投資家への対応ができるのは販売会社のみ

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投資家への対応ができるのは販売会社のみ

投資信託の販売で投資家への対応ができるのは販売会社のみです。したがって、販売会社の担当者は、説明責任を一手に引き受けていることを自覚したほうがよいでしょう。ファンドについて説明を受けたことを自分で理解して、自分の言葉で説明できるようになりましょう。

運用会社は誰が投資家かわからない

投資信託(ファンド)という金融商品は、オーダーメイドの金融商品ではなく既製品といえます。あらかじめ、ファンドのしくみや運用方針は決められています。だから、ファンドと投資家の相性を合わせようとすると、投資家側がファンドの特徴を理解しておく必要があります。

「運用会社は投資家のことを考えていないのではないか?」という指摘があるかもしれませんが、実は、運用会社は誰が投資家であるのかを知らないというのが本当のところです。

だから、運用会社は、あらかじめ運用するファンドの特徴を公表するのです。ファンドの特徴に合致する投資家のみなさまに投資してほしいという意味です。あらかじめ投資家に見せることを前提に、ファンドの特徴を記載した書面が目論見書なのです。

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アセットアロケーション(資産配分)で運用成果の90%は決まらない

ポートフォリオのリスクの90%はアセットアロケーションで決まる

「アセットアロケーション(資産配分)で運用成果の90%が決まる」という説明を耳にすることがありますが、この表現は適切ではありません。
アクティブ運用を行う場合、運用会社は、ポートフォリオとベンチマーク(基本配分比率)がそれほどかい離しないように運用しているのです。

リスクの90%以上を説明している

「アセットアロケーション(資産配分)で運用成果の90%が決まる」と説明するとミスリードになる可能性があります。 “アセットアロケーション(資産配分)で運用成果の90%は決まらない” の続きを読む

スイッチング手数料

販売会社により手数料が異なる

同じファミリーファンドに属しているファンド同士で、一方を解約して、もう一方を購入することをスイッチングといいます。
スイッチングの申込手数料(購入時手数料)は、通常の購入より低く設定されることがありますが、これは販売会社により取扱いが決められています。同じように、ファンドの申込手数料も販売会社により取扱いが異なることがあります。

スイッチング手数料

スイッチングとは、ファンドAを解約して、ファンドBに乗り換えることをいいます。ファンドAとファンドBは同じファミリーファンドであることが一般的です。かつては、スイッチングの手数料は無手数料として目論見書で決めていたこともありましたが、現在では、手数料を徴収するのかどうか、また、徴収するのであればどの程度にするのか、販売会社に一任されていることが通例です。

例えば、ゆうちょ銀行で取り扱っている「野村世界6資産分散投信」には、安定コース・分配コース・成長コースの3つのコースがありますが、これらのコースの間ではスイッチングが可能です。この場合、申込手数料は無手数料となっています。店頭で新たに申し込んだ場合の手数料が1.62%(税込)となっていますから、スイッチングのほうが手数料がかからないので有利です。

申込手数料

ところで、申込手数料も販売会社が決める仕組みになっています。委託会社が作成する目論見書には、申込手数料の上限が決めてあることがよくあります。販売会社は、その上限以下で申込手数料を決める仕組みです。
したがって、申込手数料の決め方には、販売会社の営業戦略が反映されます。信託銀行などでは、富裕者層に優遇メリットを感じてもらうために、1億円以上の申込みについては無手数料、1億円未満は上限いっぱいの申込手数料を設定することがあります。一方、地方銀行などでは、もう少し区分を細分化して数千万円程度から少しずつ手数料を下げていくというケースをよく見かけます。
同じファンドを取り扱っていても、金融機関同士で申込手数料等の取扱いが異なる場合があるので注意しておきましょう。

ファミリーファンド方式とスイッチング

 

