保険の見直しの見直し(2)

手数料に対する考え方

消費税を考えてください。100円のものを購入するとき、内税で100円と外税で100円。みなさまならどちらを選択されますか?

もちろん内税ですよね。支払う金額はできるだけ少ないほうがよい。だから、保険の手数料も内税方式になっています。内税方式だからどれだけの手数料が保険募集人や銀行に支払われているのかわかりません。それで、この手数料を開示させようという動きがあります。(こちらを参照)

「伝統的手法」を採る立場の人は手数料の開示に反対です。『あなた、そんなに手数料取っていたの』と指摘されて返す言葉がないからです。一方、「新たな手法」を採る人たちは、『手数料を開示していただいて結構』という立場です。なぜなら、手数料相応の付加価値を提供できているという自信があるからです。

もっとも、自分たちに付加価値があると思いこんでいる保険募集人の集団もありますから、そちらにも少し注意は必要です。

保険の見直しの見直し(1)

保険業界に現存する2つの手法

現在、保険業界には2つの手法が現存しているように思えます。一つは、「伝統的手法」。アンシャン・レジーム(旧制度)といった方がよいのかもしれません。そして、もう一つは「新たな手法」。もう数十年間、伝統的手法から新たな手法に切り替えようという試みがなされてきたと思います。

日本の大手保険会社は伝統的手法が曲がり角に来ていることはずっと以前から承知しています。それでも、営業職員が1万人いて、一人1件、年換算保険料10万円の新商品を販売すれば10億円の保険料収入になります。保険会社の利益率は簡単に言い表せませんが、単純に売上高利益率が10%だとすれば、1億円の利益になる。だから、営業職員チャネルをいきなり破棄するわけにはいかないのです。

銀行にしても状況は同じです。マイナス金利の状況で貸し出しに回して上乗せできる利益と保険を販売して得られる手数料を比べれば、自ずと回答が出てきます。1,000万円を貸し出しに回したとしましょう。利回りのスプレッドが1%とすれば10万円。しかも、この数字は貸し倒れになるというリスクを含んだ数字です。保険はといえば、1,000万円の保険料の保険を販売したとして、手数料が5%だと50万円。銀行にとって保険は打ち出の小槌かもしれません。

図表1 保険業界に現存する二つの手法

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お付き合いさせていただいている保険業界の方と話していて、「伝統的手法」と「新たな手法」を採っている方を分離するには4つのポイントを見ればよいのではと思っています。ちなみに、保険会社の直販チャネルだから「伝統的手法」、銀行だから「伝統的手法」、保険代理店は「新たな手法」というように、販売チャネルそのものを色付けしようとは思いません。

むしろ、この2つの手法の差は、個人ベースのものであると、最近感じています。