国際市場は安全資産への人気から値を上げる。欧州市場では、米中の貿易戦争の懸念が緩和されたことから値を上げた。AMS、STMicroなどのIT企業が2~3%値を上げて堅調

2018/3/29    木

米国の四半期GDP成長が、個人消費が力強く、2.5%から2.9%に上方修正された。米国市場では消費財とヘルスケアが上昇。アマゾンは、トランプ大統領が反トラスト法を適用するとコメントし6.7%の下落。Teslaは損失が拡大するとして7.7%の大幅な下落になった。米国内の在庫が上昇したために原油価格は下落

2018/3/30    金

米国市場では、ホワイトハウスがアマゾンに対して何らアクションは予定していないとコメントし同株は回復。また、昨日下落したTeslaもリバウンド。市場では収入の伸びほど支出が伸びていないとしてイールドが低下。欧州市場ではM&Aの動きが市場を引き上げた。日産との合併がうわさされるルノーは5.7%値を上げた

4P&3CとP-LIESH

よい保険、悪い保険”という企画にあまり乗らないようにしている。こちらはよい保険で、こちらは悪いというのはどこで区別するのだろう。模範的な解答をいえば、「保険契約者や被保険者のニーズに合った保険がよい保険で、合っていない保険が悪い保険」ということになるのだろう。しかし、書店で本が並んでいるとき、私たちは別のことを考えている。がん保険に加入したいけど、どこの保険会社の保険がよいのだろう。自分で比較することはできないので、だれかが比較しているものを見て参考にしよう。そして、比べる術がわからないので、保険料が安いということを尺度にして考えてみよう。結局、「保険料が安いのはどの保険なの?」というのが、よい保険、悪い保険の結論であったりする

一方、保険会社の立場からすると、自分たちの保険商品は消費者のニーズに適っていると主張したいであろう。保険商品(Product)を作るとき、Promotion(プロモーション)、Price(価格)、Place(販売チャネル)を考えていない保険会社は存在しない。そして、Competitor(競合相手)の商品や営業戦略を分析し、Client(消費者)のニーズや動向を分析し、Company(自社)のリソースを勘案して保険商品は作られている。そういう考えに立って保険会社のパンフレットを見れば、どういったお客様に、どういった価格帯のものを販売したいのかという保険会社の意図が見えてくる。

しかし、保険会社の方もこういえば納得されるのではないだろうか。「すべての消費者のニーズを満たす商品はない」。消費者サイドと保険会社サイドのボタンの掛け違えがあるとすれば、この部分であると筆者は感じている。保険商品が全く役に立たないとは思っていない。しかし、商品が想定している属性の消費者以外の消費者に、そのまま適していない商品を販売することになるとトラブルの元凶になるのではないだろうか。

筆者は、先日、専門家とある属性の消費者がシニアライフについて直接討論するイベントに参加してきた。イベントが終了して、新幹線で東京に戻るときに、消費者がシニアライフを考えるための属性とは何かを改めて考えてみた。そこで思い浮かんだのが、P-LIESHという概念である。PはPeopleを表している。Peopleの周りに、Life(生活)、Income(収入)Expense(支出)Society(社会)Health(健康)の5つの要素がある。シニア世代になって考えておきたいことを、消費者側から考えるとP-LIESHということになる。保険商品であっても、このスキームの上で分析して論じされるのが、本当の意味での、よい保険・悪い保険である。

もちろん、保険会社が保険商品を開発するために考えている4Pと3Cというのも大切な視点である。企業としての商品戦略がそこに凝縮されることになるので、これを分析することも意義がある。そして、それらを比較することも意義がある。しかしそれだけでは不十分である。消費者サイドからの分析が必要であり、それは、よい保険と悪い保険を保険料の安さで判定することではない。FPであれば、IncomeとExpenseを考えてくれるかもしれない。さらに、よくできたFPであれば、Lifeの一部までを考えてくれるかもしれない。でもそこまで行ってもP-LIESHの半分をカバーしているに過ぎないのである。そして、シニア世代が本当に気にしているのは、SocietyとHealthである。現役世代は、将来いかなるものにも換金できるお金が大切一番大切ということになるのだろうが、シニア世代ではより具体的に、地域の中で生きがいを持って過ごすこと、そして、そのためにも健康を維持することという具体的な目標があるのである。

商品を供給する立場から考えると「4P&3C」、需要する立場から考えると「P-LIESH」。よい保険と悪い保険は双方の視点から考える必要がある。