6月第1週の市況

2025/6/2    月

米国市場では、トランプ大統領が中国との関税問題が進展しないことにいら立ちを見せたが、株式市場はほぼ横ばいで推移した。NASDAQは2023年11月以来となる月間上昇率となった。4月の個人支出は0.2%増となり、Fedが注視しているコアPCE指数は対前年同月比2.5%の上昇となった。一方、関税問題の影響で輸入が大きく減少し貿易赤字は46%減少した。個別企業では年間の利益予想を上方修正したUlta Beautyが11.8%株価上昇。欧州市場は市場は幾分上昇した。公益とヘルスケアが上昇。また、ドイツのインフレがECBが目標とする2%程度になったことから、ドイツの株式指数DAXは0.3%上昇。英国の保険会社M&Gはその株式の15%を第一生命が保有したことにより株価は5.5%上昇。フランスの製薬会社Sanofiは開発中のItepekimabの試験結果が思わしくなく株価は4.8%下落

2025/6/3    火

米国ではトランプ大統領が鉄とアルミニウムの輸入に対して倍の関税をかけると発言したが、市場では関税問題の先行きを楽観しており、株式市場は値を上げた。Cleveland-Cliffs、Nucorなどの鉄鋼関連は株価上昇。一方でフォードやGMなどの自動車関連株は下落。Teslaはポルトガル、デンマーク、スウェーデンといった欧州諸国で販売が低迷し株価下落。また、ISM指数は3か月連続での下落となった。欧州市場でもトランプ大統領の発言が市場に影響を及ぼした。 ArcelorMittalやAperamといった鉄鋼関連は軽微な下落にとどまったが、Stellantisが5%値を下げたほか、Mercedes-BenzやBMWなどの自動車関連は値を下げた。欧州圏全体の製造業指数は安定的であったが、ドイツについては製造業指数は欧州で最も低くなった

2025/6/4    水

米国市場では、今週にも米中首脳会談が行われるとの予測の元、主要3指数はいずれも上昇。テクノロジー株中心のNASDAQが最も値上がり。NvidiaやBroadcomは史上最高値を更新。関税上昇前の駆け込み需要が去って4月の工場受注は大きく下落。OECDの経済成長予想は、関税をめぐる動きからサプライチェーンが混乱するとして成長予想は世界的に引き下げられた。国連のILOは世界的な雇用予想を下方修正した。欧州市場では英独仏の市場では株式は値を上げたが、スペインなどが値下がりとなり全体としては横ばい。オランダでは極右政党のPVVが連立政権を離脱することを表明し主要が退陣することになり、イールドは上昇。個別企業ではGSKがブローカーの評価引き下げにより2.1%株価が下落し、英国の公益企業Pennon Groupは年間の損失を計上し株価は6.6%下落

2025/6/5    木

米国市場では、テクノロジー株がけん引したが、トランプ大統領の関税政策で引き起こされた経済的な損失が影響して上昇は限定的であった。SP500とNASDAQは値を上げたが、ダウは値下がり。ISMサービス指数は2024年6月以来初めて50を下回った。また、民間部門の雇用統計であるADPは5月の雇用がここ2年以上で最低の雇用数であったことを示した。Hewlett Packard EnterpriseはAI関連のサービスが好調で、第2四半期の売上・利益がともに予想を超え、株価はわずかに上昇。半導体メーカーのGlobalFoundriesも160億ドルの投資を表明し株価は1.5%上昇。欧州では、ドイツ政府が460憶ユーロの大規模な法人税減税のプランを承認し、株式市場は値上がり。ドイツ以外の英仏などの市場も上昇。テクノロジーセクターが市場をけん引。個別銘柄ではオランダの酒造会社Campariが6.4%値を上げた。中国系の航空会社が数百機の注文をすると報じられたAirbus SEは2.2%株価上昇

2025/6/6    金

トランプ大統領と習首席で電話会談が行われ貿易問題について引き続き検討することが確認された。そのほか、新規失業保険申請者数は10月以降最高の水準になったほか、トランプ政権の関税政策により輸入が大きく落ち込み貿易収支の赤字は縮小した。株式市場では、方向性のない展開となり、ダウは値上がり、SP500とNASDAQは値を下げた。マスクCEOとトランプ大統領の確執からTesla株は値下がり。酒造メーカーのBrown-Formanは年間の予想を引き下げ、株価は18%近く下落。欧州市場ではECBが予想通り0.25%の金利引き下げを行ったが、ラガルド総裁が金利を予想通りに引き下げないタカ派的な発言をしたことに市場は反応。最終的に株式市場は幾分値を上げた。当初は値を落とした銀行セクターはラガルド総裁のコメントで値を上げ、逆に、金利感応度の高い不動産は当初値を上げ、その後値を下げた。ロンドンベースの格安航空Wizz Airは、年間利益が予想に届かず28%の株価下落