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日本債券はとても魅力的な投資対象だった

効率的フロンティアに近い日本債券

どの資産クラスに投資すればよいのか思いめぐらすとき、私たちは、リスクとリターンという2つの尺度を使います。できれば、リスクは採りたくないけど、リターンは欲しい。その境目を表すのが「効率的フロンティア」という概念です。過去数十年を振り返れば、日本債券という資産クラスは、効率的フロンティアに最も近い資産クラスだったのです。

横軸をリスク、縦軸をリターンとして平面で資産を表現するとそれぞれの資産の魅力度が目でわかるようになります。左上の(リターンは高いけどリスクが低い)領域は、投資家はうれしいけど実現不可能な領域です。

実現可能な領域と実現不可能な領域の境目を表すのが効率的フロンティアと呼ばれる線です。効率的フロンティアは、リスク・リターンの異なるポートフォリオの集合です。あるリスクを指定したときに、実現可能で最も高いリターンを与えてくれるポートフォリオがつながった線です。

効率的フロンティアと日本債券の関係

実際のデータを用いて、計算した効率的フロンティアと計算の際に使用した各資産クラスのリスク・リターンの特性を比較すると図のようになります。

日本債券は効率的フロンティアにかなり近いところにあることが確認できます。リスクの低い部分の効率的フロンティア上のポートフォリオは、ほとんど日本国債で構成されている状態です。

過去数十年を振り返れば、日本債券(ほぼ国債と同義です)を保有していることはとても効率的な資産運用であったといえるのですね。もちろん同じ環境が将来にわたって続くという保証はありませんので、これから先も日本債券がもっとも魅力的な資産クラスであるわけではありません。

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リスクが小さくリターンの大きな運用はない

リスクとリターンは比例している

金融商品を考えるときの第一原則は、「リスクとリターンは比例している」ということです。そして、誰がどのリスクを引き受けているのかわからないのであれば、その商品には投資しないほうが賢明であるということです。

 

人気を博した一時払変額年金保険

ちょうどリーマン・ショックがやってくる数年前の2000年代前半に時間を戻してください。一時払変額年金保険が人気を集めていました。なぜ人気を集めていたかといえば、株式などに投資してその運用の成果が年金額に反映される仕組みであるのに、運用が失敗したときには保険会社がその損失を補てんしてくれるというオプションが付いていたからです。運用のリスクはどこに消えたかといえば、投資家から保険会社に移転されていたのです。

投資家がとらないリスクは保険会社が引き受けているわけで、変額年金保険を販売している保険会社は資産運用リスクの塊のような状態になっていました。それでも、人気があって販売できるものは販売したい。保険会社の経営判断は難しいものになっていました。

金融庁による規制の強化

この状態を問題視したのが金融庁でした。株価が下落したときに補てんする金額をしっかりと保険会社内部に積み立てておくように法令を改正したのです。また、保険金の支払い余力を図るための指標であるソルベンシー・マージン比率の計算にも、最低保証にかかるリスクを含めるように改正されました。

リスクとリターンは比例する

保険会社は、それまではなかばサービスとして提供してきた最低保証について、お金を徴収せざるを得なくなりました。最低保証を提供する代わりに、毎年、運用する資産の2~3%程度の費用を負担することを投資家に求めたのです。
実は、変額年金保険の資産運用はそれほど高いリスクをとっているわけではありませんでした。債券の割合が相当入ったバランス型のポートフォリオになっていたのです。つまり、期待リターンで考えると3~4%程度の水準であったのです。この水準の利回りから、最低保証にかかる前述のコストを差し引いて、さらに、保険会社の維持費用を差し引くと、投資家に残るリターンはほとんどゼロに近い水準になっていたはずです。つまり、最低保証を付けてもらって投資家はリスクのない状態になった。けれども、そのためには手数料が必要で、その手数料を支払うと、定期預金程度の利回りにしかならなかったというわけです。
この例から知ってほしい教訓は、引き受けるリスクがなくなると、受け取るリターンは小さくなる。リスクとリターンは比例しているということです。

リスクとリターンの関係