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5月第5週の市況

2025/5/26    月

米国では、トランプ大統領が欧州製品に50%の関税をかけることを提案し、株式市場では主要指数は軒並み下落した。米国以外で製造されるiPhoneに25%の関税が課される可能性に直面したAppleは3%株価下落。Amazon、Nvidia、Metaなども1%以上値を下げた。UGGブーツのDeckers Outdoorは四半期の利益が予想を下回り、関税問題の影響から年間の見通しの発表を取りやめたことから、株価は20%近く下落。10年物イールドは低下した。トランプ大統領の課税にかかる発言は欧州市場にも影響し、欧州の株式市場も急落。欧米市場でボラティリティ指数は急上昇。景気感応度の高い銀行株は1.8%、米国への依存度が高い高級品も2.7%値を下げた。また、地域的にはドイツの株式指数がより大きく落ち込み、1.5%の軟化となった

2025/5/27    火

米国市場は休場。欧州では、トランプ大統領が50%の関税計画を遅延させると公表したため、株式市場は先週末の下落を取り戻す展開となった。自動車・部品セクターはその恩恵を受け値を上げたが、ポルシェ株が3.3%値を下げたためその値上がりが限定的となった。RheinmetallやLeonardoといった防衛関連株も3%以上株価が上昇し、航空宇宙・防衛セクターは1.7%値を上げた。そのほか、産業製品・サービスセクターも1.5%の値上がり。LVMH、Kering、Richemontなどの高級品株もおおむね1%値を上げた

2025/5/28    水

米国では、カンファレンスボード指数が5か月連続の下落からリバウンドして上昇に転じ、また、トランプ大統領が欧州に対する関税50%の7月6日までの遅延を公表したことから、株式市場は大きく値を上げた。翌日に四半期決算を控えたNvidiaは3%の株価上昇。機内への荷物の持ち込みに課金することを公表したサウスウエスト航空は5.5%の株価上昇。WSJがInformaticaを買収間近と報じたSalesforceは1.5%の株高。欧州市場では、関税の遅延のほかに、トランプ大統領がロシアに対する新たな制裁が必要であると述べたことから、EU域内では防衛関連株が値を上げ、市場全体も上昇。ドイツや英国では株価指数は上昇したが、フランスでは横ばい

2025/5/29    木

米国市場では市場終了後にNvidiaが四半期決算を公表し、第1四半期は予想以上の業績となったが、第2四半期には対中関税影響が80億ドルになると公表。市場終了後株価は2%以上上昇した。本市場では、株式指数は下落。トランプ政権が中国系のCadence Design SystemsとSynopsysに対して米国企業が作成するソフトウェアを提供することを禁じたために、株価下落。欧州市場では、米国の不安定な関税政策を見極めようとする中、市場は軟化。ドイツの自動車メーカーメルセデスベンツ、BMW、フォルクスワーゲンは米国と関税交渉を行っていることが判明し、自動車セクターは0.7%値を上げた。しかしながらドイツの株式指数DAXは日中史上最高値を更新したものの、最終的には0.8%の値下がり。フランスでも当初は値を上げたが、第1四半期のGDP成長率が予想通りわずかなものであったことから、株式指数のCAC40は値下がり。防衛関連は0.7%の上昇

2025/5/30    金

米国市場では、Nvidiaが四半期決算の結果、値を上げ、また、午後に公表された米国際貿易裁判所によるトランプ政権の関税についての差し止め命令もあり、株式市場は幾分値を上げた。セールスフォースは、年間の売上・利益見通しを引き上げたが株価は下落した。ボーイングは737 MAXの製造を来年に向けて引き上げることを表明し、株価上昇。Best Buyは高額商品について消費者の需要が落ち込んでいることから売り上げと利益の年間予想を引き下げたために株価下落。欧州市場も株式は幾分下落。米国のNvidiaの株価が上昇したことを受け、欧州の半導体メーカーのASM International、Soitec、ASML Holdingsなどが値を上げた。英国のNational GridとSevern Trentは、配当落ちのため、それぞれ3.8%と2.3%値を下げた。英国の自動車関連Auto Traderは年間の売上が予想以下となり株価は11.3%下落

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